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第四章 地下編
第七十五話 破壊神をどうするか
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作戦会議が続けられて早一時間。すっかり日は落ち、空からの光が無数に見える状況になっていた。一行はまだ眠る時間ではないと、最後の最後まで作戦会議をした。
「とりあえず、あのはかいしんをどうにかする。サフィアを捜すのも同時進行でやる。これで良いな?」
「その二つは、両立出来ないと思うぜ。やるならどっちか片方だ」
「じゃあ、どっちをやるか多数決で決めるとしよう。はかいしんをどうにかしたい奴は、右手。サフィアを捜したい奴は、左手。どっちかの手を上げろ」
一行はそれぞれ別の手を上げる。右手を上げたのはダイヤだけだった。
「決まりだな。はかいしんのことは一旦無視して、サフィアを捜すことにしよう」
「ちょっと待てよ」
レイフの言葉に、ダイヤが待ったをかける。
「ダイヤ君、どうかしたのかい?」
「俺の勝手な予想だが、破壊神を倒さないとサフィアを見つけることは出来ない気がする。ラルドのコンパスがあの岩をさしてるってことは地下世界にいるんだろうが、あんな暗くて無駄に広いところをさまよっていても見つかるはずがない。しかし、破壊神を倒せば、それまで破壊神が壊してきたものが蘇るんじゃないか? そうしたら捜しやすくなると思うんだ」
「大胆な予想をするんだな、ダイヤ君」
「思い出したのさ。王族だった頃、そんな伝説を母上から訊いたことがある。壊れた物は、手間をかければまた生まれると。破壊神が破壊し尽くした世界も、きっと元に戻るんだ」
「どうかな。伝説ってのも情報としては弱いし、うーん」
「まあ、地下世界を再興させるって意味でも、あいつを倒すのには意味があると思うぜ。単純に嬉しいだろ、世界を救うと。レイフ、ウォリア、ジシャンは二つの世界を救った英雄中の英雄になるわけだからな」
「英雄……かっこいい。私、はかいしん倒す」
シンジュは右手を掲げた。
「シンジュちゃん、君にそんな力があるのかい?」
「みんながついてる。みんな強い。絶対負けない」
「どうだか。俺たちは英雄とは言われているが、魔王と戦ったときに役に立ったのはサフィアただ一人だしな。それに、修行も特にしてないから、今の俺たちでは力不足かもしれない。それに、武器を持っていけない問題もあるしな」
「うぅ……レイフおじさん、自信なさげ。私も自信なくなる」
「武器か。俺は持っていけてるけどな」
「ダイヤ君の武器は、身体の一部なんだろう? そりゃあ持っていけるに決まってる。でも、俺たちの身体の一部を武器にするなんて不可能だ」
「呪文もダメか?」
「ああ。このペンダントなくして呪文は撃てない。これもどうやら向こうの世界では消えちまうみたいだしな」
「じゃあ、いっそのことその辺に転がってるあいつらを復元して、その中に人格ぶちこめば良いんじゃないか? そうしたら、武器も好きなだけ持っていけるぜ」
「バカ言うな。この人間の身体を捨てろと言うのか」
「それくらいの覚悟もなしに挑むもんじゃないだろ。破壊神と戦うにしろ、サフィアを捜すにしろ。まあ嫌な気持ちもわからなくはないが。なんだか俺の存在をバカにされた気分だ」
ダイヤはちょっと悲しくなり、腕を後ろに回して斜めった柱に背中をつけ夜空を見上げた。レイフは慌てて訂正する。
「別に君のことを悪く言うつもりはない。だけど、俺たちにとってはそれは出来ないんだ。死んでるわけでもないし」
「そういえば、試したことがないな。生きてる奴の人格システムを搭載した機械がどうなるのか」
「実験台になるのは嫌だな」
「誰か実験台にして良い奴はいないのか? 犯罪者とか」
「いないことはないが、俺たちの権限でどうにかなるものではないな。いくら英雄とて、犯罪者を好きに動かすことは出来ない」
「そうか。俺が生きていた時代だったら、王族の権利でどうとでも出来たんだろうがな。今から行ってそれを試しても、歴史が変わったりしたら今の世界に迷惑をかけるかもしれない。難しいところだ」
「あいつの性格上厳しいと思うが、いっそ平和的な解決が出来れば良いんだけどな。例えば、魔王スゴロクとかで……」
戦うことを諦めかけているレイフの口から出た言葉に、ホウマがすぐさま反応した。
「レイフ、まさか本気で言ってないよね? あいつはそんな奴じゃないよ」
「わからんだろ。もしかしたら意外と面白い奴かもしれないぞ」
「あいつは、自分の妻に人間を作らせて楽が出来ると喜んで、かと思ったら人間の行動に絶望して滅ぼそうとした奴だぞ。人間である以上、仲良くするのなんて不可能だ」
「楽が出来るって、一体なんだ?」
「あいつは面倒くさがりなんだ。本気を出したら恐ろしいけど、よほどの状況にならないと本気を出さない。今も本気を出してないだけで、いつまた暴走してもおかしくない爆弾みたいな奴だ」
「それならなおさら殺さないといけないな。しかし……」
一行の周りは静寂に包まれる。誰もどうやったら破壊神をどうにか出来るのか、案が出ないのだ。火の呪文の焚き火を見つめ、誰が喋り出すかを全員が待っている状態である。
そのうち寝る時間をとっくに過ぎてしまっていたことに気づいたレイフが喋り出した。
「もう寝る時間だ。焚き火を消そう。はかいしんをどうするかは、ダイヤ君のところで話し合おう」
ジシャンを除いた一行は、横一列に並び仰向けになった。そして、まぶたを閉じる。ジシャンはフンスのテントへと入っていった。
「随分長話だったな。俺も、今から寝るところだ」
「私もレイフたちの役に立てれば良いんだけどね。みんな頑張ってるのに、私だけ何もせずにダラダラする日々。なんだかなぁ」
「良いじゃないか、ダラダラ出来て。俺はダラダラするのが好きで仕方ないから、今のお前が羨ましい」
「あんたもダラダラしてるじゃない!」
「まあな。連中はこんな俺でも慕ってくれる。楽な立場だぜ、フフフ。さあ、あかりを消すぞ」
「おやすみなさい」
ジシャンもまぶたを閉じた。
夢の世界、一行はダイヤの花畑に集まっていた。
「どうだ、レイフとウォリア? そろそろ夢の世界にも慣れてきたか?」
「うーん、装備が外されて軽い感じはするが、なんか違和感がある。やはり勇者たるもの剣くらい持ってなきゃな」
「俺も、自慢の鎧がなくなってあんまり良い気持ちはしないな」
「それは残念だ。早くこの環境に慣れてもらわないと破壊神と戦うことも出来ない。そんなに武器や防具を持ちたいか」
「あれなくして戦うなんて、武闘家でもないし出来ない」
「それじゃあ、武道を学べば良いんじゃないか? 己の身一つで戦えるようになれば、武器も防具も必要なかろう」
「幼い頃からずーっと剣を握りしめてきた俺が、ほんのちょっとの努力で拳を鍛えることが出来るとでも?」
「俺はこの肉体があるから一応戦えるかもしれないが、そんな戦い方あまりしないからなぁ」
「お前たち二人が一番戦闘経験があるんだから、しっかりしろよ」
「いや、この中で一番戦い慣れてるのは、ダイヤ君だろう。長い間、ウスト遺跡を守ってきたんだから」
「これ以上話すと押し付け合いになるからやめよう。とりあえず、今日は地下世界に行かないで、ひたすら会議だ。どうすれば破壊神を倒せるか、考えよう」
「えぇ? 地下世界行くんじゃないの? 僕がいるのに?」
「お前一人で破壊神を倒すのは無理だろう。みんなで協力しなくちゃいけない。そのためにも、色々試してみないといけない」
「ふーん」
「さて、一番の問題は荷物問題だな。ここさえ解決出来れば、戦える。現実と夢の世界両方で考えることで、効率アップだ」
一行は夢の世界に武器や防具、荷物を持ち込む方法を話し合った。既に現実で話した人格システムは一旦省き、人間としての身体でなんとか持ち込めないかを話し合った。
結論として出たのは、睡眠のスペシャリストであるエメに訊ねることだった。
「エメ君、君だけが頼りだ。睡眠のスペシャリストの君なら、何か知っているんじゃないか?」
「俺に頼りっきりはダメだと言ったのに、まったく……まあ良い。一つだけ、教えてやる。俺の十年以上鍛え上げた睡眠の力をすぐに習得出来るなら、だがな」
「十年以上鍛え上げた睡眠の力……か」
誰も習得出来る気が全くしないようで、一行はうつむく。エメはその様子を見て、話し出した。
「……まあ、よくよく考えてみれば、俺が全員分の荷物を持ってこりゃ良いだけの話だったな。俺が持ち込めるだけの量限定にはなるが」
「それが出来るのかい?」
「ああ、可能だ」
「じゃあ、それでいこう。待ってろよ、はかいしん」
「それじゃあ今日はおひらきだ。さっさと目覚めてしまおう」
ダイヤの一言を聞いた一行は、目を覚ました。
「とりあえず、あのはかいしんをどうにかする。サフィアを捜すのも同時進行でやる。これで良いな?」
「その二つは、両立出来ないと思うぜ。やるならどっちか片方だ」
「じゃあ、どっちをやるか多数決で決めるとしよう。はかいしんをどうにかしたい奴は、右手。サフィアを捜したい奴は、左手。どっちかの手を上げろ」
一行はそれぞれ別の手を上げる。右手を上げたのはダイヤだけだった。
「決まりだな。はかいしんのことは一旦無視して、サフィアを捜すことにしよう」
「ちょっと待てよ」
レイフの言葉に、ダイヤが待ったをかける。
「ダイヤ君、どうかしたのかい?」
「俺の勝手な予想だが、破壊神を倒さないとサフィアを見つけることは出来ない気がする。ラルドのコンパスがあの岩をさしてるってことは地下世界にいるんだろうが、あんな暗くて無駄に広いところをさまよっていても見つかるはずがない。しかし、破壊神を倒せば、それまで破壊神が壊してきたものが蘇るんじゃないか? そうしたら捜しやすくなると思うんだ」
「大胆な予想をするんだな、ダイヤ君」
「思い出したのさ。王族だった頃、そんな伝説を母上から訊いたことがある。壊れた物は、手間をかければまた生まれると。破壊神が破壊し尽くした世界も、きっと元に戻るんだ」
「どうかな。伝説ってのも情報としては弱いし、うーん」
「まあ、地下世界を再興させるって意味でも、あいつを倒すのには意味があると思うぜ。単純に嬉しいだろ、世界を救うと。レイフ、ウォリア、ジシャンは二つの世界を救った英雄中の英雄になるわけだからな」
「英雄……かっこいい。私、はかいしん倒す」
シンジュは右手を掲げた。
「シンジュちゃん、君にそんな力があるのかい?」
「みんながついてる。みんな強い。絶対負けない」
「どうだか。俺たちは英雄とは言われているが、魔王と戦ったときに役に立ったのはサフィアただ一人だしな。それに、修行も特にしてないから、今の俺たちでは力不足かもしれない。それに、武器を持っていけない問題もあるしな」
「うぅ……レイフおじさん、自信なさげ。私も自信なくなる」
「武器か。俺は持っていけてるけどな」
「ダイヤ君の武器は、身体の一部なんだろう? そりゃあ持っていけるに決まってる。でも、俺たちの身体の一部を武器にするなんて不可能だ」
「呪文もダメか?」
「ああ。このペンダントなくして呪文は撃てない。これもどうやら向こうの世界では消えちまうみたいだしな」
「じゃあ、いっそのことその辺に転がってるあいつらを復元して、その中に人格ぶちこめば良いんじゃないか? そうしたら、武器も好きなだけ持っていけるぜ」
「バカ言うな。この人間の身体を捨てろと言うのか」
「それくらいの覚悟もなしに挑むもんじゃないだろ。破壊神と戦うにしろ、サフィアを捜すにしろ。まあ嫌な気持ちもわからなくはないが。なんだか俺の存在をバカにされた気分だ」
ダイヤはちょっと悲しくなり、腕を後ろに回して斜めった柱に背中をつけ夜空を見上げた。レイフは慌てて訂正する。
「別に君のことを悪く言うつもりはない。だけど、俺たちにとってはそれは出来ないんだ。死んでるわけでもないし」
「そういえば、試したことがないな。生きてる奴の人格システムを搭載した機械がどうなるのか」
「実験台になるのは嫌だな」
「誰か実験台にして良い奴はいないのか? 犯罪者とか」
「いないことはないが、俺たちの権限でどうにかなるものではないな。いくら英雄とて、犯罪者を好きに動かすことは出来ない」
「そうか。俺が生きていた時代だったら、王族の権利でどうとでも出来たんだろうがな。今から行ってそれを試しても、歴史が変わったりしたら今の世界に迷惑をかけるかもしれない。難しいところだ」
「あいつの性格上厳しいと思うが、いっそ平和的な解決が出来れば良いんだけどな。例えば、魔王スゴロクとかで……」
戦うことを諦めかけているレイフの口から出た言葉に、ホウマがすぐさま反応した。
「レイフ、まさか本気で言ってないよね? あいつはそんな奴じゃないよ」
「わからんだろ。もしかしたら意外と面白い奴かもしれないぞ」
「あいつは、自分の妻に人間を作らせて楽が出来ると喜んで、かと思ったら人間の行動に絶望して滅ぼそうとした奴だぞ。人間である以上、仲良くするのなんて不可能だ」
「楽が出来るって、一体なんだ?」
「あいつは面倒くさがりなんだ。本気を出したら恐ろしいけど、よほどの状況にならないと本気を出さない。今も本気を出してないだけで、いつまた暴走してもおかしくない爆弾みたいな奴だ」
「それならなおさら殺さないといけないな。しかし……」
一行の周りは静寂に包まれる。誰もどうやったら破壊神をどうにか出来るのか、案が出ないのだ。火の呪文の焚き火を見つめ、誰が喋り出すかを全員が待っている状態である。
そのうち寝る時間をとっくに過ぎてしまっていたことに気づいたレイフが喋り出した。
「もう寝る時間だ。焚き火を消そう。はかいしんをどうするかは、ダイヤ君のところで話し合おう」
ジシャンを除いた一行は、横一列に並び仰向けになった。そして、まぶたを閉じる。ジシャンはフンスのテントへと入っていった。
「随分長話だったな。俺も、今から寝るところだ」
「私もレイフたちの役に立てれば良いんだけどね。みんな頑張ってるのに、私だけ何もせずにダラダラする日々。なんだかなぁ」
「良いじゃないか、ダラダラ出来て。俺はダラダラするのが好きで仕方ないから、今のお前が羨ましい」
「あんたもダラダラしてるじゃない!」
「まあな。連中はこんな俺でも慕ってくれる。楽な立場だぜ、フフフ。さあ、あかりを消すぞ」
「おやすみなさい」
ジシャンもまぶたを閉じた。
夢の世界、一行はダイヤの花畑に集まっていた。
「どうだ、レイフとウォリア? そろそろ夢の世界にも慣れてきたか?」
「うーん、装備が外されて軽い感じはするが、なんか違和感がある。やはり勇者たるもの剣くらい持ってなきゃな」
「俺も、自慢の鎧がなくなってあんまり良い気持ちはしないな」
「それは残念だ。早くこの環境に慣れてもらわないと破壊神と戦うことも出来ない。そんなに武器や防具を持ちたいか」
「あれなくして戦うなんて、武闘家でもないし出来ない」
「それじゃあ、武道を学べば良いんじゃないか? 己の身一つで戦えるようになれば、武器も防具も必要なかろう」
「幼い頃からずーっと剣を握りしめてきた俺が、ほんのちょっとの努力で拳を鍛えることが出来るとでも?」
「俺はこの肉体があるから一応戦えるかもしれないが、そんな戦い方あまりしないからなぁ」
「お前たち二人が一番戦闘経験があるんだから、しっかりしろよ」
「いや、この中で一番戦い慣れてるのは、ダイヤ君だろう。長い間、ウスト遺跡を守ってきたんだから」
「これ以上話すと押し付け合いになるからやめよう。とりあえず、今日は地下世界に行かないで、ひたすら会議だ。どうすれば破壊神を倒せるか、考えよう」
「えぇ? 地下世界行くんじゃないの? 僕がいるのに?」
「お前一人で破壊神を倒すのは無理だろう。みんなで協力しなくちゃいけない。そのためにも、色々試してみないといけない」
「ふーん」
「さて、一番の問題は荷物問題だな。ここさえ解決出来れば、戦える。現実と夢の世界両方で考えることで、効率アップだ」
一行は夢の世界に武器や防具、荷物を持ち込む方法を話し合った。既に現実で話した人格システムは一旦省き、人間としての身体でなんとか持ち込めないかを話し合った。
結論として出たのは、睡眠のスペシャリストであるエメに訊ねることだった。
「エメ君、君だけが頼りだ。睡眠のスペシャリストの君なら、何か知っているんじゃないか?」
「俺に頼りっきりはダメだと言ったのに、まったく……まあ良い。一つだけ、教えてやる。俺の十年以上鍛え上げた睡眠の力をすぐに習得出来るなら、だがな」
「十年以上鍛え上げた睡眠の力……か」
誰も習得出来る気が全くしないようで、一行はうつむく。エメはその様子を見て、話し出した。
「……まあ、よくよく考えてみれば、俺が全員分の荷物を持ってこりゃ良いだけの話だったな。俺が持ち込めるだけの量限定にはなるが」
「それが出来るのかい?」
「ああ、可能だ」
「じゃあ、それでいこう。待ってろよ、はかいしん」
「それじゃあ今日はおひらきだ。さっさと目覚めてしまおう」
ダイヤの一言を聞いた一行は、目を覚ました。
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