最強テイマーの姉が行方不明になりました〜最弱テイマーの僕が必ず見つけます〜

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第三章 ウスト遺跡編

第四十四話 ウスト遺跡荒らされる

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「おい……おい! ラルド、聞こえるだろう」

 夢の中のラルドに、ダイヤが語りかける。

(おお、ダイヤ。どうした? 仲間になる気になったか?)
「違う違う。俺たちを壊したから、番人がいなくなってウスト遺跡が荒らされ放題だ。なんとかしてくれよ」
(ふーん……それじゃあ、交換条件だ。もしその問題を解決したら、僕の仲間になれ)
「くっ……汚いぞ。それに、俺を外に出す方法なんかわかってないだろう? 召喚なんか出来ないぞ」
(召喚出来なくても良いよ。毎回君に会いにいくから。それより、この条件、のめるか?)
「自分たちで番人を壊しておいて、何を言うか」
(じゃあ良いや。ほっとこ)
「ま、待ってくれ! わかった。その条件で良いから、荒らしまわるならず者をどうにかしてくれ」
(ひゅー。ナイス。それじゃあ明日から頑張るよ)
「頼んだぞ。どうか俺の故郷を救ってやってくれ」

 翌朝、ラルドは起き上がり、ベッドから出た。

「よう、早起きだな」
「おはようエメ。今日も夢にダイヤが出てきたんだ。その話をレイフ様たちにする」
「またなんか言われたのか?」
「まあ、悪い話ではなかったよ。さあ、いつもの部屋に行こう」

 ラルドは夢でダイヤから聞いた話を一行にした。解決策が何度か出されては却下されての連続で、話が終わらない。

「看板をたてるのはどうだ?」
「うーん、効果が薄そうだな。それじゃダメだ」
「四六時中結界を張るのはどうかしら?」
「ダイヤにそんな知能があるとは思えないな」
「いっそのこと、ウスト遺跡を空に浮かべちまうのはどうだ?」
「スカイ王がそれを許すとは思えない。自分たちだけで必死だろう」
「うーん、良い案がなかなか出ませんね……」

 完全に話が詰まっている状況。一行は裏庭に出てオークたちやニキスを呼び出し、数の力でどうにかしようとする。

「三人寄れば文殊の知恵と言います。これだけの数がいれば、一人くらい納得できる策を思いつくと思います」
「なあラルド、サフィアは見つかったのか?」
「きっとダイヤが知ってるはずだ。そいつが遺跡を守ってくれって言うから、それを助けてやらなくちゃ姉さんは見つからないぞ」
「そ、そうか。お前たち! 真面目に考えるんだぞ!」

 しばらくして、一つ、名案が出た。

「我々が遺跡を守れば良いんじゃないですか? 遺跡に住まわせてもらうかわりに」
「確かに良い案だと思うが、今の住処を捨てなくちゃいけないぞ。それでも大丈夫なのか?」
「遺跡の方がまだ住みやすそうですよ。テントを運んでいくだけなので、移動も簡単ですし」
「……よし。それじゃあお前たち、これから大移動を開始するぞ!」

 オークたちは急いで住処へと戻っていった。

「あとはダイヤが納得するかどうかですね」
「早速遺跡に向かおうか」

 一行はホースに乗りウスト遺跡にたどり着いた。確かに柱が倒されていたり、ダイヤに落書きされたりしている。

「この惨状よ。姉を捜すのは勝手だが、俺に迷惑をかけないでくれ」
「その対策を考えてきたんだ。どんな策か、聞きたいか?」
「おぉ、是非聞かせてくれ」
「ここにオークたちが引っ越してくる。そいつらにここの防衛を任せるんだ。そうすれば、人間たちが入ってきたら迎撃してくれるぞ」
「えぇ……オークかよ。俺の仲間たちを蘇らせてくれる方が良いんだがな」
「僕たちと身体の構造が違いすぎるのにそんなこと出来るわけないだろ」
「お前の姉は俺の仲間を復活させてたぞ」
「……! ダイヤ、やっぱり姉さんに会ってるんだな!?」

 ラルドはダイヤの肩をゆする。かなり強い力でゆすられたダイヤの首が前に後ろに曲がる。

「ちょ、やめてくれ」
「……ごめん。姉さんは今どこにいるんだ?」
「さあな。そこの岩を見て、どっか行っちまったよ」
「どこに行くか聞かなかったのか?」
「なんで聞くんだよ。あんな賊にわざわざ話しかけるかよ」
「賊だなんて言わなくても良いじゃないか。ここに宝なんか埋まってないんだろ?」
「ここ自体が宝さ。その辺に転がってる岩や柱だって、古代文明の賜物だぞ」
「それじゃあ、あの紋章の書かれた岩も……」

 ラルドたちが話していると、別の声が聞こえてきた。声の聞こえた方を一行が見ると、いかにも悪そうな奴らがこちらに向かって歩いてきていた。

「おうおう、勇者様。あんたらも宝、狙いに来たのか」
「ほれ。あんな感じの奴らが良くくるんだ。オークごときであいつらを止められるのか?」
「仕方ない。オークたちが来るまでは、僕たちで対処するよ」

 悪そうな奴らに一行は近づく。そして、今すぐ遺跡から出るように告げた。しかし、悪そうな奴らはそれを拒んだ。

「おいおい、勇者様だけがお宝独り占めなんて、そりゃないぜ」
「何度も言ってるだろう。ここにお前たちが思い描くような宝なんかない。さっさと帰ってくれ」
「ちっ、勇者だったからって偉そうに。ぶっ殺してやる」

 悪そうな奴らは剣を抜き、レイフに斬りかかった。レイフはそれを剣で受け止め、そのうちにジシャンの風の呪文ではるか彼方に飛ばした。

「まったく……あんな奴らが本当にいるんだな」
「昔からさ。お前は華やかな道しか歩いたことしかないだろうが、現実はこんな感じだ。でもまあ、あれくらいならオークでも太刀打ち出来そうだな。わざわざ俺の仲間を蘇らせる必要はなさそうだ」

 ダイヤが安堵していると、ラルドに話しかけられた。

「なあダイヤ。あの変な模様の入った岩はなんなんだ? 姉さんの手がかりがつかめるかもしれないから、教えてほしい」
「……まあ良いだろう。俺との約束は果たしてくれたからな。全部話してやる」

 ダイヤは自分を縛っていた縄をいとも簡単に千切り、立ち上がった。そして、岩の方へと歩いていく。

「来い。この紋章の岩は、俺たちの文明が栄えてた頃から唯一残っている紋章つきの岩なんだ」

 一行は岩の前に立ち、じっくりそれを見つめる。

「かつて栄えた俺たちの文明は、ある日を境に崩壊することとなった。それまで穏やかだった世界が、いきなり危険に晒されることになった。それに対抗するため、俺たちの時代の人間は、お前たちが倒したあいつらを作ったんだ」
「そのとき、そうぞうしんは何もしなかったのか? 世界が危ないほどなら、そうぞうしんも見て見ぬふりは出来ないはずだぞ」
「ああ。何かはしたさ。でも、それは間に合わなかった。創造神が気づいた頃には、遅かった。残っていたのは、地下に埋まって難を逃れていた俺たちだけだ。俺たちが知っている世界とはまったく違う世界が広がっていた」
「地下世界……そうぞうしんは存在するかわからないと言っていたが、あったんだな」
「世界ってほど大規模でもない。ただの穴ぼこ程度さ」
「他には何か知っているか?」
「もう歳だからな……その他のことまでは覚えていない。ただ、俺たちの文明は何も悪いことをしていないのに破壊された。それだけしか記憶にない」
「でも、姉さんと会ったのは最近だろ? 本当に少しもどこへ行ったかわからないのか?」
「すまんが、わからない。あとのことは創造神に聞いたらどうだ?」
「そうぞうしんに聞いてここへやってきたんだ。なんの成果もなしじゃ嫌だから、何か教えてくれ」
「それじゃあ、もう一度創造神のところへ行け。そして、過去に何があったのか話を聞くといい。知らんって言われちゃそれまでだが、創造神が知らないわけがない」
「そうか。わかった。もう一度そうぞうしんの場所へ行く。そろそろオークたちも着く頃だろうし」
「知らんって言っても、粘り続けるんだぞ。良いな?」
「うん。それじゃあ、また」

 ラルドはニキスを召喚し、ことの顛末を伝えた。

「……そうか。創造神はその話をするのを極端に嫌う。ただちょっと粘るだけじゃ簡単には通してくれないからな」
「お前も聞いたことあるのか?」
「私は歴史を学ぶことが好きでな。私が産まれるより前の出来事を知りたくて、古代文明について質問したんだ。そうしたら、痛みが一週間くらい続く強烈なパンチをもらった」
「そんな……ニキスでそれなら、僕は即死だ」
「まあ、何事もやってみなければわからない。たまには命かけてみても良いんじゃないかな」
「そんな軽いノリで行くもんなのか……?」
「まあまあ気にするな。それより、とっとと天界へ向かうぞ」

 一行はニキスの背中に乗り、天界へと向かった。
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