私が死んで後悔した人達へ~捨てられた侯爵夫人の一年間…振り向いてくれるのを待ち続けた~

クロユキ

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幸せな日は来ない⑦

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エミリーは、一人ベンチに座り泣いていた。
コッと目の前に足を止める音を聞いたエミリーは、ポールが戻って来たのだと顔を上げポールの名前を呼んだ。
「ポール!?戻って…」
「彼は来ないわ」
「!っ…な、何しに来たの…」
エミリーの目の前に立っていたのはポールの婚約者だった。
「貴女にお礼が言いたくて来たの」
「お礼?」
「ポールさんと別れてくれてありがとう」
「わ、私は、別れるなんて言っていないわ…」
「貴女、ポールさんがいるのにお姉様の夫に手を出したのでしょう?ポールさんは凄く傷ついて食事も出来なかったのよ」
「……ぅ」
「お姉様の夫と結婚するのにどうしてポールさんに付きまとうの?」
「私は…アレックとは結婚出来ないの…彼は他の人と…」
「あ、ごめんなさい、そうだったの…」
エミリーは、アレックに会えず自分が知らない間にアレックが結婚していたのを思い出し震えていた。
「彼が結婚していたからといって私の婚約者に近づかないで欲しいわ」
「ポ、ポールと私は愛し合っていたの…子供も…」
「私もポールさんと愛し合っているの。私のお腹には彼の子がいるの」
「!?え…」
笑みを見せるポールの婚約者にエミリーは驚き目には涙を溜めていた。
「…う…嘘よ…」
「嘘ではないわ。お義父様とお義母様も凄く喜んでくれてポールさんは私とこの子の為に泣いてくれたわ。式が終わって私達は別荘に住むの」
「べ…」
エミリーは、ポールから母親が別荘を用意していたと話していたのを思い出し、自分とポールが住むはずだった別荘が彼女に変わってしまった。
「それから、さっきのように後ろから抱き締めるのを止めて欲しいの、子供なら良いけれど大人の貴女が子供みたいにされると困るの」
「な…」
「貴女は、ポールさんと別れたの彼の周りをウロウロしていたら迷惑だわ。今後、私達家族とは関わらないで欲しいのそれを貴女に言っておくわ」
ポールの婚約者は、エミリーに話し終えるとポールの元へと歩いて行った。
「…ううっ…う…ポール…」
エミリーは、アレックもポールも自分の側を離れて行く姿に涙を流し、使用人がエミリーを捜すまで泣き続けていた。
「お待たせしました」
「…彼女に話したい事は言えた?」
「ええ、私達家族には二度と関わらないでと彼女に話して来ました」
「…君に嫌な事を言わせてしまったね…」
ポールは、申し訳ないと婚約者の手を握り絞めていた。
「彼女もポールさんの苦しみを知るべきだと思って話しをしました…もう、彼女の事で貴方が苦しむ事はありません」
「…ありがとう…君に会えて良かった…生まれてくるこの子の為に、僕は君と子供を守ると誓うよ」
「ポールさん…」
ポールは、婚約者にキスをしてエミリーとの思い出は心の奥底へと沈めた……




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