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第四章 地下編
第七十一話 実践
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夜空に光が何百個と浮かぶウスト遺跡。そこで一行は眠りにつこうとしていた。何も出来なかった組が寝る前に試してみることの確認をしているため、それをラルドたちが待っている状態である。
「……以上だ。みんな、覚えたか?」
「自分で出したアイデアくらいなら簡単に覚えられるが、ちよっと多すぎるな」
「まあみんなそんな感じだろ。な? ニキス君、エメ君」
「私の記憶力は人間より遥かに高い。自分以外の奴が出したアイデアも余裕で記憶出来ている」
「じゃあ全部ニキスに任せて、俺は言われたことをやるだけで良いな。全員を眠らす必要もないし、楽で良いや」
「エメ君……まあ良いや。ラルド君たちを待たせてるから、早く寝よう」
重いまぶたを必死に上げながら、寝るのを我慢するラルドたち。そこに、何も出来なかった組がやってきた。
「レイフ様……もう限界です」
「ごめんごめん。今終わったところだから、もう寝られるぞ」
「それは、良かったです。もう、身体を倒して良いですか?」
「大丈夫だ。さあみんな、寝るぞ」
ジシャン以外の一行は眠りについた。
(明日はあの子たち、来るのかしら。流石にもう来ないかな。機会があったらあの子たちやレイフたちにポーションを飲ませてみようかしら。ラルド君みたいになるかもしれないし)
ジシャンは考え事をしながら、一行に遅れて眠り始めた。
夢の世界。一行が花畑に集まる。そして、ホウマの夢の世界へ足を踏み入れた。話が通じない雑魚怨念たちに対して何も出来なかった組は手段を思い出しながら実行する。
「武器がないから直接攻撃しか出来ない。お前たち、焼かれないようにな」
「ふん! あっつ!」
「ニキス君、ブレスは!?」
「はぁぁー……お、燃えた」
燃えた怨念は凄いスピードで近寄ってきた。シンジュが呪殺でギリギリ仕留めたが、一行まであと少しのところだった。一方、直接攻撃は怨念が熱すぎて誰も出来なかった。
「剣とか斧があれば変わるんだろうがな……素手じゃ流石に厳しいか。そしてブレスも無効と。あと何個くらい案があったかな」
一行はあらゆる手段を使い怨念と戦った。怨念より怖い顔をして怯えさせる。呪殺のポーズの真似をして逃げさせる。叫んで威嚇する。さまざまな案を実行したが、効いたのは呪殺のポーズの真似だけだった。
「これなら俺たちにも出来るな。ウォリア、エメ君、ニキス君、俺たちはこれでいこう」
「そもそも呪殺が本当に出来る奴がいるのに必要か?」
「ま、まあ、少しでもシンジュちゃんの負担を減らせるだろうし、必要だろう。な? シンジュちゃん」
「呪殺、疲れる。レイフたちが手伝ってくれるの、助かってる」
「な? 本人もそう言ってるんだし、俺たちはこれで良いんだ」
「そうか……この俺が、武器も振るえず出来ることは嘘のポーズだけってのはなんだかなぁ」
「さあ、これから先もそれで行くぞ。ホウマ君、俺たちはどこに行けば良さそうなんだ?」
「それを思い出そうとすると、頭が……」
「頭が痛くなるってことなら、そこにあの方とやらがいるってことだ。どの辺りを思い浮かべてる?」
「さあ……道標もないし、具体的にどことは言えない。とにかく歩き回るしかないかな」
「うーん、この世界を回るのってどのくらいかかるんだ? 地上と同じくらいなら助かるんだが」
「地下って言うくらいだから、上と同じくらいかな」
「それじゃあ、闇雲に回っていればいずれはあの方とやらの場所にたどり着くな」
「レイフ、あいつは定位置にはいない。いつも動き回ってる。だから、単純に回れば良いだけじゃない」
「そこは思い出せたんだな」
「まあ、あいつの特定には繋がらないから、頭痛がしなかったのかも」
「しかし、困ったな……どうやってあの方とやらに接触すれば良いんだろう?」
一行が座って考えていると、暗闇から突然少年が現れた。その少年に、ラルドは見覚えがあった。
「お困りのようですね」
(あ、お前はあのときの……)
「ラルド君、知ってるのかい?」
(僕の夢にこの前現れたんです。なんでも、真の地下世界に連れてってやるとか。どうせ罠だろうから相手にしませんでしたけど)
「ここまで来たなら皆さんなんとなく察しがついているでしょう。あの方にはこんなところでさまよってたら一生会えない。さあ、僕についてきてください。あの方がお待ちですよ」
そう言うと少年は虚空から扉を作り出した。その扉を開け、誘導する。
「ほう、そこにあの方とやらがいるのか」
「そうです。ささ、中へ中へ(こいつら、そこそこ怨念が溜まってるな。ちょうど良い餌になりそうだ)」
「……」
「あれ? どうしました?(早く入れよ! ノルマがあるってのに、こいつらなんなんだよ!)」
「……一つ、質問。君はラルド君のことをどこまで知っているのだい?」
「最弱と言われ続け、心がすっかり妬みにまみれている可哀想な人間です。そんな奴も、あの方なら救ってくれますよ(なんなんだ? この質問。僕がどれくらいラルドのことを知ってるかなんてどうでも良いだろうに)」
「だとさラルド君。そろそろ準備は出来てるかい?」
(時間稼ぎありがとうございます、レイフ様)
「時間稼ぎ? なんの意味があるのです?」
(さあシンジュ、殺るんだ)
「うん。ふんー!」
「ぐはぁ! な、何をしやがる!」
「君はどうやら最後まで気づけなかったようだな。この子はサトリ。君が誘導中に心の中で言ってたことを全部聞かせてもらった。さあ言え。あの方とやらは何者だ? そして、その扉の先はなんだ?」
シンジュの呪殺によって死にかけの少年は、その事実に驚き、非常に動揺する。
「く、くそ! こんなことならちゃんと魔物の特性も知っておくべきだった!」
(お前、サトリは魔物じゃなくて妖精だ。そんなこともわからずに僕の夢に現れたのか? 愚か者)
「ぐっ……わかった。死ぬ前に教えてやろう。この扉の先にあの方がいる。これは事実だ。そして、あの方とは……」
少年があの方の名前を言いかけると、扉から腕が出てきて少年をさらっていった。中から悲鳴が聞こえる。
「はぁ、危ないところだった。一番の敵は無能な味方だな」
その腕は扉の奥に戻っていこうとした。しかし、何かを思いついたのか、再び出てきた。ラルドの方を指さし、何か喋り始める。
「おい、ラルド。ちょっと話がある。ここへ来い」
(絶対行かんぞ。あんな悲鳴を聞いた後に行けるわけないたろ)
腕の誘導に、ラルドは簡単には従わない。
「えー残念。お前とは顔見知りなのだがな」
(じゃあ、それを証明してみろよ。顔も出せない臆病者)
「そうだ。俺は臆病者だ。お前の恐ろしい力に怯えて、顔など合わせられない。だが、己を証明するものはたくさんあるぞ。ほら、この煙、見覚えあるだろ」
そう言うと腕は、手のひらから紫色のオーラを出した。その腕をしまい、もう片方の腕を出して、球体を置いた。再び腕を入れ替え、紫色のオーラを放つ手のひらで球体を破壊した。
「これで、俺が誰かわかったろう?」
(は! まさかお前は……!)
「ウォリア、お前はわかるか?」
「紫色のやつは、怨念か? ラルドは誰か察しているようだが」
「なんだ? 急にボールを破壊して……ん? 破壊……?」
「ニキス、お前も俺と顔見知りだよな」
「私とラルドと顔を合わせたことがあり、なおかつ破壊の力が使える。お前は……」
「ザッツライト。俺は、破壊神コワレだ!」
破壊神の名乗りとともに、怨念がバカみたいに集まってくる。そのどれもが一行を無視して扉の中へ入ろうとする。しかし、腕に払われて続々と怨念が弾けていく。
「ふははは! 神の一声に、雑魚どもがワラワラ湧いてくりゃー! けーへっへっへっへっ!」
「ラルド、こいつ、おかしい。自分の仲間を殺してる」
「俺に必要なのは優秀な怨念のみ。下級怨念はお呼びじゃない。さあラルド、正体もわかったことだし、そろそろ入る気になったんじゃないか?」
(でも、破壊神は封印されたはず……もしや、封印されたのがこの場所ということか?)
「まあその辺の長話は中でしてやるから入ってこい。罠じゃないことを証明してやろうか?」
警戒を続けるラルド。破壊神は証明のため、自分の血を印代わりに紙に押した。血の印は、証明には十分な物だった。
「これでも信用出来ないか?」
(……わかった。だけど、他の人たちも入れてくれ。それなら入る)
「ふっ、良いだろう。さあ、中へ入れ」
「ラルド君、本当に、はかいしんは信用出来るのか?」
(やばそうだったら、目覚めましょう)
「そうだな」
一行は扉の中へ入っていった。
「……以上だ。みんな、覚えたか?」
「自分で出したアイデアくらいなら簡単に覚えられるが、ちよっと多すぎるな」
「まあみんなそんな感じだろ。な? ニキス君、エメ君」
「私の記憶力は人間より遥かに高い。自分以外の奴が出したアイデアも余裕で記憶出来ている」
「じゃあ全部ニキスに任せて、俺は言われたことをやるだけで良いな。全員を眠らす必要もないし、楽で良いや」
「エメ君……まあ良いや。ラルド君たちを待たせてるから、早く寝よう」
重いまぶたを必死に上げながら、寝るのを我慢するラルドたち。そこに、何も出来なかった組がやってきた。
「レイフ様……もう限界です」
「ごめんごめん。今終わったところだから、もう寝られるぞ」
「それは、良かったです。もう、身体を倒して良いですか?」
「大丈夫だ。さあみんな、寝るぞ」
ジシャン以外の一行は眠りについた。
(明日はあの子たち、来るのかしら。流石にもう来ないかな。機会があったらあの子たちやレイフたちにポーションを飲ませてみようかしら。ラルド君みたいになるかもしれないし)
ジシャンは考え事をしながら、一行に遅れて眠り始めた。
夢の世界。一行が花畑に集まる。そして、ホウマの夢の世界へ足を踏み入れた。話が通じない雑魚怨念たちに対して何も出来なかった組は手段を思い出しながら実行する。
「武器がないから直接攻撃しか出来ない。お前たち、焼かれないようにな」
「ふん! あっつ!」
「ニキス君、ブレスは!?」
「はぁぁー……お、燃えた」
燃えた怨念は凄いスピードで近寄ってきた。シンジュが呪殺でギリギリ仕留めたが、一行まであと少しのところだった。一方、直接攻撃は怨念が熱すぎて誰も出来なかった。
「剣とか斧があれば変わるんだろうがな……素手じゃ流石に厳しいか。そしてブレスも無効と。あと何個くらい案があったかな」
一行はあらゆる手段を使い怨念と戦った。怨念より怖い顔をして怯えさせる。呪殺のポーズの真似をして逃げさせる。叫んで威嚇する。さまざまな案を実行したが、効いたのは呪殺のポーズの真似だけだった。
「これなら俺たちにも出来るな。ウォリア、エメ君、ニキス君、俺たちはこれでいこう」
「そもそも呪殺が本当に出来る奴がいるのに必要か?」
「ま、まあ、少しでもシンジュちゃんの負担を減らせるだろうし、必要だろう。な? シンジュちゃん」
「呪殺、疲れる。レイフたちが手伝ってくれるの、助かってる」
「な? 本人もそう言ってるんだし、俺たちはこれで良いんだ」
「そうか……この俺が、武器も振るえず出来ることは嘘のポーズだけってのはなんだかなぁ」
「さあ、これから先もそれで行くぞ。ホウマ君、俺たちはどこに行けば良さそうなんだ?」
「それを思い出そうとすると、頭が……」
「頭が痛くなるってことなら、そこにあの方とやらがいるってことだ。どの辺りを思い浮かべてる?」
「さあ……道標もないし、具体的にどことは言えない。とにかく歩き回るしかないかな」
「うーん、この世界を回るのってどのくらいかかるんだ? 地上と同じくらいなら助かるんだが」
「地下って言うくらいだから、上と同じくらいかな」
「それじゃあ、闇雲に回っていればいずれはあの方とやらの場所にたどり着くな」
「レイフ、あいつは定位置にはいない。いつも動き回ってる。だから、単純に回れば良いだけじゃない」
「そこは思い出せたんだな」
「まあ、あいつの特定には繋がらないから、頭痛がしなかったのかも」
「しかし、困ったな……どうやってあの方とやらに接触すれば良いんだろう?」
一行が座って考えていると、暗闇から突然少年が現れた。その少年に、ラルドは見覚えがあった。
「お困りのようですね」
(あ、お前はあのときの……)
「ラルド君、知ってるのかい?」
(僕の夢にこの前現れたんです。なんでも、真の地下世界に連れてってやるとか。どうせ罠だろうから相手にしませんでしたけど)
「ここまで来たなら皆さんなんとなく察しがついているでしょう。あの方にはこんなところでさまよってたら一生会えない。さあ、僕についてきてください。あの方がお待ちですよ」
そう言うと少年は虚空から扉を作り出した。その扉を開け、誘導する。
「ほう、そこにあの方とやらがいるのか」
「そうです。ささ、中へ中へ(こいつら、そこそこ怨念が溜まってるな。ちょうど良い餌になりそうだ)」
「……」
「あれ? どうしました?(早く入れよ! ノルマがあるってのに、こいつらなんなんだよ!)」
「……一つ、質問。君はラルド君のことをどこまで知っているのだい?」
「最弱と言われ続け、心がすっかり妬みにまみれている可哀想な人間です。そんな奴も、あの方なら救ってくれますよ(なんなんだ? この質問。僕がどれくらいラルドのことを知ってるかなんてどうでも良いだろうに)」
「だとさラルド君。そろそろ準備は出来てるかい?」
(時間稼ぎありがとうございます、レイフ様)
「時間稼ぎ? なんの意味があるのです?」
(さあシンジュ、殺るんだ)
「うん。ふんー!」
「ぐはぁ! な、何をしやがる!」
「君はどうやら最後まで気づけなかったようだな。この子はサトリ。君が誘導中に心の中で言ってたことを全部聞かせてもらった。さあ言え。あの方とやらは何者だ? そして、その扉の先はなんだ?」
シンジュの呪殺によって死にかけの少年は、その事実に驚き、非常に動揺する。
「く、くそ! こんなことならちゃんと魔物の特性も知っておくべきだった!」
(お前、サトリは魔物じゃなくて妖精だ。そんなこともわからずに僕の夢に現れたのか? 愚か者)
「ぐっ……わかった。死ぬ前に教えてやろう。この扉の先にあの方がいる。これは事実だ。そして、あの方とは……」
少年があの方の名前を言いかけると、扉から腕が出てきて少年をさらっていった。中から悲鳴が聞こえる。
「はぁ、危ないところだった。一番の敵は無能な味方だな」
その腕は扉の奥に戻っていこうとした。しかし、何かを思いついたのか、再び出てきた。ラルドの方を指さし、何か喋り始める。
「おい、ラルド。ちょっと話がある。ここへ来い」
(絶対行かんぞ。あんな悲鳴を聞いた後に行けるわけないたろ)
腕の誘導に、ラルドは簡単には従わない。
「えー残念。お前とは顔見知りなのだがな」
(じゃあ、それを証明してみろよ。顔も出せない臆病者)
「そうだ。俺は臆病者だ。お前の恐ろしい力に怯えて、顔など合わせられない。だが、己を証明するものはたくさんあるぞ。ほら、この煙、見覚えあるだろ」
そう言うと腕は、手のひらから紫色のオーラを出した。その腕をしまい、もう片方の腕を出して、球体を置いた。再び腕を入れ替え、紫色のオーラを放つ手のひらで球体を破壊した。
「これで、俺が誰かわかったろう?」
(は! まさかお前は……!)
「ウォリア、お前はわかるか?」
「紫色のやつは、怨念か? ラルドは誰か察しているようだが」
「なんだ? 急にボールを破壊して……ん? 破壊……?」
「ニキス、お前も俺と顔見知りだよな」
「私とラルドと顔を合わせたことがあり、なおかつ破壊の力が使える。お前は……」
「ザッツライト。俺は、破壊神コワレだ!」
破壊神の名乗りとともに、怨念がバカみたいに集まってくる。そのどれもが一行を無視して扉の中へ入ろうとする。しかし、腕に払われて続々と怨念が弾けていく。
「ふははは! 神の一声に、雑魚どもがワラワラ湧いてくりゃー! けーへっへっへっへっ!」
「ラルド、こいつ、おかしい。自分の仲間を殺してる」
「俺に必要なのは優秀な怨念のみ。下級怨念はお呼びじゃない。さあラルド、正体もわかったことだし、そろそろ入る気になったんじゃないか?」
(でも、破壊神は封印されたはず……もしや、封印されたのがこの場所ということか?)
「まあその辺の長話は中でしてやるから入ってこい。罠じゃないことを証明してやろうか?」
警戒を続けるラルド。破壊神は証明のため、自分の血を印代わりに紙に押した。血の印は、証明には十分な物だった。
「これでも信用出来ないか?」
(……わかった。だけど、他の人たちも入れてくれ。それなら入る)
「ふっ、良いだろう。さあ、中へ入れ」
「ラルド君、本当に、はかいしんは信用出来るのか?」
(やばそうだったら、目覚めましょう)
「そうだな」
一行は扉の中へ入っていった。
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