あなたが私を捨てたのです

クロユキ

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何も知らなかった…《カイン》

一人食事を終えたカインは廊下で窓を見ていた。
「カイン様…」
執事がカインの側に行き声を掛けていた。
「……妻はまだ帰っていないのか?」
「…先ほど、リナリ様を馬車に乗せました使用人が戻りましてリナリ様は、ご実家でお泊まりになりますと言われていました…」
「そうか……実家へ帰っていたのか……」
『明日、弁護士を連れて来ます』
「……」
自分から離婚を妻に話したのに何故こんなに苦しいのか…カインは複雑な気持ちで本当に自分は妻と離婚をしたいのか…カインは、今の自分の気持ちが分からなくなっていた。
「……カイン様、少し宜しいでしょうか…」
カインの側にいた執事が声をかけた。
「…今までカイン様に内緒にしていました事があります…」
「内緒?」
「リナリ様の事で御座います…」
「…妻が何かあったのか?」
「……リナリ様から口止めをされて来ました…カイン様は、城内で任務の時におにぎりを食べられました事はありますか?」
「おにぎり?……ああ、夜食にと騎士の誰かは知らないが皆で食べて欲しいと置いているおにぎりがある…執事は、おにぎりを持って来ていた者が誰か知っているのか?」
執事は、両手を重ねて小さく息を吐く姿が見えた。
「……リナリ様で御座います……」
「えっ!?」
「リナリ様が、巡回の騎士の方々とカイン様にとおにぎりをお持ちになっていたのです…」
カインは、驚いた顔を執事に向け動揺する姿を見せていた。
「…な…つ、妻が?……あのおにぎりを作って持って来たと言うのか?」
「…はい……リナリ様は、夜遅くまでお仕事をなさいますカイン様と騎士の方におにぎりを食べていただきたいと…料理人と一緒におにぎりを作っていました……」
「……し、知らなかった…妻は…俺には何も……」
「…お知らせしないようと申されて…今まで黙っていました…」
「……」
カインはリナリが自分に分からないように自分を支えてくれた事に肩を落とし自分はなんて事をしたのだろうと…涙が流れ落ちていた。





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