婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

クロユキ

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ブラッドの屋敷

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屋敷を出たブラッドとフォスティヌは、ブラッドの屋敷へと馬車を走らせていた。
「……」
緊張のあまり何も話さないフォスティヌをブラッドは見ていた。
「…そんなに固くなる事はないが…普通にしたらいい」
「え!?あ、はい……」
ブラッドに楽にするようにと言われたが、城内に近づいて来るとますます体が固くなっていた。
その姿を見ていたブラッドは笑みを見せ馬車は城内へと近づいていた。
「あ、この前通りました道ですね。先輩の屋敷は城内の近くなんですか?」
「ああ、父親が城で務めている為城から近い場所で住むようにと言われていたらしい」
「…先輩のお父様はお城で働いているのですか?」
「言っていなかったか?王の近衛騎士なんだが…」
「そうですか、王の近衛……え?王の近衛騎士って…あの、王様をお守りする騎士…ですか?」
フォスティヌは目を見開いて向かいに座るブラッドを見ていた。
「ああ…」
「ええ~……っ!!」
フォスティヌは声を出してしまいそうで口を手で押さえていた。
「俺もこれから先、上を目指して行かなくてはならないが護衛騎士までにはならなくてはと思っている…」
「…騎士の事は知りませんが、無理はしないでください」
「ああ…ありがとう」
フォスティヌは、ブラッドと会話をしているうちに緊張が解れ笑顔を見せるようになった。
「もうすぐ屋敷だ」
「え…」
ブラッドから屋敷だと言われフォスティヌは震えていた。
「……手洗いは屋敷の中にあるが…それまでの辛抱だ」
ブラッドはニヤッと笑みを見せフォスティヌの顔は真っ赤になっていた。
「ち、違います!緊張して震えているだけです」
「ふっ、悪い」
ガタン!と馬車が止まる音が聞こえたフォスティヌはビクッと驚いて、ブラッドは馬車の中から見える外に目を向けた。
「着いたな」
「……」
ガチャと馬車の扉が開き男性が屋敷に着いた事をブラッドに知らせていた。
「ブラッド様、お疲れ様です。屋敷へ着きました」
「わかった。今日は早朝から悪かった体を休めてくれ」
「ありがとうございます」
ブラッドは先に馬車から降りフォスティヌに手を差し伸べていた。
フォスティヌは、馬車から降りて目の前の屋敷を見て放心状態になっていた。
「行こう」
「…先輩……」
「『ブラッド』だ…どうした?」
「……ここのお屋敷は、どなた様のお屋敷ですか?」
「俺の屋敷だが?」
「せ……!?の…屋敷!?」
『先輩』と呼ぶ声が出ないほどブラッドの屋敷に驚いていた。
「そんなに驚くとは思わなかったが…あまり屋敷ばかり見ていると部屋を案内できないんだが…」
「あ、すみません…」
クスッと笑みを見せるブラッドにフォスティヌは頬を染めブラッドはフォスティヌの手を掴んだ。
「行こうか…」
「は、はい…」
フォスティヌは胸に手をあて深呼吸をしてブラッドの屋敷へと入った。






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