最強テイマーの姉が行方不明になりました〜最弱テイマーの僕が必ず見つけます〜

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第二章 空中編

第二十八話 スカイ王国国王主催トーナメント 四

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「さあ、ついに決勝戦に出るチームを決める最後の戦いが始まりました! 果たして勝つのはどちらのチームなのでしょうか!」
「ウルフ、ワイバーン、良いか? あいつらの火の呪文を全て受けきるんだぞ。俺たちが火の呪文なんか食らったら焼け死んじゃうからな」

 二匹は吠えた。早速飛んでくる火の玉を、ウルフはかき消した。

「そうそう、その調子だ。さあみんな、こっちも攻撃開始だ!」
「クシー様。どうやら普通の火の呪文は通らないようです」
「ならば、アレをやるしかないな。みんな、手を掲げろ」
「ん? あいつら、何やってんだ? 今のうちに攻撃しちまおうか」

 サフィア捜索隊のメンバーたちはカワネギに斬りかかる。しかし、斬った感触がまるでない。

「な、なんで斬れないんだ」
「さあ、集まったな。お前たち、いくぞ!」

 クシーが号令をかけると、空に巨大な火球が現れた。まるで太陽のように輝き、視界を奪う。観客たちも、目が眩む。

「まぶし! 目が開けない……」
「おや、お前たち、あれで限界なのか」
「その声は、ニキスか。お前は平気なのか?」
「これをつけるといい。目を保護してくれよう」

 ニキスは一行に不思議な物を配った。

「これはなんだ?」
「まあ良いから、目につけてみろ」

 一行は言われるがままにそれをつける。すると、さっきまで眩しくてしょうがなかった視界が元に戻っていった。

「これは……全然あの光が眩しくない。一体なんなんだ?」
「私の目玉を加工した物だ。それを目に入れておけば、あの眩しさを気にせずに済む」
「くーっ! 眩しくて何が行われているのか、私にも見当がつきません!」
(カタラたち、完全に止まってるな)

 ニキスのくれた物によって目が見えるようになった一行は、試合を見る。サフィア捜索隊は、あまりの眩しさに顔を上げられない。

「どうだ。これが俺たちの奥義だ。この光の中で、動けるのは俺たちだけだ」
「へ、そうか」
「さあ、かかれ!」

カワネギはサフィア捜索隊を狙い火の呪文を放つ。しかし、それを見ずに避けた。

(サトリ、助かるわ。彼らの行動が手に取るようにわかる)
「なぜ当たらないのだ。視界は奪っているというのに」

 しかし、カタラたちの攻撃も通らない。サトリは、なんとか倒し方まで知ろうとカワネギの心の声を注意深く聞く。

(残ってる怪しいのは、あの女の後ろにいる奴か。あいつを狙うべきだな)
(しまったわ。サトリ、なんとか逃げのびて)
(ふっ。俺たちは水さえ無ければ倒されないし、あいつを倒せば勝ったも同然だな)
(水が弱点か。おい、誰か水の呪文を使える奴はいないか?)
(出来るかわからないが、俺が試してみよう)
(ホーネ! 頼んだぞ!)

 ホーネは剣をしまい、片手に力を込める。魔導機の力によって、徐々に呪文が形になっていく。しかし、その隙をカワネギは見逃さなかった。

「みんな、あいつをやれ! 水の呪文を使おうとしているぞ!」
「しかし、それではこの火球をこれ以上保てません!」
「じゃあ俺がこの火球を持続させるから、お前たちは攻撃をするんだ」
「お父様、無茶です! こんな大きな火球を一人でなんて……」
「大丈夫だ。早くあいつらを攻撃してくれ」
「……わかりました。私たちは攻撃をさせていただきます」

 クシーは一人で火球を持続させる。他の者たちは、火の呪文でホーネを集中狙いする。

「ふぅ……ふぅ……もう少しだ。もう少しで、水の呪文が放てる」

 ホーネの右手には、水の玉が出来つつあった。少しして、完全に水の玉を作りだすことが出来た。

「よし、これで放てるな。はぁ!」

 ホーネは水の呪文を全体に放った。カワネギの何人かは、蒸発して消えてしまった。

「な、消えただと……」
「ちっ、しょうがねぇ。お前らにこの火球、くれてやるよ」

 クシーは巨大な火球をカタラたちに向かって放った。ホーネが水の呪文で応戦するが、いくら水を当てても火球は消えない。カタラたちに衝突する寸前に、ワイバーンが止めに入る。両者の力は完全に拮抗しており、隙だらけだ。隙だらけのクシーをホーネは狙う。

「げっ!」

 クシーは火球を維持することをやめ、水の呪文を避けた。火球はワイバーンが蹴り飛ばし、空へ消えていった。

「さあ、ようやく戦場が見えるようになりました! カワネギチームの選手はリーダーのクシー選手しか残っておりません! 形勢はサフィア捜索隊が有利か!? 一体あの光の中で何があったと言うのでしょうか!」
「くっ、お前たち、もう一度生まれるんだ」

 クシーは手を掲げると、火の呪文を発生させた。それをホーネが水の呪文で撃ち抜こうとする。しかし、水が当たる直前、その火はあらゆる場所に散った。火の中からまたも人が現れた。

「蘇った……俺の呪文は、無駄だったのか」
「そんなことはない! 奴だって呪文の使いすぎで疲れてるはずだから、撃ち続けて体力を消耗させよう」
「そうか。では、俺も限界まで呪文を放とう」

 両者とも、不毛な争いを繰り広げる。あまりに同じ光景が続いたため、観客はブーイングをし始めた。

「ふっ。またくだらない戦いが始まったな。私はそろそろ戻らせてもらうよ」
「ニキス、待てよ。まだ何かどんでん返しがあるかもしれないだろ」
「……そうか。じゃあ、見てやるよ」
「お、今回は素直だな」
「寝るのも飽きたからな。まだこっちの方が楽しい」

 そんな話をしていると、戦況に進展があった。クシーが火じゃない呪文を使い始めたのだ。

「おぉーっと! クシー選手、七色の呪文を使いこなしています! サフィア捜索隊は対処できるのでしょうか!」
「くっ、風の呪文のせいで、動けない……」
「こ、今度こそ……終わりだ……。ふんぬぅぅ!」

 クシーは顔が真っ赤になるほど力を込め、爆発呪文を唱えた。煙が晴れると、サフィア捜索隊のメンバーが黒焦げになっていた。

「カタラ!」

 思わず観戦席から戦場に侵入しようとしたラルドを、ニキスは止める。

「安心しろ。死んではいない。病院で安静にしていれば回復するだろう」
「本当だ。起き上がった。はぁ……良かった……」
「効いたぜ、今の呪文。でも、俺たちを倒すには足りなかったようだな」
「ふん。これ……が、フィナーレじゃあ……ねぇぞ。まだ、まだ、いける……」
「両者とも、しぶとい! これはどちらが勝つか見えなくなってきました!」

 観客たちも両者の熱い感情を受け、興奮する。

「俺はこのトーナメントで優勝しなくてはならない。優勝して、願いを叶えねばならぬのだ。こんなところで負けられるものか……!」
「俺たちだって叶えなくちゃいけない願いはある。お前の願いなんかよりもずーっと大事なことだ」
「なんだと……?」

 クシーは怒りだした。狂ったように様々な呪文を使い、カタラだけを執拗に攻撃する。サフィア捜索隊はそれを止めるため、クシーに近づこうとした。しかし、クシーの放つ風の呪文により、近づくことが出来ない。

「あぁ……あのままじゃ、カタラは……」
「クシー選手、怒り狂っています! 誰も止めることが出来ない!」
「俺の願いも知らないで、貴様は、貴様は! うぉぉ!」
「がっ、いった! うぇ!」

 カタラは振り回される。全身傷だらけになっていき、血が垂れる。

「あの風を突破しない限りカタラはダメージを受け続けてしまう。俺が風の呪文を放つから、それに乗って奴を止めにいってくれ」
「ホーネさん、俺には無理ですよー。ザメちゃんに全部任せます」
「ふざけるな。お前も行け」
「わ、わかりました!」

 ホーネは風の呪文を発生させた。クシーの放つ風の呪文と相殺しあい、通れるようになった。

「今だ、通れ!」

 ハッチとザメは風のない場所を走った。クシーはそれを認識し、カタラをボコボコにするのをやめ、逃げ出した。

「逃がさないわ! えぇーい!」

 ザメは石を恐るべき速さで投げた。それをモロに食らったクシーは、額から血を流す。

「……見事だ。だが、俺はこんなくらいでは倒れない」

 クシーは再度爆発呪文を唱えた。サフィア捜索隊は全員その爆発を食らい、起き上がれなくなってしまった。しかし、爆発呪文の代償にクシーも倒れてしまった。

「両者とも、倒れてしまいました! これを王はどう判断するのでしょうか!」

 今まで共倒れなど無かったから、王は悩む。

「王、この勝負、どっちの勝ちにしますか?」
「……先に倒れたのはサフィア捜索隊の方だ。よって、勝者はカワネギとする!」
「良かったなラルド。カタラたちと戦わなくて良いみたいだぞ」
「あぁ、あいつと殺し合いなんかしたくないから、良かったよ。命も危うくなさそうだし」

 戦った両者は病院へと運ばれていった。
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