夫は家族を捨てたのです。

打ち明ける勇気

エリックは、自分の腕の中で涙を流すシェリーを初めて見た。
「……な、何があったんだ？」
「……う……っ……」
エリックに声を出したくても涙で声が出せずにいた。
人はそんなにいないがチラッチラッと見る人もいた。
「と……とにかく家の中へ入ろう…」
「……ご、ごめんなさい……」
やっと声に出したシェリーは、エリックと一緒に家の中へ入った。
「お帰りなさい…お母さん？どうして泣いてるの？」
私は息子のアランを見てギュッと抱き締めた。
「……グスッ…なんでもないの…アランに会えたからお母さん…涙が出ちゃったの…」
「僕は何処も行かないよ？」
「ええ、ええ…アラン…大好きよ……」
「僕もお母さんか大好きだよ、だからもう泣かないで」
息子のアランが私を心配しているのが分かった私は涙を拭った。
「ふふっ……ただいま…アラン…」
「お帰り、お母さん」
私は笑顔を息子に向け私の様子を見るようにエリックさんが側に立っ姿が見えた。
「あ…アラン、お皿を持って来て…お土産よ……」
「お土産！」
宿の女将さんが蒸したカップのケーキを渡してくれた。
「わーい、わーい！」
息子は大喜びで台所の棚を開けお皿を持って来た。
「自分の部屋で食べてね、お母さんは、エリックおじさんにお話しがあるから…」
「うん、分かった」
カップケーキを持って息子は自分の部屋へと行き私はエリックさんを見上げた。
「……話しがあります…」
「分かった…」
エリックさんと私はテーブルの椅子に座りじっと私を見るエリックさんに私は小さく息を吐いた。