捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

文字の大きさ
6 / 196

真実を知ったとき…

しおりを挟む
エミリーは姉のソフィアに会いたいと言っていたが、体調の事を考え今は安静にとエミリーを休ませていた。
「……しばらく、妻と二人にして欲しい…」
アレックは部屋にいたメイド達を部屋から出るように伝え、ソフィアの部屋にはアレックとベッドの上で眠るソフィアと二人になった。
「……君の手はこんなに小さかったのか…君の髪の毛は焦げ茶色で背中まで伸ばしていたんだ…いつも後ろに束ねていたから…」
アレックはソフィアの髪の毛を一房手に取り口付けをした。
「……すまなかった…俺は君を傷つけ手の届かない所へ逝かせてしまった……何度も君と向き合おうとした…手を触れた時君が驚いた顔で見ていたから嫌なんだと思い込んでしまった……そんな時にエミリーが屋敷へ来たんだ…エミリーの笑顔に話しかけてくる姿を見て君とエミリーを比べるようになっていた…エミリーが俺とソフィアの子供の話しになった時、関係を持った事はないと話してしまった…その頃から俺とエミリーは……ふ…こんな話をして俺は……」
コンコン!
「……旦那様…奥様のご家族がお見えです」
「……通してくれ…」
メイドは、ソフィアの両親を部屋に入れるとベッドの上で眠るソフィアを見つけ震える体でベッドに近づいた。
「……ソフィア…?」
「…あああ……!?」
両親は声を上げてソフィアを触り続け、左手の包帯に血がついているのに気が付いた。
「……侯爵…娘に何があった?」
「……」
「何があったと聞いている!」
父親はアレックの胸ぐらを掴み声を上げていた。
「……妻は……自ら…手を……」
「理由はなんだ?娘に何があったんだ…」
グッと手を握りしめるアレックは重い口を開いた。
「……エミリーさんに…子供が出来た事を知って……妻は…」
「……子供?何を言っている?エミリーはまだ結婚はしていない、式は来月挙げる事になっている」
「!?式…?」
アレックは目を見開いて父親を見ていた。
「エミリーから何も聞いていないのか?来月エミリーは、伯爵家の嫡男と式を挙げる事になっている」
「!?」
アレックは気が抜けたように真っ青になり震えが止まらなかった
「結婚する前にソフィアに会いたいと言って通っていたはずだ。だが、ここ数ヵ月帰って来ない為迎えに行く所だった…ソフィアの側から離れたくないのはわかるが、婚約者を数ヵ月も会わせないわけにはいかないだろう、婚約者の彼も心配していた」
「……」
「子供は、君とソフィアではないのか?」
「……エミリーさんのお腹には…私の子を身籠っています……」
「な!?」
「!?」
父親は驚き母親は声に出せないほどだった。
バシッ!ガタンと床に倒れるアレックに父親は怒りがおさまらなかった。
「お前は、妻がいる身でありながら結婚を控えているエミリーに手を出したのかーっ!!」
「……っ!も、申し訳御座いません…」
アレックは父親に頭を下げ、何度も殴られ、たえていた……
「や、やめて、お父様!」
エミリーが音に気付き部屋に入って来た。
「…エミリー…お前は婚約者がいながら姉の夫と……」
「エミリー、嘘よね?貴女がソフィアの旦那様と…」
両親はエミリーが嘘だと言ってくれるのを待った。
「嘘ではないわ…私のお腹の中にはアレック様の赤ちゃんがいるの」
「な!?」
「っ……な、なんて事を……」
「だから私は、ポール様とは結婚できないの」
「……エミリー、お前は自分が何を言っているのか分かっているのか?来月は式を挙げるはずだったんだぞ!」
「私はアレック様と結婚します」
パシッ!「きゃっ!」父親は娘のエミリーの頬を叩いてしまった。
「あなた、お腹には赤ちゃんがいるのですよ!」
「つ…」
エミリーは頬に手をあて涙を見せていた。
「どうして、私が悪いの?好きな人の子供を身籠って何が悪いの?私は、お姉様の代わりに身籠ったのに…そうよ、お姉様が悪いの!一人で死んで狡いわ!」
「やめろ!」
「!?」
アレックの声にエミリーは驚いていた。
「…な、何よ……みんな、嫌いよ!」
「エミリー!?」
部屋を出たエミリーを母親が後を追っていた。
部屋には、父親とまだ床の上に座っているアレックに父親は手を伸ばしていた。
「……すまない……エミリーの事を直接話すべきだった…まさかこんなことになるとは……」
父親は目に涙を溜めアレックに頭を下げていた。
「……すべては…私が招いた事です…彼女と向き合っていれば…」
アレックは立ち上がり、父親から叩かれた足を引きずりベッドの上で眠るソフィアの側に立ったアレックは、冷たくなった唇に口付けをした。
「……もっと早くこうしていたら……すまない、すまない…ソフィア……」
ソフィアの冷たくなった顔に暖かい涙が流れ落ちていた。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

花嫁に「君を愛することはできない」と伝えた結果

藍田ひびき
恋愛
「アンジェリカ、君を愛することはできない」 結婚式の後、侯爵家の騎士のレナード・フォーブズは妻へそう告げた。彼は主君の娘、キャロライン・リンスコット侯爵令嬢を愛していたのだ。 アンジェリカの言葉には耳を貸さず、キャロラインへの『真実の愛』を貫こうとするレナードだったが――。 ※ 他サイトにも投稿しています。

『紅茶の香りが消えた午後に』

柴田はつみ
恋愛
穏やかで控えめな公爵令嬢リディアの唯一の楽しみは、幼なじみの公爵アーヴィンと過ごす午後の茶会だった。 けれど、近隣に越してきた伯爵令嬢ミレーユが明るく距離を詰めてくるたび、二人の時間は少しずつ失われていく。 誤解と沈黙、そして抑えた想いの裏で、すれ違う恋の行方は——。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

愛を騙るな

篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」 「………」 「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」 王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。 「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」 「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」 「い、いや、それはできぬ」 「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」 「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」 途端、王妃の嘲る笑い声が響く。 「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

処理中です...