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見てしまった…
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仕事から帰ったルイーゼは食事の部屋でフェリクスとメロディの楽しむ会話が聞こえた。
「…ただいま帰りました…」
「ああ、ご苦労だった」
「お帰りなさい、ルイーゼ様。今日、フランソワ王子様から花束を頂いたのとても綺麗な花でずっと見ても飽きないの」
フランソワ王子が帰ってからもメロディは興奮していた。
「……」
「花束で喜ぶのなら私からも花束を贈ろうか?」
「フランソワ王子様だから嬉しいんです。フェリクス様からはいつも頂いているから遠慮しますわ」
「おいおい、私の花束は要らないのか?」
ハハハハと声を上げて笑うフェリクスとメロディの声を聞きルイーゼはモクモクと食べていた。
(……花束…私は、フェリクス様から一度も貰った事がないわ…)
ルイーゼは、二人を見て自分だけ取り残されているような気分になっていた。
その日の夜ルイーゼは眠れなかった。
「……フランソワ様の花はそんなに見惚れるほど綺麗な花だったのかしら…」
ルイーゼは、ベッドの側を離れ部屋を出た。
暗い廊下は外からの月の明かりで歩く事が出来る…ルイーゼは、メロディの部屋の前に立ち扉を叩こうとして止めた。
「……こんな夜に部屋に行ってフランソワ様の花を見せてと頼むのは変よね…それにもう寝ている時間だから…朝にでも見せて貰おうかしら…」
ルイーゼは扉を叩くのを止めフェリクスの部屋の方へと顔を向けた。
「……」
結婚をしてから一度も一緒に過ごした事がないルイーゼはフェリクスの部屋へと足を止めた。
「……」
(……フェリクス様に会って何を言えばいいの?子供が欲しいですと本人に言えばいいの?)
「……はぁ…部屋に戻って寝ましょう…明日も仕事だから…」
「……ああ…」
「!?」
ルイーゼは、フェリクスの部屋から離れようとした時聞き覚えのある声に体が固まった。
「え……メロディ様?」
ルイーゼはフェリクスの部屋を静かに開けて部屋の中を見て驚いた。
ルイーゼが見たのは、部屋の中でフェリクスとメロディが愛を囁く姿を見て思わず手で口を押さえ真っ青な顔になり急いで自分の部屋に戻った。
「……ん?」
「どうしたの?フェリクス…」
「いや…廊下を歩く音がした…」
「メイドじゃないの?私達の事をルイーゼ様に話さないようにと口止めしているから大丈夫よ」
「そうだが…」
ゴソッとベッドの上に上半身を起こしたフェリクスは乱れた髪の毛を手で触っていた。
「それともルイーゼ様と一緒に過ごしたいと思ったら一度だけ許してあげるわ」
「…それで子供が出来たらどうする…」
「もう、子供の話しはしないでよ!」
メロディはフェリクスに嫁いで過ごす日は多かったが子供にはまだ恵まれてはいなかった。
「悪かった…気分を悪くしないでくれ…」
「…私だけを愛してくれる?」
「ああ…メロディ…」
フェリクスはこのままルイーゼと過ごす事は無いのだろうかと思い始めていた。
「…ただいま帰りました…」
「ああ、ご苦労だった」
「お帰りなさい、ルイーゼ様。今日、フランソワ王子様から花束を頂いたのとても綺麗な花でずっと見ても飽きないの」
フランソワ王子が帰ってからもメロディは興奮していた。
「……」
「花束で喜ぶのなら私からも花束を贈ろうか?」
「フランソワ王子様だから嬉しいんです。フェリクス様からはいつも頂いているから遠慮しますわ」
「おいおい、私の花束は要らないのか?」
ハハハハと声を上げて笑うフェリクスとメロディの声を聞きルイーゼはモクモクと食べていた。
(……花束…私は、フェリクス様から一度も貰った事がないわ…)
ルイーゼは、二人を見て自分だけ取り残されているような気分になっていた。
その日の夜ルイーゼは眠れなかった。
「……フランソワ様の花はそんなに見惚れるほど綺麗な花だったのかしら…」
ルイーゼは、ベッドの側を離れ部屋を出た。
暗い廊下は外からの月の明かりで歩く事が出来る…ルイーゼは、メロディの部屋の前に立ち扉を叩こうとして止めた。
「……こんな夜に部屋に行ってフランソワ様の花を見せてと頼むのは変よね…それにもう寝ている時間だから…朝にでも見せて貰おうかしら…」
ルイーゼは扉を叩くのを止めフェリクスの部屋の方へと顔を向けた。
「……」
結婚をしてから一度も一緒に過ごした事がないルイーゼはフェリクスの部屋へと足を止めた。
「……」
(……フェリクス様に会って何を言えばいいの?子供が欲しいですと本人に言えばいいの?)
「……はぁ…部屋に戻って寝ましょう…明日も仕事だから…」
「……ああ…」
「!?」
ルイーゼは、フェリクスの部屋から離れようとした時聞き覚えのある声に体が固まった。
「え……メロディ様?」
ルイーゼはフェリクスの部屋を静かに開けて部屋の中を見て驚いた。
ルイーゼが見たのは、部屋の中でフェリクスとメロディが愛を囁く姿を見て思わず手で口を押さえ真っ青な顔になり急いで自分の部屋に戻った。
「……ん?」
「どうしたの?フェリクス…」
「いや…廊下を歩く音がした…」
「メイドじゃないの?私達の事をルイーゼ様に話さないようにと口止めしているから大丈夫よ」
「そうだが…」
ゴソッとベッドの上に上半身を起こしたフェリクスは乱れた髪の毛を手で触っていた。
「それともルイーゼ様と一緒に過ごしたいと思ったら一度だけ許してあげるわ」
「…それで子供が出来たらどうする…」
「もう、子供の話しはしないでよ!」
メロディはフェリクスに嫁いで過ごす日は多かったが子供にはまだ恵まれてはいなかった。
「悪かった…気分を悪くしないでくれ…」
「…私だけを愛してくれる?」
「ああ…メロディ…」
フェリクスはこのままルイーゼと過ごす事は無いのだろうかと思い始めていた。
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