兄たちが弟を可愛がりすぎです

食堂の廊下

ガヤガヤガヤ……と食堂に向かう騎士達が増え、すれ違う度に礼をしてくる騎士達に軽く返すジル王子付きの護衛騎士三人の内の一人が食堂へ向かっていた。
「お～い、ニックこの後どうする？寝る？それとも城下町へ行ってみる？」
（ん！？ニック？）
食堂から出たと思うグリーン色の騎士服を着た五人が歩いている姿を見掛けた騎士は、大きな身体の騎士達と一緒に歩いているニック騎士の姿を見掛けた。
（彼は確かウィル王子の護衛騎士……シェル様が昨晩話した事は本当だったのか……）
夕食の時シェル王子がウィル王子の護衛騎士ニック・ライナスを一週間巡回の仕事の方へ任せる事に成ったと話しを聞き思い出していた。
「……リンク何故城下町へ誘うんだ？」
「えっ、ニックと一緒に行けば女の子達が寄って来るかと思って俺も彼女欲しいし、ニックも今彼女居ないんだろう？一緒に彼女探ししょうぜ」
「……俺は行かないこれからウィル王子の部屋に行くんだ」
「ええっ、良いじゃん俺に付き合ってよニックちゃん！」
「気持ち悪い言い方はやめろ」
「え～っ」とリンク騎士はニック騎士から断られ巡回騎士達の笑いがたえなかった。
（……楽しそうだなニック騎士巡回達はウィル王子の護衛から暫く離され沈んでいると思ったが……）
巡回騎士達が近ずく中騎士達はジル王子付きの騎士に礼をした後騎士も礼を交わしニック騎士に声を掛けた。
「御早う御座いますニック騎士、昨日はお疲れ様でした…巡回の仕事に回されたのですね……仕事帰りだったのですか？」
ニック騎士は、自分に声を掛けた騎士を見て庭園で一緒にいたジル王子付きの三人組の一人だと気付き会話を返していた。
「御早う御座います、昨日は御世話に成りました……はい、今食堂から出てきました所です」
「……そうですか…巡回の仕事は大変だと思いますが頑張って下さい」
「……有り難う御座います」
ニック騎士はジル王子付きの騎士に礼をした後少し離れて待っている巡回騎士仲間の元へ歩いて行った。
（彼も巡回騎士の仲間入りだな……）
ジル王子付きの騎士はニック騎士と巡回騎士達の姿を見た後食堂の中へ入って行った。
ジル王子付きの騎士と別れたニック騎士はリンク騎士が尋ねていた。
「なあなあ、ニック今の騎士さんジル総隊長の騎士さんだろう？何か普通に話して居るから凄いっていうか…」
「ニックはウィル王子の護衛をしていたのだ兄であるジル総隊長の護衛騎士を知るのは当たり前だ」
「ジル総隊長か……俺ジル総隊長も苦手だなフィン王子も何かルイスを見ているようで何とも言えない王子だが……」
「あらアントニオ、フィン様と私を比べないでくれる？私が女性の扱いには慣れているのよ」
巡回騎士達は朝帰りの仕事だという事を忘れ賑わう中リンク騎士がニック騎士にまた城下町の話しを出しニック騎士を誘っていた。
「ニック、城下町へ行かないか？」
「さっき行って来ただろう」
「遊びにだよ、ついでに女の子と仲良く成ってさ」
「俺は遠慮しておく、これからウィル王子の部屋へ向かうんだ…その後寝る！また夜仕事だからな」
「ええっ、少しだけ良いじゃん」
「リンク、ニックはまだ巡回の仕事を始めたばかりだ、それにウィル王子との約束で部屋に行くんだ。誘うのは後日にしろ」
マット上司から言われたリンクは、「はあ～っ」とため息を吐き「じゃあ俺もウィル王子に会いたい」と言うと「シェル団長からの許可がおりていない」と言われまた大きく息を吐いた。
ニック騎士は、ウィル王子に早く会いたいがまだ巡回騎士達の側を離れる事が出来ず、今ならメイドのマリアが居ない為思いっきり抱き締め口付けをしたいと表では普通に会話をして、心の中ではモンモンと考えていた。