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ノエルの姉離れ
バサバサと夜行性の猛禽類の立てる音が派手に空気を揺らす。
(きゃあ!)
そのたびにクリスティーヌはダンにしがみつき、ダンが背中を撫でてくる。
『大丈夫だよ、クリスティーヌ』
(ぜんぜん、大丈夫じゃないわよ……。もう、頼りにならない人ね………!)
クリスティーヌは理不尽にもダンに腹を立てる。
四方八方を眺めるも木々に阻まれて、王城の影も見つけることもできない。
『グズリが出たらどうするのよ』
『俺が何とかする』
『山賊が出たらどうするのよ』
『俺が何とかする』
『ゴーストが出たらどうするのよ』
『………』
『ねえ、ゴーストは?』
『………』
(私が何とかするしかないようね)
フクロウの鳴き声が聞こえてきた。
ダンの背中がビクッと揺れたのを感じた。
(こんなに大きいのに、ゴーストが怖いんだわ)
今度はクリスティーヌが背中を撫でてやる。
(グズリよりも山賊よりもゴーストが怖いなんて、変な人)
しかし、クリスティーヌは、そんなダンを可愛いと思ってしまう。
(ノエルを思い出すからだわ。ノエルも怖がりで、風の吹く夜には私のベッドにもぐりこんでくるわ。会いたいわ。元気かしら)
ゆったりとしたひづめの音に夜風が心地いい。クリスティーヌはダンの胸にもたれかかって、くつろぎを覚えていた。
またひづめの音が変わった。
(今度は草の上?)
クリスティーヌがダンの胸から顔を上げれば、森を抜け出たところだった。
(あら、ここは、もしかして……)
クリスティーヌにはその山影に覚えがあった。
クリスティーヌの道案内で、二人はある館にたどり着いていた。
マルシャル男爵領の領主館。そこは侍女ジゼルの実家であり、クリスティーヌの最愛の弟、ノエルを預けているところだった。
***
「姉上っ!」
ノエルは金色の巻き毛を揺らして飛びついてきた。ほんの一か月足らずだが、随分と久しぶりの気がした。くりくりとした愛らしい目も、まんまるに膨らんだ頬もそのままだが、少し日に焼けて王都にいた頃よりも活発そうに見える。
「ノエル、きちんと鍛錬をしていましたか? 男爵さまの言うことをちゃんと聞いていましたか?」
ノエルに対してはつい母親のように口うるさくなる。
「うん、ぼく、フランソワとジニアスと、親友になったよ。フランソワは魚を捕まえるのが上手で、ジニアスは羊を追い立てるのが得意なんだ。フランソワはぼくと同い年で、ジニアスもぼくと同い年だけど、大人なんだ」
「へえ、頼もしい親友たちね。フランソワは男爵の末の坊やね。ジニアスは?」
「ジニアスは犬だ」
マルシャル男爵のところで、ノエルは十分すぎるほどの保護を得ているようだ。
誠実そうなほほ笑みを向ける男爵にクリスティーヌは礼を言う。
「とても楽しく過ごしているようですわ。本当にありがとうございます。感謝します」
そして、その傍らに立つ男爵夫人に目を向けた。夫人のハンナは、クリスティーヌの乳母だ。
「姫さま……!」
ハンナは、やっと自分の番だとばかりにクリスティーヌを抱きしめてきた。目に涙を浮かべている。婚約破棄のことが男爵領にも届いて、ハンナも胸を痛ませていたのだろう。
クリスティーヌも涙ぐむ。
「私は大丈夫なのよ、この通り元気いっぱいよ」
「ええ、ええ、姫さまの姿に、安心しました」
無事の再会を喜び合う。一人蚊帳の外だったダンにノエルが声をかけた。
「おじさんは、どなたなの?」
ダンが愕然とした顔になった。おじさん、と呼ばれたことに納得がいかないようだ。
(あら? ダンはルロア語がわかるのかしら)
しかし、それは気のせいだったようで、ダンはノエルに話しかけることなく、ポケットを漁ってコマを取り出した。床に片膝をついて回してみせる。
「わあ!」
鮮やかな色が塗ってある珍しいコマに、男爵家に住んでいる子どもたちが一斉に集まってくる。
(この人はポケットに魔法の道具を詰め込んでいるのね)
チョコレートやらコマやら、何でも仕込んでいる。
ダンを公爵家の客人だと説明し、ダンに王都を案内しているうちに、ノエルに会いたくなって足を延ばしてしまったと説明した。暴徒に襲われかけたなどと言って余計な心配をさせたくはない。
男爵家ではまだ夕飯前だったようで、クリスティーヌとダンも一家とともに晩餐の席に着いた。使用人もその子どもたちも同じテーブルについての晩餐はにぎやかで楽しいものだ。
子どもたちに混じったノエルは、ことのほか活発に見える。
「ノエルがぼくのウィンナーを取った」
「フランソワがぼくのを取ったからでしょ」
「でも、ぼくは一本しかとらなかった」
「お返しに二本とっただけだよ」
活発過ぎて目を丸くするほどだ。
(なんてこと?! 大人しくて礼儀正しかったノエルがやんちゃ坊主になってしまったわ!)
晩餐後、クリスティーヌの分も寝室を用意しようとしている夫人に、クリスティーヌは言った。
「ダンの分だけお願いするわ。私はノエルのベッドで休ませていただくから」
それを聞いていたノエルが声を上げた。
「ぼく、一人でも大丈夫だよ」
「でも、あなたは風を怖がるでしょう。今日も風が強いわ」
「フランソワたちもいるし」
「でも私と一緒に」
「もう姉上がいなくても、大丈夫だよ」
(もう姉上がいなくても大丈夫だよ……?!)
クリスティーヌはその言葉に固まってしまった。
(ノエルが、私の可愛いノエルが、甘えん坊のノエルが……、私がいなくてもいいと……)
軽快な足音を立ててフランソワと走っていく背中を見送ったまま、呆然と立ち尽くすクリスティーヌに、ダンが慰めの言葉をかけてきた。
『クリスティーヌ、ノエルに振られたようだね。よかったら俺が一緒に寝てあげようか……、うぷっ』
ダンはクリスティーヌに横面を平手で押されて最後まで喋ることができなかった。
***
疲れ切ったクリスティーヌはその夜、用意されたベッドに横たわるとすぐに寝入った。
夜半、悪夢に飛び起きる。
(きゃあああっ………)
全身びっしょりと汗をかいている。
斧や鍬を手にした暴徒に襲われる革命の悪夢。
「クリスティーヌを殺せ!」
「ジャクリーヌを殺せ!」
「あいつらの血で、俺たちの苦しみを洗い流すんだ! あいつらは俺たちの敵だ!」
今はダンルートなのだから、革命は起きない。そう自分を宥めても、ガタガタと体が震えてくる。
(革命エンドはない。そのはず……)
しかし、この不安は何か。耐え難い不安がクリスティーヌを苛む。どこかに何か見落としがないか。
(マリアンヌは何とかして私を排除してくる)
昨日、マリアンヌはわざと、荒々しい若者が集うカフェに連れていった。
そして、カフェからいなくなれば、ジャックらを引き連れてクリスティーヌを探した。襲わせるために。
クリスティーヌはマリアンナにとって邪魔者でしかない。
ダンの攻略は難しいとさすがに気づいたはずだ。マリアンナも焦っているのかもしれない。
(えぇ?)
そのとき、クリスティーヌの心臓が大きく跳ねた。マリアンナとジャックはいまなお恋人にしか見えなかった。
(今は、ダンルートに分岐してるの、よね……? 他のルートは閉じてる、のよね………?)
もしも、マリアンナがまだ相手を絞っていないのならば。
(今もすべてがマリアンヌさまの手のひらの上………?)
クリスティーヌはベッドの上で凍り付いていた。
(きゃあ!)
そのたびにクリスティーヌはダンにしがみつき、ダンが背中を撫でてくる。
『大丈夫だよ、クリスティーヌ』
(ぜんぜん、大丈夫じゃないわよ……。もう、頼りにならない人ね………!)
クリスティーヌは理不尽にもダンに腹を立てる。
四方八方を眺めるも木々に阻まれて、王城の影も見つけることもできない。
『グズリが出たらどうするのよ』
『俺が何とかする』
『山賊が出たらどうするのよ』
『俺が何とかする』
『ゴーストが出たらどうするのよ』
『………』
『ねえ、ゴーストは?』
『………』
(私が何とかするしかないようね)
フクロウの鳴き声が聞こえてきた。
ダンの背中がビクッと揺れたのを感じた。
(こんなに大きいのに、ゴーストが怖いんだわ)
今度はクリスティーヌが背中を撫でてやる。
(グズリよりも山賊よりもゴーストが怖いなんて、変な人)
しかし、クリスティーヌは、そんなダンを可愛いと思ってしまう。
(ノエルを思い出すからだわ。ノエルも怖がりで、風の吹く夜には私のベッドにもぐりこんでくるわ。会いたいわ。元気かしら)
ゆったりとしたひづめの音に夜風が心地いい。クリスティーヌはダンの胸にもたれかかって、くつろぎを覚えていた。
またひづめの音が変わった。
(今度は草の上?)
クリスティーヌがダンの胸から顔を上げれば、森を抜け出たところだった。
(あら、ここは、もしかして……)
クリスティーヌにはその山影に覚えがあった。
クリスティーヌの道案内で、二人はある館にたどり着いていた。
マルシャル男爵領の領主館。そこは侍女ジゼルの実家であり、クリスティーヌの最愛の弟、ノエルを預けているところだった。
***
「姉上っ!」
ノエルは金色の巻き毛を揺らして飛びついてきた。ほんの一か月足らずだが、随分と久しぶりの気がした。くりくりとした愛らしい目も、まんまるに膨らんだ頬もそのままだが、少し日に焼けて王都にいた頃よりも活発そうに見える。
「ノエル、きちんと鍛錬をしていましたか? 男爵さまの言うことをちゃんと聞いていましたか?」
ノエルに対してはつい母親のように口うるさくなる。
「うん、ぼく、フランソワとジニアスと、親友になったよ。フランソワは魚を捕まえるのが上手で、ジニアスは羊を追い立てるのが得意なんだ。フランソワはぼくと同い年で、ジニアスもぼくと同い年だけど、大人なんだ」
「へえ、頼もしい親友たちね。フランソワは男爵の末の坊やね。ジニアスは?」
「ジニアスは犬だ」
マルシャル男爵のところで、ノエルは十分すぎるほどの保護を得ているようだ。
誠実そうなほほ笑みを向ける男爵にクリスティーヌは礼を言う。
「とても楽しく過ごしているようですわ。本当にありがとうございます。感謝します」
そして、その傍らに立つ男爵夫人に目を向けた。夫人のハンナは、クリスティーヌの乳母だ。
「姫さま……!」
ハンナは、やっと自分の番だとばかりにクリスティーヌを抱きしめてきた。目に涙を浮かべている。婚約破棄のことが男爵領にも届いて、ハンナも胸を痛ませていたのだろう。
クリスティーヌも涙ぐむ。
「私は大丈夫なのよ、この通り元気いっぱいよ」
「ええ、ええ、姫さまの姿に、安心しました」
無事の再会を喜び合う。一人蚊帳の外だったダンにノエルが声をかけた。
「おじさんは、どなたなの?」
ダンが愕然とした顔になった。おじさん、と呼ばれたことに納得がいかないようだ。
(あら? ダンはルロア語がわかるのかしら)
しかし、それは気のせいだったようで、ダンはノエルに話しかけることなく、ポケットを漁ってコマを取り出した。床に片膝をついて回してみせる。
「わあ!」
鮮やかな色が塗ってある珍しいコマに、男爵家に住んでいる子どもたちが一斉に集まってくる。
(この人はポケットに魔法の道具を詰め込んでいるのね)
チョコレートやらコマやら、何でも仕込んでいる。
ダンを公爵家の客人だと説明し、ダンに王都を案内しているうちに、ノエルに会いたくなって足を延ばしてしまったと説明した。暴徒に襲われかけたなどと言って余計な心配をさせたくはない。
男爵家ではまだ夕飯前だったようで、クリスティーヌとダンも一家とともに晩餐の席に着いた。使用人もその子どもたちも同じテーブルについての晩餐はにぎやかで楽しいものだ。
子どもたちに混じったノエルは、ことのほか活発に見える。
「ノエルがぼくのウィンナーを取った」
「フランソワがぼくのを取ったからでしょ」
「でも、ぼくは一本しかとらなかった」
「お返しに二本とっただけだよ」
活発過ぎて目を丸くするほどだ。
(なんてこと?! 大人しくて礼儀正しかったノエルがやんちゃ坊主になってしまったわ!)
晩餐後、クリスティーヌの分も寝室を用意しようとしている夫人に、クリスティーヌは言った。
「ダンの分だけお願いするわ。私はノエルのベッドで休ませていただくから」
それを聞いていたノエルが声を上げた。
「ぼく、一人でも大丈夫だよ」
「でも、あなたは風を怖がるでしょう。今日も風が強いわ」
「フランソワたちもいるし」
「でも私と一緒に」
「もう姉上がいなくても、大丈夫だよ」
(もう姉上がいなくても大丈夫だよ……?!)
クリスティーヌはその言葉に固まってしまった。
(ノエルが、私の可愛いノエルが、甘えん坊のノエルが……、私がいなくてもいいと……)
軽快な足音を立ててフランソワと走っていく背中を見送ったまま、呆然と立ち尽くすクリスティーヌに、ダンが慰めの言葉をかけてきた。
『クリスティーヌ、ノエルに振られたようだね。よかったら俺が一緒に寝てあげようか……、うぷっ』
ダンはクリスティーヌに横面を平手で押されて最後まで喋ることができなかった。
***
疲れ切ったクリスティーヌはその夜、用意されたベッドに横たわるとすぐに寝入った。
夜半、悪夢に飛び起きる。
(きゃあああっ………)
全身びっしょりと汗をかいている。
斧や鍬を手にした暴徒に襲われる革命の悪夢。
「クリスティーヌを殺せ!」
「ジャクリーヌを殺せ!」
「あいつらの血で、俺たちの苦しみを洗い流すんだ! あいつらは俺たちの敵だ!」
今はダンルートなのだから、革命は起きない。そう自分を宥めても、ガタガタと体が震えてくる。
(革命エンドはない。そのはず……)
しかし、この不安は何か。耐え難い不安がクリスティーヌを苛む。どこかに何か見落としがないか。
(マリアンヌは何とかして私を排除してくる)
昨日、マリアンヌはわざと、荒々しい若者が集うカフェに連れていった。
そして、カフェからいなくなれば、ジャックらを引き連れてクリスティーヌを探した。襲わせるために。
クリスティーヌはマリアンナにとって邪魔者でしかない。
ダンの攻略は難しいとさすがに気づいたはずだ。マリアンナも焦っているのかもしれない。
(えぇ?)
そのとき、クリスティーヌの心臓が大きく跳ねた。マリアンナとジャックはいまなお恋人にしか見えなかった。
(今は、ダンルートに分岐してるの、よね……? 他のルートは閉じてる、のよね………?)
もしも、マリアンナがまだ相手を絞っていないのならば。
(今もすべてがマリアンヌさまの手のひらの上………?)
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