死を経験した侯爵夫人は夫と別れたい～あなた達二人の邪魔はしません～

ブライアンの子

「ブライアン！？」
店に入って来たのはかって恋人だったブライアンが来ていた。
「久しぶりだな…」
「…もう、お店へは来ないでと言った筈だわ…」
久しぶりに会うブライアンにイザベラは戸惑っていた。
「そうだな、その様に言わせた俺が悪い…何度も君の店へ行っていた」
「えっ！？……」
「だが、君の姿はなく帰ったが…具合いでも悪かったのか？店員に聞いても君の事は暫く休みだと聞いただけで具体的な事は話してくれなかった……」
「……なんでも無いわ…ここに居ると貴方の奥様が機嫌を悪くするわよ帰って」
イザベラはブライアンを急かすように帰る事を言った。
「……オギャア…オギャア…」
店内の奥の部屋から赤ちゃんが泣く声が聞こえブライアンは驚いた顔で部屋の方を見た。
「……赤ん坊…！？」
「っ…」
カチャと部屋の扉が開き店員が赤ちゃんを抱っこして出てきた。
「ライアンちゃんがお腹を空かせているみたいです……あ！」
店員は、ブライアンを見て驚いた顔を見せ戸惑った。
「……ライアン…！？……まさか…」
ブライアンはイザベラの方へ顔を向けた。
「……この子は……俺の子？……」
「ち、違うわ帰って！」
イザベラは、店員から子供を受け取り部屋の中へ入って行った。
「……っ」
ブライアンはイザベラが入った部屋に入りイザベラは子をあやしていた。
「……イザベラ…」
ピクッとブライアンに背を向けたまま振り向かないイザベラは声を出した。
「……この子は、貴方の子ではないの…帰って…」
「……俺の子でないのなら…何故俺に似た名前をその子に付けるんだ？」
ビクッと震える体にイザベラは何も言えなかった。
「……どうして…話してくれなかった……」
「…言えるわけないでしょう…貴方には妻も子供もいる人に…まさか貴方の子を身籠っていたなんて…知らなかった…」
イザベラは、ブライアンに顔を見せず涙を流していた。