夫は家族を捨てたのです。

行方が分からない元夫②

私達は、モリスさんの話しを聞いて黙ってしまった。
「……アルバートは何処へ…」
「……」
お義母さんは心配する声を出しお義父さんは目を閉じて黙ったままだった。
「……アイツの事だ…また別の場所へ行っているはずだ」
夫のエリックは、息を吐いて声に出し私はあの人の子供がどうなったのかモリスさんに聞いた。
「……モリスさん、子供達は…」
「…身籠っていた若奥様は無事に子供が生まれました…女の子でした」
「無事に産まれたのですね…」
「それで……若奥様ですが、大旦那様の紹介で再婚をしたのです」
「再婚！？」
私は、アルバートと別れたばかりなのにと思ってしまった。
「大旦那様が屋敷にいる間屋敷に居ましたメイドや使用人の入れ替わりをされたのです…」
「入れ替わりをですか？」
「若奥様の子供の躾がなっていないと言われて…社交場で噂になっていたようなんです…それで、大旦那様は帰って来たのだと思います…俺も良い機会だと思って馬番を辞めたのです…」
「そうだったのですか……」
貴族でも子供の教育が噂になるのだと思った…貴族になったあの人は、妻と一緒に子供を育てる事を忘れてしまった…自分の指示の一声で動いてくれるメイド達に任せてしまったのが彼女の父親に怒りを買ってしまった…