2 / 25
第2話「目立ちたくないのに、なぜか旗(フラグ)が立っていく」
しおりを挟む
レオン宰相に「秘書官にならないか?」と唐突にスカウトされてから、早くも一週間が経った。
「……これは……やばい」
私は今、朝から宰相府で山積みの書類に囲まれている。モブのくせに、なぜこんなメインストーリー級の場面にいるのだろうか。
(目立たないようにって決めたのに……)
もちろん、私は必死に断った。転生してまでブラック労働なんてまっぴらごめんだ。
けれどレオン様はにべもなかった。
「君には……“人を不幸にしない”という、奇妙な発想がある。それが気に入った」
(それ、誉めてるの!?)
そして流されるように始まった秘書官生活。だが一つだけ、私には確かな“勝算”があった。
——彼、レオン=ヴァン=クラウゼンは、原作では「ルート分岐前に退場するキャラ」である。
病弱な彼は、自ルート以外では悲劇的な死を迎える。つまり、彼さえ救えれば、大きなバッドエンドをひとつ回避できる可能性がある。
(だから……今はむしろチャンス!)
私は覚悟を決めた。
「レオン様、夜はちゃんと寝てください! その書類、朝でも間に合います!」
「……ふむ。君はよく喋るな。だが、嫌いではない」
(攻略対象の好感度が上がってる気がするのは気のせいだよね!?)
⸻
そんなある日、宮廷の庭園で私は“彼”と出会ってしまう。
「おや、見慣れない顔だね。君、最近来た子?」
声をかけてきたのは、原作第2の攻略対象。
人懐っこい笑顔が印象的な、白銀の王子——ユリアン=セイルーン。
(いやいやいや!この人、表では爽やか王子だけど、実は裏で腹黒なんですよ!?)
しかも、ヒロインに執着しすぎて、ルートを間違えると闇落ちして監禁エンドに突入する、危険人物!
「クラリスです。あの、ちょっと急いでて——」
「ふふ、そんなに逃げることないじゃないか。ねぇ、少しだけ、話そうよ」
(ぎゃー!旗が立ったぁぁぁ!)
⸻
私の目標はあくまで「全員が幸せなエンディング」だ。
そのためには、誰も闇落ちさせてはいけない。
なのに、気がつけばまた違うルートのフラグが立ちかけている。
「クラリス。君、本当に面白い子だね」
ユリアンが笑う。レオンが静かに睨む。そして宰相府の使用人たちがざわつく。
(お願い、誰かこの空回りを止めてぇぇぇぇ!)
こうして、私の“絶対目立たない計画”はまたしても失敗したのであった——。
「……これは……やばい」
私は今、朝から宰相府で山積みの書類に囲まれている。モブのくせに、なぜこんなメインストーリー級の場面にいるのだろうか。
(目立たないようにって決めたのに……)
もちろん、私は必死に断った。転生してまでブラック労働なんてまっぴらごめんだ。
けれどレオン様はにべもなかった。
「君には……“人を不幸にしない”という、奇妙な発想がある。それが気に入った」
(それ、誉めてるの!?)
そして流されるように始まった秘書官生活。だが一つだけ、私には確かな“勝算”があった。
——彼、レオン=ヴァン=クラウゼンは、原作では「ルート分岐前に退場するキャラ」である。
病弱な彼は、自ルート以外では悲劇的な死を迎える。つまり、彼さえ救えれば、大きなバッドエンドをひとつ回避できる可能性がある。
(だから……今はむしろチャンス!)
私は覚悟を決めた。
「レオン様、夜はちゃんと寝てください! その書類、朝でも間に合います!」
「……ふむ。君はよく喋るな。だが、嫌いではない」
(攻略対象の好感度が上がってる気がするのは気のせいだよね!?)
⸻
そんなある日、宮廷の庭園で私は“彼”と出会ってしまう。
「おや、見慣れない顔だね。君、最近来た子?」
声をかけてきたのは、原作第2の攻略対象。
人懐っこい笑顔が印象的な、白銀の王子——ユリアン=セイルーン。
(いやいやいや!この人、表では爽やか王子だけど、実は裏で腹黒なんですよ!?)
しかも、ヒロインに執着しすぎて、ルートを間違えると闇落ちして監禁エンドに突入する、危険人物!
「クラリスです。あの、ちょっと急いでて——」
「ふふ、そんなに逃げることないじゃないか。ねぇ、少しだけ、話そうよ」
(ぎゃー!旗が立ったぁぁぁ!)
⸻
私の目標はあくまで「全員が幸せなエンディング」だ。
そのためには、誰も闇落ちさせてはいけない。
なのに、気がつけばまた違うルートのフラグが立ちかけている。
「クラリス。君、本当に面白い子だね」
ユリアンが笑う。レオンが静かに睨む。そして宰相府の使用人たちがざわつく。
(お願い、誰かこの空回りを止めてぇぇぇぇ!)
こうして、私の“絶対目立たない計画”はまたしても失敗したのであった——。
2
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
乙女ゲームの中の≪喫茶店の店長≫というモブに転生したら、推しが来店しました。
千見るくら
恋愛
社畜OL、乙女ゲームの世界に転生!?
でも私が転生したのは――女主人公でも攻略対象でもなく、ただの喫茶店の店長(モブ)だった。
舞台は大人気乙女ゲーム『ときめき☆青春学園~キミの隣は空いてますか?~』。
放課後、女主人公と攻略キャラがデートにやってくるこの店は、いわば恋愛イベントスポット。
そんな場所で私は、「選択肢C.おまかせメニュー」を選んでくる女主人公のため、飲料メーカーで培った知識を駆使して「魂の一杯」を提供する。
すると――攻略キャラ(推し)の様子が、なんかおかしい。
見覚えのないメッセージウインドウが見えるのですが……いやいや、そんな、私モブですが!?
転生モブ女子×攻略キャラの恋愛フラグが立ちすぎる喫茶店、ここに開店!
※20260116執筆中の連載作品のショート版です。
悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい
斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。
※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。
※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
転生メイドは貞操の危機!
早桃 氷魚(さもも ひお)
恋愛
クララは乙女ゲームの世界に転生した、モブのメイド。
最推しキャラの公爵令息、ロルフのメイドとして、不幸フラグを折りながら、天使のように愛らしい推しを守ってきた。
ロルフはクララに懐き、魔法学園に入学するときも、離ればなれになるのを嫌がるほど。
「帰ってきたら、ずっと一緒だからね?」
ロルフとそう約束してから三年後。
魔法学園を卒業したロルフが、ついに屋敷へ戻ってきた!
だが、クララの前に現れたのは、
かつての天使ではなく、超イケメンの男だった!
「クララ、愛している」
え!? あの天使はどこへ行ったの!?
そして推し!! いま何て言った!?
混乱するクララを、ロルフはベッドに押し倒してきて……!?
-----
Kindle配信のTL小説
『転生メイドは推しを甘やかしまくった結果、貞操の危機です!』
こちらは番外編です!
本編よりずっと前の、推しがまだ天使だった頃のお話です。
本編を知らなくても読めます。
【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!
くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました!
イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。
あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!?
長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!?
二人共あの小説のキャラクターじゃん!
そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!!
へっぽこじゃん!?!
しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!?
悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!!
とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。
※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。
それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください!
※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい
※不定期更新なります!
現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる