私が死んで後悔した人達へ~捨てられた侯爵夫人の一年間…振り向いてくれるのを待ち続けた~

クロユキ

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遅すぎた夫婦②

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「お帰りなさいませ、旦那様」
メイド達の声を聞きアレックは六日ぶりに屋敷へ帰ってきた。
アレックは周りを見渡し声をかけた。
「エミリーはまだ実家から帰っていないのか?」
ピクッとソフィアの重ねた手が動いた…
「……まだで御座います…」
「そうか…帰っていると思ったが、エミリーが帰って来たら知らせてくれ」
「…わかりました…」
執事にエミリーを言伝てアレックは階段を上がり部屋へと向かった。
「奥様!?」
ヨロッと傾いたソフィアの体をメイド長が支え、側にいた執事にメイド達はソフィアを心配した。
「…大丈夫よ…ありがとう…ありがとう、みんな…久しぶりに楽しかったわ…」
「奥様…」
ソフィアはアレックが自分でなくエミリーを捜しているのはわかっていた…
「…また…この生活が始まるのね…」
「奥様…」
「大丈夫よ…」
「お休みになられては…」
「…あと少しで終わるから…旦那様は私を見たのに何も話さなかったわ…一言でも『大丈夫だったか』と言って欲しかった…でも旦那様はエミリーを捜して…」
「奥様…お考えにならないように…お体に堪えます」
「私は旦那様と一緒に仕事ができないかもしれない…今までの旦那様とエミリーを知ってしまった時から少しづつ…旦那様の声や顔を見て聞いただけでも震えが止まらないの…」
ソフィアの震える手を見たメイド長は何も言えずにいた…
アレックは部屋に入り机の上に束ねた書類がない事に気がついた。
「…確かに出掛ける前に机の上に置いたが、執事が代わりにしたのか?まあ、帰ってから仕事はしたくなかったんだ」
アレックは機嫌良く散歩道を歩いていた。
「一人で歩くのはなれないな…エミリーが一緒だと退屈しないが、今日帰っているだろうと思って早く帰ったが明日には帰って来るだろう。エミリーが好きな物を沢山買ったから喜ぶ顔が楽しみだ」
笑みを見せるアレックはフッと顔を見上げ屋敷の方へ目を向けた。
「夫の俺が帰って来たのに出迎えもなかったな…まだ、具合いが悪いのか?いい加減仕事をしてくれないと困るんだが…なんの為に屋敷にいるんだか…何故俺は彼女を妻に選んだんだ?今思えばエミリーを妻に迎えればと後悔するとは…父が亡くなって仕事が忙しくだから俺は一緒に仕事ができる妻になる女を捜して彼女を選んだ…仕事では助かるが私生活が億劫になってくる。
毎日のように俺の顔色を伺ってそれが嫌で彼女を突き放して来た…エミリーのように可愛い所があればと思ったが…はぁ…エミリーが早く妊娠すればいいのだが…俺はエミリーと子供と一緒に暮らし彼女は実家に戻り別の男と…結婚するのか?」
モャッとしたモノがわからないアレックは首を振った。
「はぁ…俺も疲れているな…エミリーが、妊娠するのかしないのかはまだわからないんだ…今日は早く休むとしょう…」
アレックは息を吐きエミリーといつも過ごしている庭園へと歩いていた。
昼食の時間ソフィアは食卓に顔を出さなかった。




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