信じていました…

クロユキ

文字の大きさ
1 / 90

安らぎと裏切り

それは、雨が降り続き私は夫から聞き胸が引き裂かれる痛みだった。
「え…赤ちゃんが…」
「……残念だが…死産だった…取り上げた時にはもう……」
「嘘…嘘よ…だってお腹の中で動いていたのよ!嘘よ、私の子が亡くなったなんて嘘だと言って!!」
「ローラ…」
夫の悲しむ顔を見て私の子は亡くなったのだと……
「あああああああーーーーっ!!!」
私の元へ生まれてくる子は男の子だったと聞いた。
それからの私は体調を崩し寝たきりの日が続いた…目を開ければ生まれてくるはずだった子供を思い出しては泣く日が続いていた。
「ローラ」
「アリーヌお姉様…」
姉が私を心配して見舞いに来てくれた…二歳年上の姉は私の夫クリストフと同じ年で学園も一緒だった…姉からの紹介で私は夫と出会った。姉も結婚をして子供はいないが、夫婦仲良く暮らしていると私達に会いに来た時は姉は良く話しをしていた。
「…ローラ…可哀想に…こんなに窶れて…食事は食べているの?」
「ううん…喉に通らなくて…ごめんなさい…お姉様に心配をかけてしまって…」
「何を言っているの二人だけの姉妹じゃないの、姉の私が妹の貴女を心配するのは当然じゃない…お父様もお母様も心配していたわ。貴女が落ち着いた時に会いに来るからと言っていたわ」
「うん…」
姉のアリーヌは、ベッドの上で座るローラを抱き締めた。
コンコン!
「来ていたのか」
「ええ、妹が心配で…貴方も気を落とさないで…」
「ああ…」
抱き締めていた手を離し夫のクリストフが私の側に来ると私の手を握り締めた。
「…悲しんでいては、この子も君が心配で女神様の元へ行けないよ…この子の為に君が元気になってくれたら喜んでくれるよ…」
「…旦那様…」
私は、この子の為に強くならなければと涙を拭い、姉と夫に笑顔を見せ私の心の中で息子は生きていると祈りを捧げた。
「私は、帰るけど大丈夫ね」
「ありがとう…お姉様」
「もう帰るのか?お茶でも飲んで帰ると良い」
「そうね、じゃあ少しだけ飲んで帰るわ」
姉は笑顔を見せ夫と一緒に部屋を出た。私は、起こしていた体を横になり息子は側で一緒にいるのだと私はまた眠る事にした。
姉のアリーヌは、クリストフの部屋でソファーに座り二人でお茶を飲んでいた。
「ちゃんと食事はしているの?あんなに痩せてしまって…可哀想なローラ…」
「すまない…私も何を話せばいいのか…彼女の悲しむ姿を見ると……」
クリストフは肩を落とし気が沈んでいた。
「…暫くは会わない方が良いわね」
「えっ!?どうしてだ?」
「夫が近いうちに旅から帰って来るの…」
「!」
「はぁ…売れない絵を持って帰って…私の店の方がよっぽどお金を稼いでいるわ」
「そうか…義兄さんの絵か…半年旅して何枚売れたんだろう?」
「知らないわ」
カチャとカップを小皿に乗せアリーヌは、クリストフの膝の上に体を横に向け腰を下ろし口付けを交わした。
「はぁ…紅茶の味がする…」
「ねぇ、今から良いかしら?」
「ああ…久しぶりだから抑えがきかないかも」
「ふふっ」
ローラは、夫と姉の秘密を知らず今は眠り続けた。






あなたにおすすめの小説

あなたの妻にはなりません

風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。 彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。 幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。 彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。 悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。 彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。 あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。 悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。 「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?

白雲八鈴
恋愛
 我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。  離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?  あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。  私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?

今さらやり直しは出来ません

mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。 落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。 そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……

[完結]待ってください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ルチアは、誰もいなくなった家の中を見回した。 毎日家族の為に食事を作り、毎日家を清潔に保つ為に掃除をする。 だけど、ルチアを置いて夫は出て行ってしまった。 一枚の離婚届を机の上に置いて。 ルチアの流した涙が床にポタリと落ちた。 ※短編連作 ※この話はフィクションです。事実や現実とは異なります。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

【完結】さよなら私の初恋

山葵
恋愛
私の婚約者が妹に見せる笑顔は私に向けられる事はない。 初恋の貴方が妹を望むなら、私は貴方の幸せを願って身を引きましょう。 さようなら私の初恋。