恋をする事を許して欲しい…婚約者のあなたは私にお願いをした

クロユキ

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フローラは…

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「フローラ、貴女怪我しているじゃない!?」
フローラの母親が両膝と手や腕そして服が汚れている事に気がついた。
「あ…街で転んで…」
「街?貴女街へ行ったの?」
フローラが街へ行ったと聞いたフランシスの両親は、ペネロープの使用人は屋敷へ送ったのではないのかと…フローラに申し訳ないとただ謝るばかりだった。
「私が転んだ時に騎士様が手当てをしてくれたの…」
「騎士の方が…」
フローラの両親は騎士に頭を下げた。
「娘がお世話に成りました…」
「いえ、娘さんの怪我の話しをしたいのですが…お話しは出来ますか?」
「は、はい…屋敷の中へご案内致します…」
「ありがとうございます」
騎士は、フローラの側に来て声をかけた。
「歩けるか?」
「はい…大丈夫です」
「そうか」
フローラは騎士と一緒に屋敷の中へ入りフランシスは馬車の中から二人の会話をする姿を見て複雑な気分だった。
フローラの父親はフランシスの両親に険しい顔をしていた。
「何故娘のフローラだけ一人で帰したのか後日お前達から話しが聞きたい…」
「…すまない…本当に…すまなかった…」
フランシスの父親はフローラの父親に頭を下げ何度も謝った。
馬車へ戻った両親にフランシスはフローラが何故騎士と一緒に帰って来たのか知りたかった。
「…フローラは…」
「……」
「フローラは…先へ帰ったはずじゃ……っ」
父親が何も話さないのを母親は見てフランシスに話しをした。
「…フローラさん…屋敷を出て街へ行ったみたいなの」
「街?」
「何故街へ行ったのかわからないわ…両足に怪我をして服も汚れていたの…」
「怪我?…どうして…」
「転んだと話していたわ…その時に騎士の彼が居たそうなの」
「……」
「…彼女を一人で帰すべきではなかった…傷付いたまま…私は…お前の姿を見せたくなかった…」
「……」
目頭を押さえて震える父親の姿をフランシスは何も言えずフローラの屋敷を離れる事になった。




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