捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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エミリーの婚約者②

「あ…あなた、どうしたら……」
「…今は、様子をみよう…」
真っ青な顔で母親の腕を握りしめエミリーは震えていた。
アレックはソフィアの葬儀が終わり、婚約者のポールの元へ行くとエミリーと両親に話をしていた。
「エミリーどうして君がここに…あっ、お義父さんとお義母さんも一緒だったんですね」
「……っ」
「……ぅぅ…」
エミリーの両親はポールに「家族になるんだ」とポールには父と母と呼ぶように話をしていた…ポールから『お義父さん、お義母さん』と呼ばれ両親は胸が押し潰されそうになり、何も知らないポールに申し訳ないと涙を溜めていた。
「ど、どうしたのですか?」
「…あ…いや、すまない…君はどうしてここへ…」
「友人の結婚式だったんです。皆が騒いでいたので僕だけ席を外したんです。休憩をして、この場所を見ましたらエミリーさんとお義父さん達が歩いていたので僕が驚きました」
「……」
エミリーは、ポールと目を合わす事が出来ずに下を向く姿にポールは家族の黒い服を見て、誰か亡くなったのだろうかと声をかけた。
「…あの…葬儀の教会ではお知り合いの方が…」
「…娘が亡くなったんです…」
「え!?娘さんが…?」
「エミリーの姉の葬儀だったんだ…」
「!!」
両親の肩を落とした姿を見ていたポールは、そんなに体が弱かったんだと両親に頭を下げお悔やみを言った。
「参列できずに申し訳御座いません…お姉さんとお会いできなくて残念です…エミリーさんからお姉さんの体調はお聞きしていましたが、まさかお亡くなりになるとは…」
「ソフィアの体調?とは」
「え?」
父親はポールに驚きの顔を見せ、ソフィアの体調の話を聞き出していた。
「ソフィアの体調とはいったいなんの事だ?」
「え?…あ、あの…お姉さんは体調があまり良くないとエミリーさんから聞いていたので…」
「っ…」
気まずい表情を見せるエミリーは両親にはソフィアの話はしていなかった。
「エミリー!?」
「きゃっ、怒らないでよ赤ちゃんが驚くわ」
「え!?赤ちゃん?」
ハッと口を手で押さえてエミリーは真っ青な顔で目を逸らしていた。
「エミリー、ソフィアは病気だったのか?病気なら何故知らせなかった!」
「し、知らないわ!お姉様の病気は知らないの、ただ食欲がないと毎日言っていたから…お姉様の事は医師様が知っているわ」
「エミリー、貴女ソフィアに会いに行ったのでしょう?お姉様の側にいたならソフィアの体調の事は知っているはずでしょう?」
「……いつもいるわけではないわ…お仕事が終わるとお姉様すぐ部屋に行ってしまうから…私とアレック様と一緒にいるのがイヤだったみたいだから…」
「……ソフィアは毎日何をしていたんだ?」
「アレック様とお仕事をしている以外は、あまりお姉様は姿を見せないから…たまに、一人で外を歩く姿は見かけた事はあったけど…私とアレック様には何も話して来ないから…」
「お前は、何をしていたんだ…」
「私は、アレック様と庭園に行って紅茶を一緒に飲んでいたわ街へ買い物も行ったの。あ、披露宴も一緒に行ったわお姉様が行かないと言っていたから、私が代わりに披露宴に行ったの。ドレスもアレック様が買ってくれたのよ凄く楽しかったわ…」
頬を染めて披露宴を思い出すエミリーを見ていた両親は、苦痛の表情をしていた。
「…アレック様とは、誰なんだ?」
「え…」
エミリーはポールが側にいるのを忘れていた。








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