死を経験した侯爵夫人は夫と別れたい~あなた達二人の邪魔はしません~

クロユキ

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披露宴の場で…③

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「アメリア様!?」
聞き慣れた男性の声にアメリアとアルベルトが一緒に後ろを振り向いた。
「医師様」
アメリアに声をかけたのは、ブロス家専属の医師だった。
「医師様も披露宴に呼ばれましたの?」
「仕事のようなものですが、披露宴では体調を崩される方もいますので呼ばれたのです」
「まあっ、披露宴に来ましてもゆっくり出来ないのですね」
「ははは、そうですね」
廊下を歩くアメリア達は会場となる部屋の中に入った。
ガヤガヤ、ザワザワと賑わう披露宴に音楽が流れ貴族達は楽しんでいた。
「アメリア様、痛みの方はありますか?」
「大丈夫ですわ。今までありがとうございました」
頭を下げるアメリアに医師は驚きと戸惑っていた。
「いえいえ、怪我をされました時はどうなるかと思いました…何度もお聞きしますが…ブライアン様の事は…」
「わたくしも目が覚めました…大切に想います方はわたくしの側にずっと居てくれました事に…」
「大切な方…」
アメリアは、隣にいるアルベルトに微笑んでいた。それを見た医師は目を見開いてアメリアが誰の話しをしているのか分かった。
「そ、そうでしたか…それは、気が付きませんでした」
医師は、アルベルトを見て頷いた。
「わたくしも怪我をして自分の気持ちにわかりましたの…わたくしがあの人を想いましてもキャサリン嬢が妊娠しているのです…わたくしは用のない人間です邪魔者は屋敷を出ますわ」
笑みを見せるアメリアにブライアンに未練が無いのを医師は知った。
(…頭を打った後遺症だろうか?)
「お集まりの皆様、ようこそお越しくださいました。私は、ミュール伯爵と申します。ブライアン・ブロス侯爵から皆様にお話しがあります」
アメリア達は、キャサリン嬢の父親がブライアンからの報告があると聞き振り向いた。
驚いたような顔をするブライアンを見てアメリアはじっと見ていた。
(相変わらず容姿は素敵ね…黙って立っていましたらわたくし好みですけれど、今は、あの人を見ても何も思わないなんて…離婚の手続きをして良かったわ。でも、慰謝料がまだよ。早く払ってくれないかしら?新居に考えています屋敷を建てないとアルベルトと住めないわ)
「…アメリア様…」
「え?何?」
「…彼が見ています…」
「彼?」
アメリアは、アルベルトがブライアンがアメリアに気付いたと知らせブライアンは、貴族の集まる場で報告をした。
「…わたくし、ブライアン・ブロスは、妻でありましたアメリア夫人と離縁致しました事をお知らせ致します」
ザワザワと貴族達が騒ぎ、アメリアの近くにいた貴族達はアメリアを見て哀れんだ目で見る者もいた。
「そして、キャサリン嬢の婚約を新たに結びました…彼女のお腹には新たな命が宿っています事をこの場を借りまして報告致します…」
ザワザワと驚く貴族達に笑顔が見え、会場は拍手の音が響きブライアンとキャサリン嬢の婚約が発表された。








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