信じていました…

クロユキ

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嘘と戸惑い

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「…戻ろう」
「まだ一緒にいたいわ…ねぇ、今夜泊まっていい?」
「えっ!?お兄さんがいるんだ君はお兄さんと一緒にいないと…」
戸惑うクリストフはアリーヌに兄と一緒にいるようにと言った。
「…はぁ…わかったわ…」
いつも屋敷に泊まっていたが兄が、帰っているのに泊まらせたら何を言われるのかわからないとクリストフは思った。
奥の庭園から歩いて帰る二人をローラは笑顔で出迎えた。
「お帰りなさい、花は楽しめた?」
何も知らない妻にクリストフは胸が痛んだ。
「ええ、綺麗に咲いていたわ。ねっ、クリストフ」
「えっ!?あ…ああ…」
クリストフは、アリーヌの側を離れ椅子に座るローラの側に立ち手を差し出したが途中で止めてしまった。
「旦那様?」
「あ、いや…なんでもないんだ…さっき木の幹を触っていたから…」
クリストフは、アリーヌを抱いていた手で妻の手を取るのを拒んだ。
ギュッとローラがクリストフの手を掴み笑顔を見せていた。
「別に気にしていません…旦那様…」
カタッと椅子から立ち上がったローラはハンカチを取り出しクリストフの顔を拭いていた。
「ローラ?」
「歩いて奥の花道まで行ったので汗が流れ落ちてました」
「あ…ごめん…」
何も知らない妻にクリストフは心の中で謝るしかなかった。
「仲が良いんだね」
「そうね」
自分の側に来ないアリーヌにアランは気まずく思ったがアリーヌに旅先での話しをした。
「アリーヌ、機嫌を良くしてくれ…半年も家を空けた事は謝る君が気分を悪くしているのは、もしかしたら私が浮気していると思ってだろうか?半年も帰らないならそう思うかもしれない…だが、私は浮気などしていない…今すぐ信じろと言われても無理かもしれない、私が愛しているのは君だけなんだ」
「……」
アリーヌは、何も言わず顔を逸らしていた。
クリストフは、兄がアリーヌを愛していると聞き兄にアリーヌとの関係がわかってしまった時を思うと血の気が引く思いだった。
「お姉様、お兄様は暫く旅は行かないと言われてました。良かったですね」
「えっ!?旅に行かない?」
アリーヌは、驚いた顔で夫のアランに顔を向けた。
「ああ、君を一人にしていたから暫くは街で旅先で描いた絵を売るつもりだ」
「ク…ローラに会いに行けないじゃない」
「別に会いに行くなとは言っていないよ、いつでも君が好きな時間に行けばいい…だが、クリストフ君達の生活を邪魔しないように」
「……」
私は、お姉様が喜ぶと思っていた…何故お姉様が喜ばないのか私は、知りたくなかった真実を知ってしまった…



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