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第三章 ウスト遺跡編
第五十二話 ニキスを連れて
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翌朝目覚めたラルドとダイヤ。夢の中での体験を一行に話した。
「でですね、その光線銃ってやつが凄くて、ダイヤが前に撃ってきた光線みたいなのが出たんですよ。なぜかその光に触れてもダメージを負いませんでしたが」
「ははは。……それで、岩のことは何かわかったのかい?」
「そうよラルド君。一番大事なのはそのことよ」
「それがですね……」
ラルドは夢で見た岩の内容を告白した。そして、岩の一番大事な情報は知らなかったことも告白した。
「そうか。ニキス君は果たして過去の天界に入れるのだろうか」
「入れなかったらおしまいです。姉さんの行方は完全にわからなくなります」
「困ったな……仮に入れなかったとしたら、そうぞうしん様に頼るしか……」
「お困りのようですね」
ラルドの持つコンパスから声が聞こえる。ラルドはコンパスをカバンから出した。
「そうぞうしん様、姉さんの行方がわからなくなりそうです……あんなに尽くしてもらったのに、情けない限りです……」
「大丈夫です。そのバッジと夢特有の歪める力があれば、コクリュウだけじゃなくてあなたも過去の天界に入ることが出来るはずです。今までの夢でもそうしてきたのでしょう? 挫けないでください」
「そうですよね。こんなことで諦めていたらダメですよね。僕、ニキスと一緒にあなたの母親に会いに行きます」
「ラルド君、私も連れていってもらうことってできますか? 久しく母の姿を見ていないので、行きたいです」
「……歴史を変えてしまうかもしれないので、出来ません」
「なら、せめて視界だけでも共有させてもらえないでしょうか。話すのがダメでも、見るのだけは許してもらえませんか?」
「わかりました。どうやって共有するんですか?」
「あなたが寝た後、私も目を閉じます。そして、映像を観せてもらいます」
「そうぞうしん様は夢の世界の映像を観ることが出来るのですか? 以前把握しきれてないとおっしゃっていましたが」
「ダメで元々、出来たら万々歳です」
「そうですか……とにかくニキスを呼んで過去の天界に行ってみます」
「わかりました。では、ごきげんよう」
コンパスから声が聞こえなくなった。音の出なくなったコンパスをラルドはカバンにしまい、ウスト遺跡中央部にニキスを召喚した。巨大なままだとスペースが足りるかわからなかったようで、人間の姿で呼び出した。
「よっ。あれ以来だな」
「久しぶり。ニキス、頼みたいことがあるんだ。ちょっと良いか?」
ラルドは夢の世界の話をした。全てを聞き終えたニキスは、夢の世界についていくことを了解した。
「それじゃあ、エメに眠らせてもらうとするか。しかし、一人、一竜、一機械の夢をそう簡単に繋げられるのか?」
「出来る出来る。俺に任せてくれ」
「ニキス。ダイヤの力は本物だ。僕が保証する」
「そうか。わかった。信じよう」
「……俺としては、お前なんかと一緒に夢の世界を歩くのは嫌なんだがな。必要ならば仕方あるまい」
「私に頭ぶっ叩かれたこと、まだ恨んでいるのか?」
「だいたい、卑怯だぞ。武器の修正中に拳を入れるなど」
「あんな無防備だったお前が悪い」
「なんだと!」
「二人とも落ち着いてくれ。喧嘩は後で好きなだけやれば良いからさ、な?」
ラルドが慰めることで、顔を真っ赤にしていた二人は落ち着いた。夢の世界へ行くため、三人は横になった。
「さて、俺の出番だな。お前たち、よーくこれを見るんだぞ」
エメは催眠をかけ始めた。眠る前に、三人は色々語り合っていた。
「そういえば、ニキスは僕の夢に現れることが出来てたよな? もしかしてダイヤなしでも僕の夢に入ることが出来るんじゃないか?」
「そうなったら楽だな。いちいち二人も呼ぶのはめんどくさいからな」
「あれは事情が重なりまくった結果だ。本来他人の夢に干渉することなど出来ない」
「その事情って……何……」
それを訊く前に、三人は眠りについてしまった。エメは申し訳なくなった。
「話の途中で悪かったな。続きは夢の世界で話してくれ」
「さて、俺たちはまた防衛に回ろうか。オークたちにあいつらは入れないよう指示したが、掻い潜ってくるかもしれないからな」
一行はオークたちとともに、夢の世界にいる三人を守るため位置についた。
一方夢の中、ラルドとダイヤは同じ場所に出た。あとはニキスを見つけるだけだ。二人はニキスが入っている夢の世界に干渉し、ニキスの名を呼んだ。
(おーい、ニキスー!)
そう言うと、どこからともなくニキスが飛んできた。周りの人々は、ニキスの登場に驚いている。
「ラルド、何もこんな場所で呼ばなくたって良いじゃないか。夢の中とはいえ、人間たちが怯えているぞ」
(ごめんごめん、急いでるからさ。さあ、この穴の中に入るんだ)
ラルドは自分たちが干渉した穴を広げ、中へ入るよう指示した。ニキスは一時的に人間の姿になり、するりと入った。騒ぎが大きくなる前に、他の二人も急いで中に入り、穴を塞いだ。
ダイヤの夢の世界に集まった三人。とりあえず人気のないところへ行き、ニキスを元の姿に戻そうと考えた。南は戦争中、西はこれ以上行けないので、東か北に行くことにした。
「まあ、北だな。東には魔物が多そうでめんどくさそうだ。お前たちはどう思う?」
ニキスは二人に問いかける。二人とも異論ないようで、賛成した。
「じゃあ北に行くとするか。ついてこい」
「待て、竜。この時代にはこんな便利な物があるんだ。へい、タクシー!」
「お客さん、今日は一人増えましたな。背中に翼が生えてて、天使みたいだ」
「こいつの翼はコスプレだ。あまり気にすんな。俺を前の座席、二人を後部座席に座らせてくれ」
「わかりました。さ、お二人はこちらへ」
運転手は後ろの扉を開き、二人を誘う。ニキスは困惑しているが、ラルドが少し説明すると納得して乗り込んだ。ラルドも乗る。三人乗り終わったので、タクシーは北へ進み始めた。
「しかしお客さん、その翼のコスプレ、良く出来てますなぁ。生え際に違和感がないし、自由に動かせてるし。どんな機械をお使いなんですか?」
「は?」
「運転手さん、あんまり気にしてやらないでください。彼、派手なコスプレしてる割にシャイだから、そういうこと言われると緊張してしまうんですよ」
「それは失礼いたしました。いやー、話題のタネがなかったもんですから、つい」
「???」
(ニキス、ここはそういう場所なんだ。僕もついていけてないけど、軽く流すんだ)
「そ、そうか……」
「ピー、目的地まで、残りわずかです。お客様は、降りる準備をお願いします」
「もうすぐ着きますよ。忘れ物のないようにしてくださいね」
タクシーが伝えた通り、すぐにウスト王国の北側出入り口に着いた。当然運賃は無払いだ。運転手は三人ともタクシーから降りたのを確認すると、Uターンして定位置に戻っていった。
「さて、さっさと出て、天界へ行くぞ」
「悪いが、俺はここでお別れだ。この時代でも、俺たちは外に出ることは叶わないだろうからな」
「そうか。それじゃあラルド、私たち二人で天界へ向かおう」
(ダイヤ、僕とニキスをこの世界に連れてきてくれてありがとう。後はゆっくりしていてくれ)
二人を見送ったダイヤは、一人紋章の岩の場所へと向かった。
「安らかに眠れ、モンド……この文章が刻まれた岩まで消えたのに、なぜこの岩だけは残ったのだろう」
ダイヤは岩に手を当て、考える。王族として暮らした日々が思い出されていく。その思い出に浸りながら、いつまでも目をつむっていた。
一方ラルドとニキスは天界へ向け飛んでいた。
(入れるかな……)
「心配してる暇があるなら、今のうちに念じる準備をしておけ。私も念じるから」
(わかった。ふんぬうぅ……)
徐々に天界に近づく二人。ついに光の壁の目の前まで来た。普通に入れるか試したところ、ラルドだけが弾かれてしまった。ラルドはなんとか風の呪文で浮き、再びニキスの背に乗った。
(やっぱりバッジがあっても時代が違うからダメか……)
「さあ、念じるんだ。思いっ切り」
二人とも頭が痛くなるほど念じた。すると、光の壁の一部に穴が空いた。
「ラルド、今だ! 風の呪文でその狭い穴を通れ!」
(はぁぁぁぁ!)
無事穴の中に入ることが出来たラルド。すぐにニキスも入り、浮かんだラルドを背中に乗せた。天界はもう少し上にあるようだ。
「よし。あそこまで飛んでいくぞ。しっかり掴まっていろ」
ニキスは天界へ向けて飛んだ。
「でですね、その光線銃ってやつが凄くて、ダイヤが前に撃ってきた光線みたいなのが出たんですよ。なぜかその光に触れてもダメージを負いませんでしたが」
「ははは。……それで、岩のことは何かわかったのかい?」
「そうよラルド君。一番大事なのはそのことよ」
「それがですね……」
ラルドは夢で見た岩の内容を告白した。そして、岩の一番大事な情報は知らなかったことも告白した。
「そうか。ニキス君は果たして過去の天界に入れるのだろうか」
「入れなかったらおしまいです。姉さんの行方は完全にわからなくなります」
「困ったな……仮に入れなかったとしたら、そうぞうしん様に頼るしか……」
「お困りのようですね」
ラルドの持つコンパスから声が聞こえる。ラルドはコンパスをカバンから出した。
「そうぞうしん様、姉さんの行方がわからなくなりそうです……あんなに尽くしてもらったのに、情けない限りです……」
「大丈夫です。そのバッジと夢特有の歪める力があれば、コクリュウだけじゃなくてあなたも過去の天界に入ることが出来るはずです。今までの夢でもそうしてきたのでしょう? 挫けないでください」
「そうですよね。こんなことで諦めていたらダメですよね。僕、ニキスと一緒にあなたの母親に会いに行きます」
「ラルド君、私も連れていってもらうことってできますか? 久しく母の姿を見ていないので、行きたいです」
「……歴史を変えてしまうかもしれないので、出来ません」
「なら、せめて視界だけでも共有させてもらえないでしょうか。話すのがダメでも、見るのだけは許してもらえませんか?」
「わかりました。どうやって共有するんですか?」
「あなたが寝た後、私も目を閉じます。そして、映像を観せてもらいます」
「そうぞうしん様は夢の世界の映像を観ることが出来るのですか? 以前把握しきれてないとおっしゃっていましたが」
「ダメで元々、出来たら万々歳です」
「そうですか……とにかくニキスを呼んで過去の天界に行ってみます」
「わかりました。では、ごきげんよう」
コンパスから声が聞こえなくなった。音の出なくなったコンパスをラルドはカバンにしまい、ウスト遺跡中央部にニキスを召喚した。巨大なままだとスペースが足りるかわからなかったようで、人間の姿で呼び出した。
「よっ。あれ以来だな」
「久しぶり。ニキス、頼みたいことがあるんだ。ちょっと良いか?」
ラルドは夢の世界の話をした。全てを聞き終えたニキスは、夢の世界についていくことを了解した。
「それじゃあ、エメに眠らせてもらうとするか。しかし、一人、一竜、一機械の夢をそう簡単に繋げられるのか?」
「出来る出来る。俺に任せてくれ」
「ニキス。ダイヤの力は本物だ。僕が保証する」
「そうか。わかった。信じよう」
「……俺としては、お前なんかと一緒に夢の世界を歩くのは嫌なんだがな。必要ならば仕方あるまい」
「私に頭ぶっ叩かれたこと、まだ恨んでいるのか?」
「だいたい、卑怯だぞ。武器の修正中に拳を入れるなど」
「あんな無防備だったお前が悪い」
「なんだと!」
「二人とも落ち着いてくれ。喧嘩は後で好きなだけやれば良いからさ、な?」
ラルドが慰めることで、顔を真っ赤にしていた二人は落ち着いた。夢の世界へ行くため、三人は横になった。
「さて、俺の出番だな。お前たち、よーくこれを見るんだぞ」
エメは催眠をかけ始めた。眠る前に、三人は色々語り合っていた。
「そういえば、ニキスは僕の夢に現れることが出来てたよな? もしかしてダイヤなしでも僕の夢に入ることが出来るんじゃないか?」
「そうなったら楽だな。いちいち二人も呼ぶのはめんどくさいからな」
「あれは事情が重なりまくった結果だ。本来他人の夢に干渉することなど出来ない」
「その事情って……何……」
それを訊く前に、三人は眠りについてしまった。エメは申し訳なくなった。
「話の途中で悪かったな。続きは夢の世界で話してくれ」
「さて、俺たちはまた防衛に回ろうか。オークたちにあいつらは入れないよう指示したが、掻い潜ってくるかもしれないからな」
一行はオークたちとともに、夢の世界にいる三人を守るため位置についた。
一方夢の中、ラルドとダイヤは同じ場所に出た。あとはニキスを見つけるだけだ。二人はニキスが入っている夢の世界に干渉し、ニキスの名を呼んだ。
(おーい、ニキスー!)
そう言うと、どこからともなくニキスが飛んできた。周りの人々は、ニキスの登場に驚いている。
「ラルド、何もこんな場所で呼ばなくたって良いじゃないか。夢の中とはいえ、人間たちが怯えているぞ」
(ごめんごめん、急いでるからさ。さあ、この穴の中に入るんだ)
ラルドは自分たちが干渉した穴を広げ、中へ入るよう指示した。ニキスは一時的に人間の姿になり、するりと入った。騒ぎが大きくなる前に、他の二人も急いで中に入り、穴を塞いだ。
ダイヤの夢の世界に集まった三人。とりあえず人気のないところへ行き、ニキスを元の姿に戻そうと考えた。南は戦争中、西はこれ以上行けないので、東か北に行くことにした。
「まあ、北だな。東には魔物が多そうでめんどくさそうだ。お前たちはどう思う?」
ニキスは二人に問いかける。二人とも異論ないようで、賛成した。
「じゃあ北に行くとするか。ついてこい」
「待て、竜。この時代にはこんな便利な物があるんだ。へい、タクシー!」
「お客さん、今日は一人増えましたな。背中に翼が生えてて、天使みたいだ」
「こいつの翼はコスプレだ。あまり気にすんな。俺を前の座席、二人を後部座席に座らせてくれ」
「わかりました。さ、お二人はこちらへ」
運転手は後ろの扉を開き、二人を誘う。ニキスは困惑しているが、ラルドが少し説明すると納得して乗り込んだ。ラルドも乗る。三人乗り終わったので、タクシーは北へ進み始めた。
「しかしお客さん、その翼のコスプレ、良く出来てますなぁ。生え際に違和感がないし、自由に動かせてるし。どんな機械をお使いなんですか?」
「は?」
「運転手さん、あんまり気にしてやらないでください。彼、派手なコスプレしてる割にシャイだから、そういうこと言われると緊張してしまうんですよ」
「それは失礼いたしました。いやー、話題のタネがなかったもんですから、つい」
「???」
(ニキス、ここはそういう場所なんだ。僕もついていけてないけど、軽く流すんだ)
「そ、そうか……」
「ピー、目的地まで、残りわずかです。お客様は、降りる準備をお願いします」
「もうすぐ着きますよ。忘れ物のないようにしてくださいね」
タクシーが伝えた通り、すぐにウスト王国の北側出入り口に着いた。当然運賃は無払いだ。運転手は三人ともタクシーから降りたのを確認すると、Uターンして定位置に戻っていった。
「さて、さっさと出て、天界へ行くぞ」
「悪いが、俺はここでお別れだ。この時代でも、俺たちは外に出ることは叶わないだろうからな」
「そうか。それじゃあラルド、私たち二人で天界へ向かおう」
(ダイヤ、僕とニキスをこの世界に連れてきてくれてありがとう。後はゆっくりしていてくれ)
二人を見送ったダイヤは、一人紋章の岩の場所へと向かった。
「安らかに眠れ、モンド……この文章が刻まれた岩まで消えたのに、なぜこの岩だけは残ったのだろう」
ダイヤは岩に手を当て、考える。王族として暮らした日々が思い出されていく。その思い出に浸りながら、いつまでも目をつむっていた。
一方ラルドとニキスは天界へ向け飛んでいた。
(入れるかな……)
「心配してる暇があるなら、今のうちに念じる準備をしておけ。私も念じるから」
(わかった。ふんぬうぅ……)
徐々に天界に近づく二人。ついに光の壁の目の前まで来た。普通に入れるか試したところ、ラルドだけが弾かれてしまった。ラルドはなんとか風の呪文で浮き、再びニキスの背に乗った。
(やっぱりバッジがあっても時代が違うからダメか……)
「さあ、念じるんだ。思いっ切り」
二人とも頭が痛くなるほど念じた。すると、光の壁の一部に穴が空いた。
「ラルド、今だ! 風の呪文でその狭い穴を通れ!」
(はぁぁぁぁ!)
無事穴の中に入ることが出来たラルド。すぐにニキスも入り、浮かんだラルドを背中に乗せた。天界はもう少し上にあるようだ。
「よし。あそこまで飛んでいくぞ。しっかり掴まっていろ」
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