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生まれついた責任
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「叔父さまは、ひょっとしてノルラントと………?」
ジュリエッタの問いに、アドルフは目を見開いた。そして、一呼吸おいて、うなずいた。
「驚いたよ。ジュリエッタは本当に勘が良いね。その通り、僕はノルラントと手を組んだ」
ちょうどそのときだった。青い旗を掲げた軍船が、悠々と西から運河に入ってきていることに気づいたのは。
(ノルラントの軍船………)
ジュリエッタの脳裏に、火の手が上がる王都の光景がよぎった。そんなジュリエッタにアドルフは淡々と告げる。
「ノルラントには王様はいないんだ。昔、悪い王様がいたけど、みんなでやっつけたんだ。そして、今は、首長を人民が選ぶ。生まれながらの王様、生まれながらの乞食なんて、ノルラントにはどこにもいない」
アドルフはダニエルに向いた。
「ダニエル、きみも僕と手を組まないか。一緒にブルフェンをぶっ潰しに行こう。僕に手を貸してくれないか」
「だ、駄目よ………、叔父さま、やめて………! ダニエルさまを巻き込まないで………」
ジュリエッタは背中を向いて、ダニエルにしがみついた。ダニエルもまた、固唾を飲んでアドルフを見返している。
(叔父さまだった。ノルラントを手引きしたのは叔父さまだった……、叔父さまからダニエルさまを守らなきゃ……)
アドルフはジュリエッタを見据えて言った。
「僕は、兄上を弑して差し上げようと思っている」
息を飲むジュリエッタを横目に、アドルフは、ダニエルに目を向けた。
「ダニエル、きみも兄上には恨みを持ってるんじゃないかい?」
ダニエルの体が強張るのをジュリエッタは感じた。
「無実の罪に陥れられようとしただけじゃない。その前々から腹を立てているだろう。僕はね、フィリップがせめて国王らしく戦場に往けば、許してやるつもりだった。あるいはエドウィンが往けば。しかし、僕が退いた後も、彼らは揃いも揃って、戦争など知らんふりで王都でぬくぬくと過ごしてきた。形ばかりの兵をバルベリに送って。腹が立たなかったかい?」
「叔父さま、やめて……!」
ジュリエッタは声を上げた。しかし、アドルフは淡々と言ってくる。
「ジュリエッタ、自分たちだけ逃げるのかい?」
「逃げるわけじゃないわ……!」
「人々を見捨てることに違いはないんだ。今のジュリエッタはフィリップが裸の王様だということを知っているだろう。そして、そんな王様のもとで、人々は貧困にあえいでいることも。王家は、そしてこの国の貴族は、腐りきっている。商人になってブルフェンから出ていくということは、それを見て見ぬふりして逃げるということだよ。きみは大きな責任をもって生まれついたというのに」
ジュリエッタは反論しようとするも、口を開くだけで言葉は出てこなかった。
「僕は、王子に生まれついた責任を果たす。この手でフィリップを弑し、人々を圧政から解放するつもりだ」
ジュリエッタはあえぐように言った。
「人々のためじゃないんでしょう? 叔父さまは、怒りと憎しみに突き動かされている、と言ったわ。個人的な恨みがあるんでしょう!」
アドルフは目を伏せた。しばらくの間、黙り込んでいた。そして、再び目がジュリエットに向いたときには、悲しみを浮かべていた。
「そうだ、きわめて個人的な恨みがある。きみは幼い頃、僕に求婚してくれたことがあったね。嬉しかったよ。あのときは娘に求婚された父親はこんな気分なんだろうな、と思った。嬉しかったけど、叔父と姪の関係じゃなくても、受けることはできなかった。当時の僕には愛する人がいた」
ジュリエッタは叔父の横で笑っていた女性のことをそのときになって思い出した。二人は幸せそうだった。
そこで、アドルフがずっと未婚でいるのに思い至った。杖をついていることなど、何ら不利にならない。アドルフの地位も外見も、それを補って余りある。だから結婚しようと思えばいつでもできたのに。
アドルフは愛おしいものを思い出すような顔つきになった。
「彼女は、僕にとっては唯一無二の人だった。僕がバルベリから帰ったら結婚するはずだった。足を痛めて帰ることになったけど、婚約者は逆にそれを喜んでくれた。もう前線に出ないで済むこと、これからは僕と一緒にいられることが、嬉しくてたまらない、と言って笑ってくれた。そして、僕たちはここで暮らすはずだった」
「でも、何かが起きたのね……」
ジュリエッタはアドルフがつらい過去を抱えていることに今更ながらに気づいた。
「結婚式を挙げる前の夜、彼女は死んだ。自殺だった。ご両親に理由を聞いても教えてくれなかった。ただ、ご両親が僕に怒りを抱いているのだけは感じた」
アドルフは静かに語った。
「僕は一人で大公領に来て、そして、無我夢中で働いて過ごした。昼は領地を駆けずり回り、夜は酒を浴びるほど食らった。そして、一年ぶりに王都に戻ったとき、婚約者の妹に教えられたんだ。彼女が兄に凌辱されたことを。彼女はそれを苦にして自殺したと。僕はご両親に恨まれても当然だ。彼女を守れなかったのだから。そのときから……、僕は兄の殺し方だけを考えて過ごしてきた……」
アドルフの目には凍てつくように冷たかった。
「兄、フィリップを、フィリップに与する貴族どもを、きれいさっぱり皆殺しにする。そして、人々を圧制から解放する。これは僕の復讐でもあり、王子としての最後の仕事だ」
***
大公城に戻ったジュリエッタは、予知夢を思い出していた。火の手の上がった王都、逃げ惑う人々。そして、敵兵に捕まり嬲り殺された自分。
恐怖に襲われるが、冷静に思い返してみれば、火の手が上がったのは王宮に貴族邸だった。下町からは火は上がっていなかった。そして、人々は逃げ惑ってはいたが、標的にされたのは貴族だけだった。
(予知夢の続きは………?)
王族に貴族らが殺され、人々は圧政から解放されて、幸せな未来をたどったのだろうか。
(悪い王様がやっつけられて、みな、幸せに暮らしましたとさ………?)
ジュリエッタは首を横に振る。
アドルフだって言ったではないか。
『誰かの幸せのために動くよりも、怒りと憎しみに突き動かされたときのほうが、より何かを早く実現できることがある』と。
ノルラントはブルフェンの人々を救うためにやってきたのではない。おそらくブルフェンに敵意を持っている。ノルラントから見ればバルベリへの侵攻は、侵略ではなく奪還だったはずだ。歴史的にバルベリはノルラントに組み込まれていた時期がある。ノルラントはノルラントでバルベリの正当な所有者であると思ってきたはずだ。
ノルラント人の怒りは王家と貴族に限られており、人々には同情を抱いているかもしれない。ノルラントが王政を倒した経緯からすれば、それはありうる。
しかし、ノルラントがブルフェンの人々を解放したとはいえ、すぐに貧困がなくなるとは思えない。武力行使で秩序が失われたとなれば、それを立て直すまでには大きな混乱を乗り越えなければならない。
ジュリエッタは窓辺に立ち外を見下ろすダニエルのもとに向かった。
ジュリエッタの問いに、アドルフは目を見開いた。そして、一呼吸おいて、うなずいた。
「驚いたよ。ジュリエッタは本当に勘が良いね。その通り、僕はノルラントと手を組んだ」
ちょうどそのときだった。青い旗を掲げた軍船が、悠々と西から運河に入ってきていることに気づいたのは。
(ノルラントの軍船………)
ジュリエッタの脳裏に、火の手が上がる王都の光景がよぎった。そんなジュリエッタにアドルフは淡々と告げる。
「ノルラントには王様はいないんだ。昔、悪い王様がいたけど、みんなでやっつけたんだ。そして、今は、首長を人民が選ぶ。生まれながらの王様、生まれながらの乞食なんて、ノルラントにはどこにもいない」
アドルフはダニエルに向いた。
「ダニエル、きみも僕と手を組まないか。一緒にブルフェンをぶっ潰しに行こう。僕に手を貸してくれないか」
「だ、駄目よ………、叔父さま、やめて………! ダニエルさまを巻き込まないで………」
ジュリエッタは背中を向いて、ダニエルにしがみついた。ダニエルもまた、固唾を飲んでアドルフを見返している。
(叔父さまだった。ノルラントを手引きしたのは叔父さまだった……、叔父さまからダニエルさまを守らなきゃ……)
アドルフはジュリエッタを見据えて言った。
「僕は、兄上を弑して差し上げようと思っている」
息を飲むジュリエッタを横目に、アドルフは、ダニエルに目を向けた。
「ダニエル、きみも兄上には恨みを持ってるんじゃないかい?」
ダニエルの体が強張るのをジュリエッタは感じた。
「無実の罪に陥れられようとしただけじゃない。その前々から腹を立てているだろう。僕はね、フィリップがせめて国王らしく戦場に往けば、許してやるつもりだった。あるいはエドウィンが往けば。しかし、僕が退いた後も、彼らは揃いも揃って、戦争など知らんふりで王都でぬくぬくと過ごしてきた。形ばかりの兵をバルベリに送って。腹が立たなかったかい?」
「叔父さま、やめて……!」
ジュリエッタは声を上げた。しかし、アドルフは淡々と言ってくる。
「ジュリエッタ、自分たちだけ逃げるのかい?」
「逃げるわけじゃないわ……!」
「人々を見捨てることに違いはないんだ。今のジュリエッタはフィリップが裸の王様だということを知っているだろう。そして、そんな王様のもとで、人々は貧困にあえいでいることも。王家は、そしてこの国の貴族は、腐りきっている。商人になってブルフェンから出ていくということは、それを見て見ぬふりして逃げるということだよ。きみは大きな責任をもって生まれついたというのに」
ジュリエッタは反論しようとするも、口を開くだけで言葉は出てこなかった。
「僕は、王子に生まれついた責任を果たす。この手でフィリップを弑し、人々を圧政から解放するつもりだ」
ジュリエッタはあえぐように言った。
「人々のためじゃないんでしょう? 叔父さまは、怒りと憎しみに突き動かされている、と言ったわ。個人的な恨みがあるんでしょう!」
アドルフは目を伏せた。しばらくの間、黙り込んでいた。そして、再び目がジュリエットに向いたときには、悲しみを浮かべていた。
「そうだ、きわめて個人的な恨みがある。きみは幼い頃、僕に求婚してくれたことがあったね。嬉しかったよ。あのときは娘に求婚された父親はこんな気分なんだろうな、と思った。嬉しかったけど、叔父と姪の関係じゃなくても、受けることはできなかった。当時の僕には愛する人がいた」
ジュリエッタは叔父の横で笑っていた女性のことをそのときになって思い出した。二人は幸せそうだった。
そこで、アドルフがずっと未婚でいるのに思い至った。杖をついていることなど、何ら不利にならない。アドルフの地位も外見も、それを補って余りある。だから結婚しようと思えばいつでもできたのに。
アドルフは愛おしいものを思い出すような顔つきになった。
「彼女は、僕にとっては唯一無二の人だった。僕がバルベリから帰ったら結婚するはずだった。足を痛めて帰ることになったけど、婚約者は逆にそれを喜んでくれた。もう前線に出ないで済むこと、これからは僕と一緒にいられることが、嬉しくてたまらない、と言って笑ってくれた。そして、僕たちはここで暮らすはずだった」
「でも、何かが起きたのね……」
ジュリエッタはアドルフがつらい過去を抱えていることに今更ながらに気づいた。
「結婚式を挙げる前の夜、彼女は死んだ。自殺だった。ご両親に理由を聞いても教えてくれなかった。ただ、ご両親が僕に怒りを抱いているのだけは感じた」
アドルフは静かに語った。
「僕は一人で大公領に来て、そして、無我夢中で働いて過ごした。昼は領地を駆けずり回り、夜は酒を浴びるほど食らった。そして、一年ぶりに王都に戻ったとき、婚約者の妹に教えられたんだ。彼女が兄に凌辱されたことを。彼女はそれを苦にして自殺したと。僕はご両親に恨まれても当然だ。彼女を守れなかったのだから。そのときから……、僕は兄の殺し方だけを考えて過ごしてきた……」
アドルフの目には凍てつくように冷たかった。
「兄、フィリップを、フィリップに与する貴族どもを、きれいさっぱり皆殺しにする。そして、人々を圧制から解放する。これは僕の復讐でもあり、王子としての最後の仕事だ」
***
大公城に戻ったジュリエッタは、予知夢を思い出していた。火の手の上がった王都、逃げ惑う人々。そして、敵兵に捕まり嬲り殺された自分。
恐怖に襲われるが、冷静に思い返してみれば、火の手が上がったのは王宮に貴族邸だった。下町からは火は上がっていなかった。そして、人々は逃げ惑ってはいたが、標的にされたのは貴族だけだった。
(予知夢の続きは………?)
王族に貴族らが殺され、人々は圧政から解放されて、幸せな未来をたどったのだろうか。
(悪い王様がやっつけられて、みな、幸せに暮らしましたとさ………?)
ジュリエッタは首を横に振る。
アドルフだって言ったではないか。
『誰かの幸せのために動くよりも、怒りと憎しみに突き動かされたときのほうが、より何かを早く実現できることがある』と。
ノルラントはブルフェンの人々を救うためにやってきたのではない。おそらくブルフェンに敵意を持っている。ノルラントから見ればバルベリへの侵攻は、侵略ではなく奪還だったはずだ。歴史的にバルベリはノルラントに組み込まれていた時期がある。ノルラントはノルラントでバルベリの正当な所有者であると思ってきたはずだ。
ノルラント人の怒りは王家と貴族に限られており、人々には同情を抱いているかもしれない。ノルラントが王政を倒した経緯からすれば、それはありうる。
しかし、ノルラントがブルフェンの人々を解放したとはいえ、すぐに貧困がなくなるとは思えない。武力行使で秩序が失われたとなれば、それを立て直すまでには大きな混乱を乗り越えなければならない。
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