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第2章、悪夢と狂気の中で
43、聞いてはいけない話
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「フアンは予言の力を持っていました。僕たちは小さな子供の言うことだからと聞き流していましたが、後から考えるとフアンの言うことは全部正しかった。フアンは僕の家族が殺されることも予言していました」
「なんだって!君の家族が・・・」
ニコラス先生の声と表情が凍った。そしてゆっくりと私に近付き、ベッドの上で体を起こしていた私を抱きしめた。
「かわいそうに、ミゲル・・・君は酷い体験を・・・」
「・・・・・」
「10歳の君がそのような体験をしてしまえば、混乱してどうしたらいいかわからなくなるのも無理はない。どうしたら自分の身を守れるかもわからないような幼い子供がそのような体験をしてしまうとは・・・」
ニコラス先生は私の体を離し、ベッドのそばにある椅子に座った。
「ミゲル。何があったか私に話してくれないか。一緒にどうしたらよいか考えよう。途中で辛くなったら中断してもかまわない」
「はい・・・・・」
私は途切れ途切れに話を始めた。
「僕は聞いてはいけない話を聞いてしまって・・・カルロス先生とドン・ペドロ大司教・・・さま・・・が話をしていて・・・火あぶりになったのは僕の実の家族だと・・・」
「カルロス院長は直接聞いたのか・・・」
「僕の家族は・・・教会に火をつけた悪魔だって・・・それで・・・裁判の時、女の人が僕の名前を呼んでいた。ミゲル、ミゲルって・・・」
「・・・・・」
「名前を呼ばれて、僕はそばに行きそうになった。でもカルロス先生が僕の体を強く押さえていた・・・・・もし僕があの時出て行ったら、僕も一緒に火あぶりにするつもりだったと・・・」
「何も知らない幼い子供を家族と一緒に焼き殺すとは・・・悪魔になったのは君の家族じゃない。キリスト教徒は悪魔になっている!」
「カルロス先生はテーブルを激しく叩き、呻き声を上げていた。これは人間のすることではないと・・・」
「私もその場にいたら同じことを言ったであろう」
しばらくの間何も言えなくなっていた。
「ミゲル、1つだけ確かなことがある。カルロス院長は必死で君を守り、君の家族の無残な死に激しい怒りを示した。大司教という絶対的な権力を持つ者の前で自分の感情を表す者は多くはいない。ほとんどのキリスト教徒は異端者の裁判や処刑を当たり前のことのように見て何も感じない。だが、カルロス院長は違う」
「・・・・・」
「カルロス院長がどれほど君を愛し、大切に思っているかわかるであろう。ミゲル、君だけではない。あの方はこの修道院に住むすべての者を愛し守ろうとしている。あの方は私がユダヤ人であることを知っていながらここの病院で働かせてくれている。あの方だけは何があっても君の味方だ」
「でも、ドン・ペドロ大司教・・・さま・・・は僕の家族が殺されたことは、僕は絶対に知ってはいけない秘密だと言っていた。僕が秘密を知ったならば僕を殺すって・・・」
「そういうことか。これで全て理解できた。カルロス院長は激しい怒りを見せながら、用心してすべてを話さないようにしていた。私や君がその秘密を知ったら君が殺されると脅されていたからだ」
「殺された僕の兄は・・・・・僕とよく似ていました・・・・・大司教・・・さま・・・・は、ごうもんをしなかったのは顔がよく似ているのが、家族という証拠になるからと。僕の父さんは顔を焼かれていて、怖ろしい顔になっていて、母さんはきれいな人で、僕の名前を呼び続け、兄さんは僕の方をじっと見て、犯人は他にいると言っていた。そしてみんな柱に縛り付けられ、怖ろしい叫び声が聞こえて、炎の中で・・・・・」
話しながら私は泣きじゃくっていた。ニコラス先生が背中をさすってくれた。
「ミゲル、私は医者である。今までに数えきれないほどたくさんの患者を診てきた。疫病に罹って苦しむ者、戦争で大怪我をした者、酷い体験をして気が狂ってしまった者も診た。医者は患者の苦しみに寄り添い、その苦痛を取り除かなければならない。だが、同時にどんなに悲惨な状態の患者を診ても、自分は常に冷静さを保たなければならない。患者に苦痛を与えるような治療を施さなければならない時もあるからだ。ミゲル、君を私の患者として診るならば、君は過酷な体験で心を酷く傷つけられている。だが、同時に君は命も狙われている。戦場で大怪我をして動けない者がいるが、周りを敵に囲まれている。そのような場合、医者はまず怪我の手当てをするか?」
「いいえ、しません」
「その通り、まず考えなければいけないのは安全な場所に運び出すことだ。君は自分の命を守るために何をしなければいけないかわかるか?」
「聞いた話を聞かなかったことにする・・・」
「そう、カルロス院長や他の者の前では君の家族が殺されたことは知らなかったふりをするのだ。酷い裁判や処刑の様子を目の前で見てしまったのだ。関係のない人間でもショックを受けるのはよくあることだ。だから君はショックを受けたということにしてしばらく休み、元気を取り戻したら今まで通り勉強を続けるのだ」
「今まで通りですか?僕はもう2度と今まで通りには・・・」
「それもふりでよい。今の君はまだ10歳、1人では生きられない年齢だ。この修道院で勉強に励めば、カルロス院長がきっと君の将来について考えてくれる。きちんと学べばどこへ行っても生きていけるようになる。しばらくは君とカルロス院長はお互い会うのがつらいであろうから、私がしばらくは君の勉強を見ることにしよう」
「は、はい」
「君の家族が殺されたことは悪夢だったと考えるのだ。今の君の年齢ではそのことを現実の出来事として受け入れるのは難しい。だが、勉強を進めていくなかで、少しずつ今の世界で何が起きているか知ることができ、現実として受け入れられる時がくる。そこまで成長すれば、君はもう1人でも生きていけるだろう」
「は、はい・・・」
「なんだって!君の家族が・・・」
ニコラス先生の声と表情が凍った。そしてゆっくりと私に近付き、ベッドの上で体を起こしていた私を抱きしめた。
「かわいそうに、ミゲル・・・君は酷い体験を・・・」
「・・・・・」
「10歳の君がそのような体験をしてしまえば、混乱してどうしたらいいかわからなくなるのも無理はない。どうしたら自分の身を守れるかもわからないような幼い子供がそのような体験をしてしまうとは・・・」
ニコラス先生は私の体を離し、ベッドのそばにある椅子に座った。
「ミゲル。何があったか私に話してくれないか。一緒にどうしたらよいか考えよう。途中で辛くなったら中断してもかまわない」
「はい・・・・・」
私は途切れ途切れに話を始めた。
「僕は聞いてはいけない話を聞いてしまって・・・カルロス先生とドン・ペドロ大司教・・・さま・・・が話をしていて・・・火あぶりになったのは僕の実の家族だと・・・」
「カルロス院長は直接聞いたのか・・・」
「僕の家族は・・・教会に火をつけた悪魔だって・・・それで・・・裁判の時、女の人が僕の名前を呼んでいた。ミゲル、ミゲルって・・・」
「・・・・・」
「名前を呼ばれて、僕はそばに行きそうになった。でもカルロス先生が僕の体を強く押さえていた・・・・・もし僕があの時出て行ったら、僕も一緒に火あぶりにするつもりだったと・・・」
「何も知らない幼い子供を家族と一緒に焼き殺すとは・・・悪魔になったのは君の家族じゃない。キリスト教徒は悪魔になっている!」
「カルロス先生はテーブルを激しく叩き、呻き声を上げていた。これは人間のすることではないと・・・」
「私もその場にいたら同じことを言ったであろう」
しばらくの間何も言えなくなっていた。
「ミゲル、1つだけ確かなことがある。カルロス院長は必死で君を守り、君の家族の無残な死に激しい怒りを示した。大司教という絶対的な権力を持つ者の前で自分の感情を表す者は多くはいない。ほとんどのキリスト教徒は異端者の裁判や処刑を当たり前のことのように見て何も感じない。だが、カルロス院長は違う」
「・・・・・」
「カルロス院長がどれほど君を愛し、大切に思っているかわかるであろう。ミゲル、君だけではない。あの方はこの修道院に住むすべての者を愛し守ろうとしている。あの方は私がユダヤ人であることを知っていながらここの病院で働かせてくれている。あの方だけは何があっても君の味方だ」
「でも、ドン・ペドロ大司教・・・さま・・・は僕の家族が殺されたことは、僕は絶対に知ってはいけない秘密だと言っていた。僕が秘密を知ったならば僕を殺すって・・・」
「そういうことか。これで全て理解できた。カルロス院長は激しい怒りを見せながら、用心してすべてを話さないようにしていた。私や君がその秘密を知ったら君が殺されると脅されていたからだ」
「殺された僕の兄は・・・・・僕とよく似ていました・・・・・大司教・・・さま・・・・は、ごうもんをしなかったのは顔がよく似ているのが、家族という証拠になるからと。僕の父さんは顔を焼かれていて、怖ろしい顔になっていて、母さんはきれいな人で、僕の名前を呼び続け、兄さんは僕の方をじっと見て、犯人は他にいると言っていた。そしてみんな柱に縛り付けられ、怖ろしい叫び声が聞こえて、炎の中で・・・・・」
話しながら私は泣きじゃくっていた。ニコラス先生が背中をさすってくれた。
「ミゲル、私は医者である。今までに数えきれないほどたくさんの患者を診てきた。疫病に罹って苦しむ者、戦争で大怪我をした者、酷い体験をして気が狂ってしまった者も診た。医者は患者の苦しみに寄り添い、その苦痛を取り除かなければならない。だが、同時にどんなに悲惨な状態の患者を診ても、自分は常に冷静さを保たなければならない。患者に苦痛を与えるような治療を施さなければならない時もあるからだ。ミゲル、君を私の患者として診るならば、君は過酷な体験で心を酷く傷つけられている。だが、同時に君は命も狙われている。戦場で大怪我をして動けない者がいるが、周りを敵に囲まれている。そのような場合、医者はまず怪我の手当てをするか?」
「いいえ、しません」
「その通り、まず考えなければいけないのは安全な場所に運び出すことだ。君は自分の命を守るために何をしなければいけないかわかるか?」
「聞いた話を聞かなかったことにする・・・」
「そう、カルロス院長や他の者の前では君の家族が殺されたことは知らなかったふりをするのだ。酷い裁判や処刑の様子を目の前で見てしまったのだ。関係のない人間でもショックを受けるのはよくあることだ。だから君はショックを受けたということにしてしばらく休み、元気を取り戻したら今まで通り勉強を続けるのだ」
「今まで通りですか?僕はもう2度と今まで通りには・・・」
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「は、はい」
「君の家族が殺されたことは悪夢だったと考えるのだ。今の君の年齢ではそのことを現実の出来事として受け入れるのは難しい。だが、勉強を進めていくなかで、少しずつ今の世界で何が起きているか知ることができ、現実として受け入れられる時がくる。そこまで成長すれば、君はもう1人でも生きていけるだろう」
「は、はい・・・」
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