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王族会議、再び3
議場に向かえば、ジャクリーヌが先にテーブルに着いていた。目が合うと手を振ってきた。
「クリスティーヌ、こっちよ」
まるで恩人とばかりにクリスティーヌに親愛を見せるが、このあと、ロベールとシャルルの立太子を不承認にすれば、どんな態度を取るだろうか。
クリスティーヌは微笑を浮かべてジャクリーヌの隣に座った。
大公とロベールもやってきた。
テーブルについているのは、ロベール、ジャクリーヌ、大公、そして、クリスティーヌ。
「では、ギョーム叔父さまに代わって私が議長を引き受けます」
ロベールはそっぽを向き、大公は腕を組んで目を伏せている。ジャクリーヌは、弾んだ顔をしている。
「ロベールさまの立太子を承認する人は挙手を」
手が上がったのはロベール、ジャクリーヌの2人。
ジャクリーヌは信じられないと言った顔つきで、クリスティーヌを見てきた。
「クリスティーヌ? どういうこと?」
ジャクリーヌにはクリスティーヌが挙手しない理由がわからないらしい。クリスティーヌがジャクリーヌをじっと見つめ返すと、ジャクリーヌは立ち上がって叫んだ。
「クリスティーヌ! あなたはロベールをやっぱり許せないのね! それで、シャルルを王太子にしようとしてるのね? ああ、でも、お願いよ。ロベールも可愛い私の息子なの。お願い、手を挙げてちょうだい」
最後には懇願になったが、クリスティーヌは笑みを浮かべてジャクリーヌを見つめたまま動かなかった。ジャクリーヌを無視して続ける。
「では、ロベールさまの立太子を不承認とする人は挙手を」
大公、クリスティーヌが手を挙げた。
「私にはノエルの分もございますので、不承認、3票。これでロベールさまの立太子は不承認となりました」
「ああ、なんてこと……」
ジャクリーヌは崩れ落ちるように椅子に座り込んだ。
傍聴席はざわめく。
「ロベール殿下が不承認だぞ」
「まさかこんなことになるとは」
「これまで王子の不承認など聞いたことがない」
マリアンナは王女で氏かも養子だったから不承認も仕方ないところはあったが、王子の不承認は慣例にないため、貴族の驚きも無理はない。
がたんと音が響いた。ロベールが真っ青な顔で立ち上がっている。
ロベールは全身を震わせ、そして、クリスティーヌのもとに来た。
「クリスティーヌ、おのれ!」
ロベールは手を振り上げた。クリスティーヌは毅然と胸を張ったままだった。
(ロベールがどれだけ下種か、わかってもらうのにちょうどいいわ)
しかし、振り上げた手はすんでのところで止められた。大公がロベールの手を掴んでいた。さすがに叔父である大公にはロベールも悪態をつけないのか、顔を背けた。
ロベールは大公の腕が離れるなり、議場を出て行く。
「これ以上貴様らに付き合っておれぬわ」
その後をマリアンナが追う。
「ロベールぅ、待ってぇ」
傍聴席がまたざわめく。
「殿下が公女に手を上げようとしたぞ」
「ロベールさまがあんな人だったなんて」
「王の器とは思えん」
声のした方をジャクリーヌがぎろりとにらむと、傍聴席は静まった。
「では、シャルルさまの立太子の採決に進みます。承認する方は挙手を」
気落ちしたジャクリーヌは俯いたまま手を挙げた。
「では、シャルルさまの不承認とする人は挙手を」
大公とクリスティーヌが手を挙げる。
傍聴席が再びざわめく。ジャクリーヌがざわめきに顔を上げて、クリスティーヌの挙手に気づいて、声を上げる。
「クリスティーヌ! どういうこと!」
クリスティーヌは笑んだまま告げる。
「シャルルさまの立太子は不承認となりました」
ジャクリーヌはぶるぶると震え始める。
「クリスティーヌ! あなた、何もかもめちゃくちゃにするつもり? こんなの許されない、ゆる……、ゆるさ……」
そこで、ジャクリーヌは白目になり、女官へともたれかかった。
(ジャクリーヌおばさまには悪いけど、これはしかたないこと。それに先に約束を破ったのはおばさまよ)
ジャクリーヌは気付けのブランデーですぐに意識を取り戻した。
「こんなのありえない……、ありえないわ……。せっかく王妃になったというのに、こんなことになるなんて……、まるで悪夢……」
ジャクリーヌの焦点はぼやけ、ぶつぶつとつぶやいている。
(せっかく王妃になったというのに……?)
クリスティーヌはその言い方に妙な引っ掛かりを覚えた。王妃になることはジャクリーヌにとっては既定路線だったはずだ。『せっかく』と言わねばならないことではないはずだ。まるで王妃になれない可能性があったかのような言い方に聞こえる。
『そこにいない人はどこにもいない』
不意にダンの言葉がよぎる。
(えぇ?)
クリスティーヌにある恐ろしい考えがよぎった。しかし、そんなことはあってはならないこと、そう打ち消すもその考えが広がるのを止められなかった。
「クリスティーヌ」
大公の声に我に返る。大公はどこか不穏な目をクリスティーヌに向けている。
「では、私の立太子を承認するか否やの決議に移ろう」
「え、ええ。では、ベルジック大公閣下を立太子とする方は挙手を」
大公は手を上げた。心ここにあらずのジャクリーヌはぶつぶつと言うだけで挙手しない。
「義姉上は私の立太子に反対か? では、クリスティーヌの立太子に採決は移るが?」
その言葉にジャクリーヌはハッとして、キッと目を吊り上げた。そして、クリスティーヌをひと睨みして、手を上げた。ジャクリーヌにとっては大公も敵のはずだが、クリスティーヌはそれ以上に憎い敵となってしまったらしい。
票は2票。しかし、クリスティーヌの持つ反対票も2票。どちらも過半数には足らない。
「これでは決議は成り立たぬな」
「誰ぞ、ロベールを呼んでたもれ。誰ぞ……! はよう、ロベールをぉ……!」
ジャクリーヌが言った。事情を知ればロベールは大公側に着くだろう。クリスティーヌをあれほど嫌っているのだから。
クリスティーヌは冷静に事態を見つめ直していた。
***
議場に戻ってきたのはロベールではなくマリアンナだった。ロベールの姿はない。マリアンナは愛想を振りまきながらテーブルにやってくると席に着いた。
ジャクリーヌは嫌そうな顔を向ける。
「お前など呼んではおらぬ」
マリアンナは手のひらのものを見せてきた。
「えへへ、ロベールが渡してきたの。ロベールの御璽よ。これがあれば私がロベールの代わりになれるんでしょぉ? ロベールはクリスティーヌを見るだけで吐き気がするんですってよぉ。顔も見たくないんですってよぉ」
そのとき、クリスティーヌは考えを巡らせるのに集中しており、マリアンナの声に反応できなかった。マリアンナは詰まらなさそうな顔になる。
「採決を、クリスティーヌ」
大公の声にクリスティーヌはハッとした。膝の上の両手がぎゅっと握りこまれて白くなっている。
そのとき、クリスティーヌは、大公がどうして最初の決議の無効を訴えたのか、完全に理解していた。
(どうして今まで疑いもしなかったのだろう)
ダンはそれを見抜いたのだ。晩餐の夜のクリスティーヌとギョームの会話から。そして、『そこにいない人はどこにもいない』と言ってきた。
大公は、フィリップの顔を見たかと問えば、「いいや、見なかったよ」と言った。そして続けて、「これからもきっと見ない」とも言った。
その言葉の本当の意味をクリスティーヌはわかってしまった。
クリスティーヌは白い顔をしていた。そして、じっとジャクリーヌを見つめていた。ジャクリーヌがそれに気づき、不審げに見返すもクリスティーヌはただ声も出せずにジャクリーヌを見つめた。
(恐ろしいことを……、おばさまはずっと隠し続けてきたんだわ、そのことをずっと……)
クリスティーヌのただならぬ顔つきに、ジャクリーヌの顔は次第に強張っていった。
「クリスティーヌ、こっちよ」
まるで恩人とばかりにクリスティーヌに親愛を見せるが、このあと、ロベールとシャルルの立太子を不承認にすれば、どんな態度を取るだろうか。
クリスティーヌは微笑を浮かべてジャクリーヌの隣に座った。
大公とロベールもやってきた。
テーブルについているのは、ロベール、ジャクリーヌ、大公、そして、クリスティーヌ。
「では、ギョーム叔父さまに代わって私が議長を引き受けます」
ロベールはそっぽを向き、大公は腕を組んで目を伏せている。ジャクリーヌは、弾んだ顔をしている。
「ロベールさまの立太子を承認する人は挙手を」
手が上がったのはロベール、ジャクリーヌの2人。
ジャクリーヌは信じられないと言った顔つきで、クリスティーヌを見てきた。
「クリスティーヌ? どういうこと?」
ジャクリーヌにはクリスティーヌが挙手しない理由がわからないらしい。クリスティーヌがジャクリーヌをじっと見つめ返すと、ジャクリーヌは立ち上がって叫んだ。
「クリスティーヌ! あなたはロベールをやっぱり許せないのね! それで、シャルルを王太子にしようとしてるのね? ああ、でも、お願いよ。ロベールも可愛い私の息子なの。お願い、手を挙げてちょうだい」
最後には懇願になったが、クリスティーヌは笑みを浮かべてジャクリーヌを見つめたまま動かなかった。ジャクリーヌを無視して続ける。
「では、ロベールさまの立太子を不承認とする人は挙手を」
大公、クリスティーヌが手を挙げた。
「私にはノエルの分もございますので、不承認、3票。これでロベールさまの立太子は不承認となりました」
「ああ、なんてこと……」
ジャクリーヌは崩れ落ちるように椅子に座り込んだ。
傍聴席はざわめく。
「ロベール殿下が不承認だぞ」
「まさかこんなことになるとは」
「これまで王子の不承認など聞いたことがない」
マリアンナは王女で氏かも養子だったから不承認も仕方ないところはあったが、王子の不承認は慣例にないため、貴族の驚きも無理はない。
がたんと音が響いた。ロベールが真っ青な顔で立ち上がっている。
ロベールは全身を震わせ、そして、クリスティーヌのもとに来た。
「クリスティーヌ、おのれ!」
ロベールは手を振り上げた。クリスティーヌは毅然と胸を張ったままだった。
(ロベールがどれだけ下種か、わかってもらうのにちょうどいいわ)
しかし、振り上げた手はすんでのところで止められた。大公がロベールの手を掴んでいた。さすがに叔父である大公にはロベールも悪態をつけないのか、顔を背けた。
ロベールは大公の腕が離れるなり、議場を出て行く。
「これ以上貴様らに付き合っておれぬわ」
その後をマリアンナが追う。
「ロベールぅ、待ってぇ」
傍聴席がまたざわめく。
「殿下が公女に手を上げようとしたぞ」
「ロベールさまがあんな人だったなんて」
「王の器とは思えん」
声のした方をジャクリーヌがぎろりとにらむと、傍聴席は静まった。
「では、シャルルさまの立太子の採決に進みます。承認する方は挙手を」
気落ちしたジャクリーヌは俯いたまま手を挙げた。
「では、シャルルさまの不承認とする人は挙手を」
大公とクリスティーヌが手を挙げる。
傍聴席が再びざわめく。ジャクリーヌがざわめきに顔を上げて、クリスティーヌの挙手に気づいて、声を上げる。
「クリスティーヌ! どういうこと!」
クリスティーヌは笑んだまま告げる。
「シャルルさまの立太子は不承認となりました」
ジャクリーヌはぶるぶると震え始める。
「クリスティーヌ! あなた、何もかもめちゃくちゃにするつもり? こんなの許されない、ゆる……、ゆるさ……」
そこで、ジャクリーヌは白目になり、女官へともたれかかった。
(ジャクリーヌおばさまには悪いけど、これはしかたないこと。それに先に約束を破ったのはおばさまよ)
ジャクリーヌは気付けのブランデーですぐに意識を取り戻した。
「こんなのありえない……、ありえないわ……。せっかく王妃になったというのに、こんなことになるなんて……、まるで悪夢……」
ジャクリーヌの焦点はぼやけ、ぶつぶつとつぶやいている。
(せっかく王妃になったというのに……?)
クリスティーヌはその言い方に妙な引っ掛かりを覚えた。王妃になることはジャクリーヌにとっては既定路線だったはずだ。『せっかく』と言わねばならないことではないはずだ。まるで王妃になれない可能性があったかのような言い方に聞こえる。
『そこにいない人はどこにもいない』
不意にダンの言葉がよぎる。
(えぇ?)
クリスティーヌにある恐ろしい考えがよぎった。しかし、そんなことはあってはならないこと、そう打ち消すもその考えが広がるのを止められなかった。
「クリスティーヌ」
大公の声に我に返る。大公はどこか不穏な目をクリスティーヌに向けている。
「では、私の立太子を承認するか否やの決議に移ろう」
「え、ええ。では、ベルジック大公閣下を立太子とする方は挙手を」
大公は手を上げた。心ここにあらずのジャクリーヌはぶつぶつと言うだけで挙手しない。
「義姉上は私の立太子に反対か? では、クリスティーヌの立太子に採決は移るが?」
その言葉にジャクリーヌはハッとして、キッと目を吊り上げた。そして、クリスティーヌをひと睨みして、手を上げた。ジャクリーヌにとっては大公も敵のはずだが、クリスティーヌはそれ以上に憎い敵となってしまったらしい。
票は2票。しかし、クリスティーヌの持つ反対票も2票。どちらも過半数には足らない。
「これでは決議は成り立たぬな」
「誰ぞ、ロベールを呼んでたもれ。誰ぞ……! はよう、ロベールをぉ……!」
ジャクリーヌが言った。事情を知ればロベールは大公側に着くだろう。クリスティーヌをあれほど嫌っているのだから。
クリスティーヌは冷静に事態を見つめ直していた。
***
議場に戻ってきたのはロベールではなくマリアンナだった。ロベールの姿はない。マリアンナは愛想を振りまきながらテーブルにやってくると席に着いた。
ジャクリーヌは嫌そうな顔を向ける。
「お前など呼んではおらぬ」
マリアンナは手のひらのものを見せてきた。
「えへへ、ロベールが渡してきたの。ロベールの御璽よ。これがあれば私がロベールの代わりになれるんでしょぉ? ロベールはクリスティーヌを見るだけで吐き気がするんですってよぉ。顔も見たくないんですってよぉ」
そのとき、クリスティーヌは考えを巡らせるのに集中しており、マリアンナの声に反応できなかった。マリアンナは詰まらなさそうな顔になる。
「採決を、クリスティーヌ」
大公の声にクリスティーヌはハッとした。膝の上の両手がぎゅっと握りこまれて白くなっている。
そのとき、クリスティーヌは、大公がどうして最初の決議の無効を訴えたのか、完全に理解していた。
(どうして今まで疑いもしなかったのだろう)
ダンはそれを見抜いたのだ。晩餐の夜のクリスティーヌとギョームの会話から。そして、『そこにいない人はどこにもいない』と言ってきた。
大公は、フィリップの顔を見たかと問えば、「いいや、見なかったよ」と言った。そして続けて、「これからもきっと見ない」とも言った。
その言葉の本当の意味をクリスティーヌはわかってしまった。
クリスティーヌは白い顔をしていた。そして、じっとジャクリーヌを見つめていた。ジャクリーヌがそれに気づき、不審げに見返すもクリスティーヌはただ声も出せずにジャクリーヌを見つめた。
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