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居候
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「暑い!暑すぎる!」
隣で寝ていた夏木が、いきなり飛び起きて叫んだ。
俺はすっかり暑さでへばり、返事もできないくらいだというのに、こんなに大きな声を出せるとはずいぶん元気なやつだ。
夏木は、扇風機のところまで四つん這いで近付いていき、獲物を狙う獣のように頭を下げた。それから、扇風機のボタンが強風になっていることを確認すると、絶望的な表情を浮かべて振り返る。
「壊れてるぞ、柊!」
その悲痛な訴えに、俺は首を横に振って答える。
「そいつは別に壊れてない。古いだけだ」
「どうして、新しいものにしないんだ!」
「……金がないから、だな」
「金なら……!」
「出さんでいい」
「なんでだ!」
「ここは俺の家で、お前の家じゃないからな。暑いなら、さっさと家に帰れよ。お前、家に帰ればクーラーがあるだろ?」
「暑い。でも、いやだ」
「わけのわからないことを言うな」
「じゃ、じゃあ、柊も家に来い!それなら帰る!」
「……俺はいい。一人で帰れ」
「いやだ!柊と一緒がいい!」
いつの間にか、そばまで戻ってきていた夏木が抱きついてきた。ただでさえ暑いところに夏木の熱まで加わり、触れ合っている部分がとんでもなくアツくなる。
「暑いっ、離れろっ」
「い、いやだ!柊と一緒じゃなきゃいやだ!」
「わかっ、わかったから、とにかく離れろっ」
「もう一人で帰れって言わないか?」
「わかった、言わない!」
「本当だな?絶対だな?」
「……おい、いい加減にしろよ」
さすがに暑くて、イラッとすれば夏木はそそくさと俺から離れた。抱きつかれていたせいで、Tシャツが肌にぺたりとはりついている。仕方なくシャツをはがして脱げば、隣で夏木もいそいそと脱ぎはじめた。
「……何で脱ぐんだ?」
「何故脱がないと思うんだ。いまからするんだろ?」
「……この暑いのにか?」
「暑くても、この熱は扇風機じゃどうにもならない、だろ?」
いつの間にか、硬くなりかけていたそこを、夏木の手がするりと撫でる。
「おれが冷ましてやるから、もう一晩おいてくれ」
もう何度も同じ手を使って、居座り続けている居候がにやりと笑った。
隣で寝ていた夏木が、いきなり飛び起きて叫んだ。
俺はすっかり暑さでへばり、返事もできないくらいだというのに、こんなに大きな声を出せるとはずいぶん元気なやつだ。
夏木は、扇風機のところまで四つん這いで近付いていき、獲物を狙う獣のように頭を下げた。それから、扇風機のボタンが強風になっていることを確認すると、絶望的な表情を浮かべて振り返る。
「壊れてるぞ、柊!」
その悲痛な訴えに、俺は首を横に振って答える。
「そいつは別に壊れてない。古いだけだ」
「どうして、新しいものにしないんだ!」
「……金がないから、だな」
「金なら……!」
「出さんでいい」
「なんでだ!」
「ここは俺の家で、お前の家じゃないからな。暑いなら、さっさと家に帰れよ。お前、家に帰ればクーラーがあるだろ?」
「暑い。でも、いやだ」
「わけのわからないことを言うな」
「じゃ、じゃあ、柊も家に来い!それなら帰る!」
「……俺はいい。一人で帰れ」
「いやだ!柊と一緒がいい!」
いつの間にか、そばまで戻ってきていた夏木が抱きついてきた。ただでさえ暑いところに夏木の熱まで加わり、触れ合っている部分がとんでもなくアツくなる。
「暑いっ、離れろっ」
「い、いやだ!柊と一緒じゃなきゃいやだ!」
「わかっ、わかったから、とにかく離れろっ」
「もう一人で帰れって言わないか?」
「わかった、言わない!」
「本当だな?絶対だな?」
「……おい、いい加減にしろよ」
さすがに暑くて、イラッとすれば夏木はそそくさと俺から離れた。抱きつかれていたせいで、Tシャツが肌にぺたりとはりついている。仕方なくシャツをはがして脱げば、隣で夏木もいそいそと脱ぎはじめた。
「……何で脱ぐんだ?」
「何故脱がないと思うんだ。いまからするんだろ?」
「……この暑いのにか?」
「暑くても、この熱は扇風機じゃどうにもならない、だろ?」
いつの間にか、硬くなりかけていたそこを、夏木の手がするりと撫でる。
「おれが冷ましてやるから、もう一晩おいてくれ」
もう何度も同じ手を使って、居座り続けている居候がにやりと笑った。
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