捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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エミリーの婚約者③

じっと見るポールにエミリーは母親の腕を握りしめ震えていた。
「エミリー…何も話さないと分からないよ、さっきから何度も『アレック様』と呼んでいたから、誰なのか聞いただけだよ」
「……お、お姉様の旦那様なの…」
「お姉さんの!?なんだそうか、君のお姉さんの旦那様だったのか…」
ホッと笑顔を見せるポールを見てエミリーは母親に声をかけた。
「お母様、私…アレック様を捜してくる」
「え!ちょっとエミリー…」
エミリーは母親の腕を放し側を離れようとした。
「あ!エミリー走ってはダメだよ」
「え?」
エミリーは足を止めポールの方を見た。
心配そうな顔をしていたポールは両親に頭を下げた。
「すみませんでした」
「「?」」
両親とエミリーは何故ポールが謝っているのか分からなかった。
「な…どうしたんだ?ポール君」
「何かあったの?」
ポールは恥ずかしそうに頬を指で触ると笑顔を向けていた。
「さっき、エミリーさんが声を出したのですが…実は僕とエミリーさんの子供が出来たみたいなんです」
「「「!?」」」
「結婚前だからとエミリーさんとお話をしていたのですが…自然と…まさか、式を挙げる前に授かるとは思いませんでした…」
「つ、ち、ちょっと待ってくれ、ポール君さっきの話は…」
「…エミリー…貴女まさか…」
「…わ、私は……」
真っ青な顔になったエミリーはお腹に手をあて声に出した。
「こ、この子の父親は貴方ではないのアレック様が父親なの!」
「!?」
エミリーが涙目でポールに父親は違うと言われ茫然としていた。
親族が集まっていた部屋を出たアレックは廊下で医師と会った。
「アレック様…ご気分は…」
「…一人になったおかげで気分はいい…」
「念の為に屋敷で診ましょう…」
「ああ、お願いする…」
「それから…」
カサ…と医師は一枚の紙をアレックに渡した。
「これはなんだ?」
「…奥様の死亡届けです…」
「……」
「遅くなりましたが使用人にでも役所に届けてください…エミリー様との婚姻は、アレック様とエミリー様お二人でお決めください」
「…ああ、わかった…」
アレックは、死亡届けに書かれたソフィアの名前をじっと見ていた。
アレックと医師が外に出るとエミリーの家族と一人の男性が一緒にいる姿を見たが、エミリーが泣いていた。
「アレック様、エミリー様が泣いているのでは…」
「……」
アレックは、エミリーが泣く姿を見ると宥め一緒に過ごした日がちらつき、ソフィアを一人部屋に残し自分は何をしていたのだろうと……
「アレック様!」
エミリーが医師とアレックの姿を見て走りだし医師が「エミリー様走っては…」と叫び、エミリーはアレックの胸の中に抱きつき涙を流していた。
「アレック様、ポールが……」
助けを求めるかのようにアレックを抱きしめていた。
「貴方が、アレック様ですか?」
アレックとエミリーの側に険しい顔をしたポールが、二人の前に立っていた。











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