兄たちが弟を可愛がりすぎです

メイド長に呼ばれ

ガヤガヤと騒がしいメイド達が朝の準備に追われていた。
「御話しは分かりました。貴女方二人はジル様の担当から外します、他のメイド達と一緒に仕事をしなさい。」
「「！！」」
ジル王子付きのメイド二人はジル王子の担当を外され普通のメイド達の仕事へと回される事に成った。
「今回の事を反省しなさい、御話しは以上です」
パンパンと手を叩き扉の外から一人のメイドが入っていた。
「メイド長御呼びですか？」
「こちらの三人に仕事を御願いします」
「分かりました……」
メイドの三人は一人のメイドの後に付きメイド長の部屋を出た。
部屋の中には長椅子のソファーに腰をおろしているレオン騎士とメイドのマリアが座り、その前の方にメイド長がソファーに座りふぅ…と息を吐いていた。
「王子付きのメイドに成りますとどうして皆さん色々と問題を起こすのでしょう…レオン様メイド達の事で御迷惑をお掛け致しまして申し訳御座いません、マリアも大変だったわね」
メイド長はレオン騎士とメイドのマリアに声を掛けていた。
「い、いえ、私はその場を止めただけで何もしておりません、マリアさんが大変だったと思います」
「私は大丈夫でしたわ、彼女達に「平凡」と言われましただけですので気にはしていません」
（マリアさんまだ根に持っているのか？これから彼女と一緒の仕事になる平凡と言う言葉を使う事は無いと思うが色々と気をつけよう……）
レオン騎士は隣で座るマリアの方へチラッと見て心に決めたようだ。
「レオン様御引き止め致しまして申し訳御座いません」
「いえ、大事に成らなくて良かったです」
「マリア、貴女も仕事に戻りなさい、貴女の替わりにウィル王子の部屋に行っていますコリンと交替です。コリンがウィル王子に迷惑を掛けていないのかが心配ですが……コリンに会いましたらいつもの仕事に戻るように伝えなさい」
「分かりましたメイド長」
レオン騎士とメイドのマリアはメイド長の部屋を出るとメイドのマリアがレオン騎士に頭を下げ声を掛けた。
「レオン様申し訳御座いません私達メイドの事で迷惑を掛けてしまいました」
「いえ、気にしないで下さいマリアさんに怪我が無くて良かったです」
ニコッと微笑むレオン騎士は周りはメイド達に囲まれている事に気が付いていないようだった。
「マリアじゃないのメイド長に呼ばれていたの？」
メイド達数名が顔をニコニコと見せメイドのマリアを見ずに隣にいるレオン騎士にメイド達は声を掛けていた。
「あの、ウィル王子の護衛の方ですか？」
「え、あっ、はいそうですが……」
「やっぱり、マリアの側にいる騎士の方達ってウィル王子と通じて居るものね」
「ねえ、ねえ、マリアどうして騎士様と一緒にメイド長の部屋に居たの？」
「もしかしてウィル王子のメイド二人目選ぶとか？どうかなマリア！？」
メイド達は昨日ウィル王子の衣装手伝いで楽しさを知ったようで、今マリアだけがウィル王子付きのメイドの為あと一人か二人いても良いのではとメイド達同士で話しをする事が多くなった。
「……ウィル様のメイドは私だけで充分だけど、ジル様のメイドをまた新しく選ぶそうよ」
！！
「え？え！？うそ、それ本当？」
「でもジル様のメイドにはカリイナとメグでしょう、私あの二人と一緒に仕事はしたくないな…長年ジル様のメイド付きをしているからって態度が大きいもの……」
「あら、あの二人はジル様から外されたわよだから新しいメイドを今度選ぶみたいよ」
「本当の事だったのマリア！？」
「私ジル様のメイド付きでも良いな～っ」
「あ～っ、私もジル様のメイドに成りたい」
メイド達はレオン騎士が側にいる事を忘れジル王子のメイドになる事で話しが絶えなかった。
「……レオン様私達は行きましょうか」
「え、ああっ、はいマリアさん……」
メイドのマリアとレオン騎士がメイド達を離れようとした時一人のメイドがマリアに尋ねてきた。
「ち、ちょっと待ってよマリア、話しは終わっていないわジル様のメイド決めいつなの？」
「知らないわ…メイド長そこまで話していないから、もしジル様のメイドを希望しているならジル様は真面目なメイドを選ぶと思うわ～」
「え！？それ本当なのマリア」
「ええっ、今からでもメイド長に仕事を真面目にしている所を見せたらどうかしら～」
「それもそうよね、メイド長に仕事を頑張る姿を見せれば良いのね有り難うマリア」
「ふふ、頑張って」
メイド達はメイドのマリアにお礼を伝えると自分達の持ち場へと走って行った。
「マリアさん、凄いですね……説得力があるようでジル総隊長のメイド付きにはマリアさんが言うように真面目なメイドを希望しているのでしょうか？」
「さぁ、私も分かりませんわ」
「え？」
「レオン様、私はこのままジル様の部屋へと向かいますが、レオン様はどうしますか？」
突然の切り替えに少し戸惑うレオン騎士だったが、メイドのマリアがジル王子の元へ行くのであればレオン騎士もウィル王子の部屋へ向かう前に、シェル王子の元へ向かう事を思い出しメイドのマリアと途中まで一緒に王子達の部屋へと向かう事になった。