捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

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顔が消された肖像画⑥

「…今まで体調不良と言っていたのは……俺とエミリーが原因だったのか?」
「……」
「…そうか……言ってくれれば …」
「…私が言いましたら旦那様は心配してくれましたか?エミリーとの事を問いかけたら話してくれましたか?」
「…っ…すまない…」
「…言いたくても、話したくても旦那様はいつもエミリーを庇い私には厳しい目を向けていました…私達は夫婦なのに一度も妻だと思ってくれなかった…」
アレックは何も言えず、今まで一人にしていた妻のソフィアに謝り続けていた。
「……」
「……応急処置ですが、明日にでも医師様をお呼びください」
「…すまない…」
「…でも、どうして肖像画を…」
ソフィアはアレックの拳で額が割れ絵を描いた紙が破れていた。
「…エミリーが君に何もかも話していたとは知らずに俺は…俺は…」
下を向いたまま顔を上げないアレックは、若かった自分が情けないとソフィアに頭を下げる事しかできなかった。
「…旦那様…無理にお話をしなくてもいいです…」
「……医師が…君の話をしていたのを思い出した…」
「医師様が?」
ソフィアはパルリス家が雇っている医師を思い出していた。
(…私が旦那様とエミリーの事で気分が悪く続いていた時はお世話になっていたわ…困った事や悩んでいる時は話してくださいと言われていたのに相談もできなかった…自分で抑え込んでしまう癖がついてしまって何も言えなかった…)
「…妻のソフィアが亡くなる前、体調不良が続いていたのは俺のせいだと言われた…」
「え…」
「君が俺とエミリーとの関係を知っていたからだと医師から言われたんだ…」
「医師様が…」
「俺は医師からも叱りを受けた…『奥様がいながら貴方は奥様の妹に手を出したのですか!?、なんのために貴方の所へ嫁がれたのですか?一度も夜を供にした事がないとは貴方は奥様の人生をなんだと思っているのですか!?』」
「……医師様…」
ポロポロと涙を流すソフィアは、医師が親身になって自分の事を考えてくれたのだと思うと涙が止まらなかった…
「…君が辛い時に何故支えてあげなかったのか…医師から言われて目が覚めたんだ…」
「……」
「俺は…君に甘えていた…仕事も君に任せ屋敷内でも君に任せてばかりいた…俺に何も言えないと思って俺は君に甘えていた…」
「…私は旦那様と一緒に仕事ができる事が嬉しかったのです。私に頼ってくれる姿が嬉しかったから…何度も離婚の事は考えていました…『今日は言わなければ』と口を開いては閉じて…結局は私の方から言えませんでした…」
「っ!!」
「…死んだらこの苦しみから解放されると思って…でも、私は生を受けまた旦那様の側にいるなんて…」
「…ソ、ソフィア…」
「は、はい?」
ソフィアはアレックからまた名前を呼ばれ驚いた顔を向けていた
「お…俺は君と年が離れてしまい昔の様な容姿の面影がない…この十六年の間女性を避け続けて来た…俺はこのまま結婚しないつもりでいた」
「え!?」
「だが…君が俺の前に現れてから変わった…エミリーとは本当に会っていない、浮気もしない…自分勝手な男だと思う…もう一度…俺の側にいて欲しい…君が眠れない時は俺が側にいる、今までの事を…話していない事を俺が全部受け止める…君が少しでも楽になれたら俺はどんな事でも受け止めたい」
「…だ、旦那様…」
アレックは、過去に苦しむソフィアをこれから先支える事を誓い皇女となったソフィアに求婚の話をした…







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