永久レベル1の科学鍛冶師 〜最悪の運でも知識でゴミスキルを上手に使って無双します〜

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第三章

やっと異世界な日?

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 俺らが楽しい談義をやめ、帰る準備をしている時だ。
「きっ、キャーーーッ!!!」

 俺等の元いた森の更に奥の方からそんな悲鳴が聞こえてきた。
 何があったのだろ…

「行くわよ!」

 マリーさんがそう言って駆け出す。
 俺はそれについていく他ない。
 マリーさんは今でも何処から手に入れたのか自衛隊風のアーミー柄の服を着ているが、それでもまあ自分より凄い人で、ってのが会話の中で分かる。
 ジャングルのようでなくてもかなり鬱蒼としたブナ林のような森の中を突き進む。
 マリーさんは滅茶苦茶足が速かった。
 もう何が起こってるのか分かんないくらいのスピードで進むのだ。
 はっきり言って起伏の激しい森の中でこれならオリンピックに出ても余裕で優勝出来そうだ。
 何でだろう。
 …そして数分してマリーさんが足を止める。
 本来の俺なら数分走ったら限界なのだが、まあ何かの力若しくは人が死にかけてるかもしれないと言う不安や恐怖のおかげであろう。

「駄目だわ。これ以上近づいちゃいけない」
「何があったんですか」
「見た方が早いわよ」

 マリーさんはそう言ってマリーさんが帰って来た奥の方を指差す。
 あそこまで瞬発的に体が動くような人を諦めさせる物ってなんだろう。
 そういう、興味半分、期待半分ってとこで指差す方を覗く。
 …そこには巨大な赤色の人の様な何かが立っていた。
 そして先程の悲鳴の主であろう男女の3人組がそいつにつつかれていた。
 いや、たしかにただつつれているだけに見える。
 しかし、その生物がちょっとでも触った部分はへこみ、鮮血が吹き出しており、既に死にそうだ。
 俺はただひたすら恐ろしくてそこに目を向けていることが出来なかった。

「あれ、なんですかマリーさん」
「あれは、そう、オーガよ。オークの進化種でオークとは比べ物にならない力を持っているわ。…悔しいし、悲しい。でも私達にあいつを倒すすべは無いからギルドに報告しに行きましょう?」

 そう言うとマリーさんは一度キッとオーガを睨んだあと、走り出した。
 …やっぱ男勝りってか…凄い人だな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 俺達はグレイさんに説明し、ギルドに来ていた。
 マリーさんはいろいろと抜け目なく、マンドラゴラもしっかり回収していたが、それでも行きにあれだけバテていたのは何だったのか行きの2倍以上早く街に着いた。


 そして今、大量のマンドラゴラを見て腰を抜かしたグレイさんにそれをそのまま預けてギルドに行き、冒険者用の場所は素通りしてギルドマスターの部屋に直行し、事情を話したらここのギルドのお偉いさんたちがみんな集まってきた…という所だ。

「オーガが出たってのは本当なんですか!?」

 ギルドマスターがそう言って机を叩く。
 かなりイライラしている。

「はい。残念ながら事実です。」

 マリーさんがしっかりと口にするとただでさえ騒がしかったギルドマスターの部屋が更に騒がしくなった。
    
「では冒険者の準備を急いでしなければ!」
「大変だ。忙しくなるぞ!」
「総員!持ち場に着けぇ!!!」

「良い情報をありがとうな。本当、この前まで名前も知らなかったのにここまでの活躍をした君にはギルド一同の期待の的だよ」

 ギルドマスターに褒められたのは嬉しいけど…なんか余裕だな。
 前回の、シーゴブリンだっけ?
 アレの時のざわめきとは大違いだ。
 なんかこう…自分の部署にでかい仕事が割り振られたぞ!みたいな雰囲気を醸し出している。

「ところで…君には頼ってばかりなんだがね。ギルド登録はしてあるみたいだし…このオーガ討伐のクエストをこなしてもらえないかな」

 ん?誰が?…俺か。俺なのか。
 周りからの期待の目は何に期待してるんだろうな~とか思っていたが、そういうことか。

「実を言うと…うちのギルドは少々実績が芳しく無くてね。もし今回オーガを倒したのが君なら…もちろん実績はすべて君のものだが、何か報道される時に君の名前と共に所属ギルドのルーム名も出されるんだ。だから、本当に入ったばかりの君に頼むのは申し訳無いんだが…頼まれてくれるかな」

 そゆことね。おっけい、了解。
 ……じゃ無くて!そういうのはたまたまの実績の俺じゃなくてベテランに頼んでくれ!
 俺は特にチート無いから勇者陣に頼め!

「…因みにオーガを倒した報酬だけど、お金か王家への宣伝…どっちが良い?」

 あ、はいはいもう受ける決定でいる訳ね。
 そういうのは前世でも慣れてるし…ま、気にしないでおこう。
 しかし王家へ宣伝か…気になるな

「王家への宣伝と言っていましたが実際どういう事ですか?」
「ああ、今まで宣伝は受けた事なかったのかな。…ま、要するに王家の人…主に王様にこんな強い奴が居るんだぜ!王家の力になるかもよ!って言って報酬の高い緊急クエストが貰えるように働きかける事なんだ。ただ、この前のシーゴブリンの件は流石にギルド登録もされて無かったからチーム名だけだからシーゴブリンを倒したのは9割君だってことは知られてないけどね」

 王様か。へぇ、面白そう。

「その緊急クエストって断ることは出来ないんですか?」
「いや、普通に断れるよ。ただ、報酬の価格が一般のクエストより数十倍高い上に大体の緊急クエストはその人にしか出来ないような物ばかりだからね。基本断る人はいないよ」

 はーん。いいこと閃いた。
 俺が強くなったら王からの頼みをドタキャンするのも良いってことか。

「おい、陽和よ。おぬし、何かよからん事を考えとるな」

 いつの間に入ったのかグレイさんがそう言いながら俺をジト目で見ていた。
 思いましたよ!そりゃそうでしょう!

「ま、取り敢えずオーガを倒してくれたらクエストをこなしてくれた事とみなして報酬を渡すから。宜しくね。じゃ僕は仕事があるし、じゃあね。」

 そう言うとギルドマスターは秘書に次の仕事はこれとこれとこれと…と伝えられていた。
 なかなかの過密スケジュールでいらっしゃる。
 ギルドから駆け出していった。

「あ、そうだ。陽和よ、儂は今から予定があるからの。ちょっとマリーさんのとこに行って茶でも出してもらうといいじゃろ」
「分かったわ。陽和君は私に付いてきなさい。美味しいお茶をご馳走するわよ」

 グレイさんはそのままどっかに消えたしマリーさんはそう言ってくれるからそれでいいんだろう。

「あ、マリーさん、ちょっとギルドの冒険者用の所よってもいいですかね?」

 そう、俺は今まで何回かギルドに来てるものの、入り口のエントランスに銀行(これは後で知ったことだが、ギルド銀行と言うらしい)に自分でも何で自分がいるのか分からない今居るギルドマスターの部屋。
 ここしか行ったことが無く、なんか冒険者のギルド!って雰囲気を味わえて居ないのだ。
 だから今日こそは異世界を味わ
「駄目よ。私は店に客がいるかも知れないんだから早く帰らなきゃいけないんだから」

 む、無念…
 俺はギルドから引き剥がされるようにギルドを後にしたのだった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あ、これ美味しいですね。」

 俺は結局マリーさんの家でお茶を貰っていた。
 地球だとダージリンティーに似た紅茶だ。
 ただ、あれよりも苦味が少なく香りや味が強い。
 ストレートはちょっと、というような中高生、そして俺にもストレートで飲める味だ。
 …何気に初めて召喚されて良かったと思えた瞬間である。

「そう?まあ、どちらかと言えばいいやつは使ったけど、そこまでいいやつじゃ無いわよ。むしろ、中途半端だから苦いんじゃない?」

 流石にこれを苦いと思うのは無い。
 むしろ少し甘いくらいだ。
 最初に一口飲んだ時は砂糖でも入れられてるのかと思ったが。

「それにしても陽和は凄いわ。シーゴブリンを倒して、ギルドに魔物除けの薬を売って。そこまでなら凄い!で終わる事なんだけど…強い冒険者は苦い物が嫌いで甘味好きってのが相場なのよ?」

 はい!バリバリ苦味は嫌いですがね!
 しかもシーゴブリンとかあれ絶対俺じゃ倒せないって…
 ただ、冒険者は甘味好きってどういう事だろう。
 それに…

「そういえばこの前マリーさんが言っていたエリクマの眼ってなんですか?」

 そう、あの時から頭の隅に引っかかってて気になっていたんだ。

「ああ、エリクマの眼っていうのはま、エリクサー、液化賢者石とも呼ばれてるんだけど。あ、完全回復薬とも呼ばれてるわ。で、それはまあどんな外傷はもちろん病気、持病や生まれ持ったものまで治すと言われてるわ。それは実際に作り方まであるんだけど、作るのにはエリクサーが作りたい量の半分必要で、まあ継ぎ足し継ぎ足しのスープみたいに考えてくれるといいわ。」

 ほーん。じゃ、あの五千金貨のあれエリクサーが無いと作れない訳ね。
 それでグレイさんに恩返し?をしてもいい気がする。
 あのまま放り出されてグレイさんが見つけてくれなかったら…最悪骨になってたし。
 あと、俺だけがエリクサーを作れるなんて最高の商売になるな。

「それで、その作り方ってどんな物なんですか?」
「それが大変でね、再生を司るダイヤモンドコマンドゴーレムの心臓と、まあ、その他諸々の素材、あとまあ入手方法が無いエリクサーそれに…」

 マリーさんが言葉を溜める。
 それに合わせて俺が喉をゴクリ、と鳴らす。

「黒触不龍の目玉と逆鱗よ」

 …はて、どこかで聞いた………!!!
 第三王女のやつじゃないか!
 俺はいきなりフラグが立ったように感じ、その場を離れ、テンプレ回避……出来なかった。

「祈里陽和って人居る!?って祈里じゃないどうしたのよそんな頭抱えて? …って、私?」
「ッッッ~~!!!!」

 第三王女がそう言って力強く開いたドア…にもたれかかっていた俺はフラグを回避しようとしたのが裏目に出て後頭部にドアが激突する。
 そして激痛から声にならない悲鳴を上げている。
 フラグ回避がまさか裏目に出るとは思わなかった。
 1時間ほどのたうち回っていたら、頭に水色の液体がぶっかけられた。
 なんだこれ!?

「安心して、それは下級ポーションよ」

 マリーさんがそう言う。
 なるほど痛みが引いてきた気がする。

「これはどうやって作るんですか」
 
 一見なんの変哲もない、異世界ならありそうなこの日が、陽和の平凡主義な思考に変化を作り出してしまうのだった。
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