旦那様から彼女が身籠る間の妻でいて欲しいと言われたのでそうします。

クロユキ

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父と娘④

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「孫の名前はなんて言うんだ?」
「セリーヌって言うの…私とあの人と一緒に考えた名前なの…」
目に涙を溜め昔を思い出すセリーヌの母親は笑顔を父親に向けていた。
「…こんなに泣き虫ではなかったのに…お父様の顔を見たら安心して…お父様もお母様も病気はしていないの?」
「ああ、私達は元気だ心配要らない…」
「…アルフレッドは…お父様の跡継ぎを?」
「ああ…結婚をして二人子供がいる…お前の娘と歳は近い…いつかお前達親子をアルフレッドに会わせたい…」
「……会ってくれるかしら…」
「お前の事を一番に心配していた…仕事の合間を見て捜しもしていたんだ…」
セリーヌの母親は父親の話しを聞き弟が捜していたと思うと胸が苦しくなりそうだった。
「ところで、セリーヌが結婚したと聞いたが本当なのか?」
「えっ…どうして知っているの?」
「花を買いに来た時にセリーヌから聞いた…お前の店を教えてくれたんだ」
「そう…」
セリーヌの母親の沈んだ顔を見た父親は何かあったのだろうかと気になった。
「結婚生活が心配なのか?」
「……それもあるけれど…お父様、アルベリック男爵を知っている?」
「アルベリック男爵?……ああ、知っているが彼がどうした?」
「…どんな人なの?」
「そうだな…明るい性格もあって披露宴では良く貴婦人達と話しをしているのを見た事はあった。確か少し前噂があったな…」
「噂?」
「なんでも婚約している令嬢とアルベリック男爵が付き合いをしていたとか…」
「えっ…」
「その女性も男爵だったが婚約者が令嬢が浮気をしているのを知り婚約破棄になったと聞いた…アルベリック男爵とその令嬢は両家から反対がありアルベリック男爵に縁談の話しがあったが、いつの間にかアルベリック男爵が別の女性と付き合いをしていると聞いた。数日前に結婚をしたそうだ…ほとんどが親族や身近な者を集めての細やかな結婚式だと聞いた」
「……」
セリーヌの母親は手を握り締め震えていた。
「そういえば、アルベリック男爵もお前の花を買いに来ていたな珍しいと思ってセリーヌと楽しげに話しをしていたのを見た事はあった」
「……セリーヌは…あの子は…騙されていたの…」
「ジェニファー?騙されていたと言うのは誰の事なんだ?」
「セリーヌは…あの子の結婚相手は…アルベリック男爵なの…」
「何!?」
ガタッと椅子から立ち上がった父親は驚いた顔をセリーヌの母親に見せ、セリーヌの母親は肩を落とす姿を見せていた。






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