夫は家族を捨てたのです。

クロユキ

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少しでも……

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私は、別荘に泊まらず宿に泊まる事になった。
「一泊二部屋を頼む、それから食事を彼女の部屋へ運んでくれ」
「分かりました」
「あ、あの…食事は要らないです…今そんな気分では…」
「少しでも食べた方がいい」
「……」
私は、先に部屋へと入りベッドの上に座った。
「……」
何も考えずぼんやりとしていた。
コンコン
「食事をお持ちしました」
「あ…ありがとうございます…」
テーブルに料理が置かれ私は食べる気分にはならなかった。
沢山泣いたせいなのか涙は出なかった。
「……アラン……エリックさん……会いたい……」
私は、私の帰りを待っている家族に会いたいとそればかりを考えていた。
コンコン
「食事は……」
何も手に付けていない料理を見て馬番の男性は小さく息を吐いた。
「食べたくなくても少しは食べた方がいい…」
「……」
カタンと馬番の男性は椅子を私の側に置き座った。
「もし、良かったら話しを聞こう…少しは楽になるかもしれない」
「…お話しをしても私の気は晴れません…」
「……そうか…もし話せるようになったら俺は隣の部屋にいる」
「……」
馬番の男性は、私にそう話し部屋を出て行った。
どれくらい経っただろう…私は、テーブルの上に置かれた料理を食べ始めた。
「……美味しい……うっ……ううっ…お、美味しい……あなた…」
私は、夫が作ってくれた料理を思い出し冷めてしまった料理を食べていた。
外へ馬の様子を見て戻って来た馬番は宿屋の女性が皿を持って部屋から出ていた。
「あの、料理は食べたでしょうか?」
「ああ、連れの方だね幾らか食べてくれたようだよ」
「ありがとうございます…」
馬番の男性は料理を食べたと聞いてホッと息を吐いた。
私は、話し声が聞こえ扉を開けると馬番の男性が笑顔を見せていた。
「料理を食べたそうだな、良かった。良かった」
「……あの…お話しを聞いて貰って良いですか?」
「…無理していないか?……」
「……家に帰って家族に会っても私は泣いてしまうと思います…でも、少しだけ聞いて頂けたら……」
私は、途中で言葉につまってしまった。
「分かった。話しを聞こう…途中で無理だと思ったら話さなくていい」
「ありがとうございます…」
私は、馬番の男性を部屋に入れ話しをする事になった。





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