信じていました…

クロユキ

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信じていた人の裏切り⑮

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書斎の部屋を出たアランは廊下を歩いていた。
ブルブルと震える手を見て握り締めた…怒りを抑えるのが苦痛だった。
「……彼女は…私以上に苦しんだだろう……」
アランは、途中メイドにローラの部屋に案内させた。
コンコン
「奥様…アラン様がお見えです…」
しーんと部屋の中から何も聞こえなかった。
「奥様はお休みだと…」
「ありがとう、部屋の中で待とう」
「えっ!?あの…」
アランは、メイドの戸惑う姿を見てローラの部屋へ入った。
部屋の中に入ったアランはベッドの上で眠るローラを見下ろしていた。
ローラの目元は腫れているように見え、瞼にはさっきまで泣いていたと思う涙の粒が見えていた。
「……君も…信じていた人に裏切られたんだな……」
アランは近くにある椅子を持ちローラが眠るベッドの側に置くと腰を下ろし起こす事をせずローラの寝顔を見ていた。
ふと目を逸らした時棚の上に籠に入った何個もある毛糸を見つけた。
「…編み物!?…」
椅子から立ち上がったアランは籠の中にある小さな縫い終えた毛糸の服を見付けた…空色の毛糸の服だった。
そして、途中まで編んだ白い毛糸の服をアランは手に取りローラを見おろした。
「……今度生まれてくる子の服を編んでいたのか…君も前を向いて生きようと子供の事を考えていたのに…」
アランは手に持った小さな服を籠に戻しローラの足元を見て首を傾げた。
「……両足に包帯?」
「ん…」
ローラは人の気配に目を開けた。
「……アラン…お兄様…!?」






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