信じていました…

信じていた人の裏切り⑤

「お、奥様！？」
戸惑う執事とメイド長に私は、姉が旦那様の奥様になると話しをした。
「話しは後日屋敷へ来た時に弁護士を連れて来るわ」
「べ、弁護士！？」
「奥様、落ち着いてください…弁護士などと…」
「いいから早く馬車の用意をして欲しいの」
笑顔を見せないローラに執事とメイド長は戸惑い、クリストフへとどうしたらいいのか顔を向けた。
「だ…旦那様…」
「……」
ローラから叩かれた頬を触ったクリストフはギュッと手を握り締めローラの荷物のカバンを取り上げた。
「な！？何をするの？返して！」
「…こんな夜遅くに帰ると皆が驚いてしまう…」
「っ…いいわ…荷物は後から取りに来るわ…」
タタタタと階段を降りたローラは玄関の鍵を開け外へと走り出した。
「お、奥様！？」
「奥様！！」
「っ」
ローラの突然の行動に驚いた執事とメイド長は真っ青になりクリストフはローラの後を追い屋敷を出た。
「ドナルドさん…どうしましょう…」
「と、とにかく馬車の用意だけでもします…後は、旦那様が奥様をお連れになるのを…」
「ううっ…」
「メイド長！？」
「…あんまりです…旦那様も…アリーヌ様も…奥様がお子様を亡くされてやっと元気になりましたというのに……」
「……物静かな方を…旦那様は怒らせてしまいました…」
屋敷の外を出たローラは走った…足の痛み等感じないくらい走り続けた…
「ローラ！！」
やっと腕を掴んだクリストフはいつの間にか屋敷の門を出ていた。
「離して！私は家に帰るの！」
「家は、私達の家があるじゃないか」
「貴方の家はお姉様と一緒に住む家じゃない、私の事はほっといてよ！二人で子作りでもすればいいんだわ」
「っ！」
クリストフは、ローラの体を抱き締めた。
「！離してよ！今まで私を騙してお姉様が屋敷へ来た時二人で愛を誓っていたんでしょう？庭園で花を見るなんて嘘を言って二人で私とお兄様を騙していたんでしょう？」
「……」
抱き締めて何も話さないクリストフに自分が言った事は本当なんだと涙が流れた。
「…嘘つき…嘘つき…大っ嫌いよ！わああああ～～～っ！！」
「……ローラ…」
子供のように声を上げるローラは、クリストフは初めて見た…自分を信じ今度生まれて来るかもしれない子供をクリストフは裏切ってしまった…