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4、もてなされる俺
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「ごちそうさまでした」
役目を終えた箸を置き、両手をしっかりと重ね合わせる。
感謝してもしたりない。
いま、俺の口の中は、目を閉じても思い出せるくらい幸せな味でいっぱいだ。
「はい。お粗末様でした」
「すっごくおいしかった」
結局、俺はおかわりまでしてしっかりとご飯を食べた。
むしろ、あんなにおいしいごはんを、おかわりをしないなんてありえない。
見た瞬間は、理想的な家庭料理としか思わなかったが、これまで世話になってきたどの家でも食べたことのない味がした。
少し食べ過ぎてしまった気がする。
空いたお皿と引きかえに、ほどよい温度で飲みやすい食後のお茶がサーブされてきたので、こちらもありがたくいただいた。
用意してくれた本人は、その見た目からすると紅茶でも飲んでいそうなイメージなのだが、出してくれたのはほうじ茶となかなか渋い選択をしてくる。
一口飲むと、ほうっとひとつため息が出た。
「どうやら、お口に合ったようですね。食欲もしっかりあるようで何よりです」
「あ、ありがとう」
食後のお茶をとして出てきたほうじ茶をちびりちびりと飲みながら、シンクに立って洗い物をはじめた男の姿をぼんやりと眺める。
綺麗で、優しくて、料理も上手で、と男のすごいところを心の中で数えてみれば、セックスするくらいしか能がないクズな俺とは比べ物にならない優良物件だと気付く。
特に、あの料理の腕前があれば、最高のお嫁さんになれそうだ、なんて思ってしまう。
料理をするイコールお嫁さん、なんて、考えとしては古いだろうけど、そういうイメージってなかなか変えられないものだと思う。
まあ、この人は男だから、嫁にはならないだろうけど。
でも、いまは男でも普通に料理とかする時代だし、最高のお婿さんって選択肢ならありなのかな?
それに、ものすごく綺麗だから、何でも似合いそうだ。
タキシードなら、白でも黒でも。
……きっと、タキシードじゃなくて、ドレスだったとしても似合うんだろうな。
見た目からしてすらりとしてるし、どこかハーフっぽく見える顔立ちも、違和感なく受け入れられそう。
「貴方の眠るところですが、客室がありますので、そちらでどうぞ」
「え……? 本当に、一緒に寝ないの……?」
ぼんやりしながら、もしドレスを着せるならどんなドレスが似合うだろうか、なんて考えていたからか、反応が遅れてしまった。
一緒に寝ないだなんて、寝耳に水だ。
「一緒がいいんですか? 他に眠れるベッドがあるんですよ?」
「え……あ、ひとりで寝るのは、さ、……さみしい、かなって」
「そうなんですか? ベッドはセミダブルですが、さすがに男二人で眠るとなれば狭いと思いますけれど」
「……あの、一緒に寝ても、いいかな……?」
「貴方がそうしたいと思うのならならどうぞ。私はかまいませんよ」
「……嫌じゃない?」
「いい大人ですからね、嫌ならちゃんと断わります。だから、お気になさらず、好きな方を選んでください」
「うん、一緒に寝よ?」
「わかりました。ああ、歯磨きをするなら、洗面台に新品を用意してあるのでどうぞ」
男にすすめられ、俺はそそくさと洗面台に向かう。
もしかして、気付かれてるのかもしれない。
拾ってくれたお礼に、いっぱい気持ち良くさせてあげようって考えてること。
でも、やっぱり何度考えても、俺に出来るお礼ってえっちすることだけだからな。
どんなに綺麗でも男は男なんだから、性欲くらいあるだろう。
挿入までがんばれなくても、抜いてあげることならできるから、どうにかなるはず。
部屋にローションのボトルの一本や二本置いてあるだろうし、それを使わせてもらうことにしよう。
とにかく、やってみるしかない。
役目を終えた箸を置き、両手をしっかりと重ね合わせる。
感謝してもしたりない。
いま、俺の口の中は、目を閉じても思い出せるくらい幸せな味でいっぱいだ。
「はい。お粗末様でした」
「すっごくおいしかった」
結局、俺はおかわりまでしてしっかりとご飯を食べた。
むしろ、あんなにおいしいごはんを、おかわりをしないなんてありえない。
見た瞬間は、理想的な家庭料理としか思わなかったが、これまで世話になってきたどの家でも食べたことのない味がした。
少し食べ過ぎてしまった気がする。
空いたお皿と引きかえに、ほどよい温度で飲みやすい食後のお茶がサーブされてきたので、こちらもありがたくいただいた。
用意してくれた本人は、その見た目からすると紅茶でも飲んでいそうなイメージなのだが、出してくれたのはほうじ茶となかなか渋い選択をしてくる。
一口飲むと、ほうっとひとつため息が出た。
「どうやら、お口に合ったようですね。食欲もしっかりあるようで何よりです」
「あ、ありがとう」
食後のお茶をとして出てきたほうじ茶をちびりちびりと飲みながら、シンクに立って洗い物をはじめた男の姿をぼんやりと眺める。
綺麗で、優しくて、料理も上手で、と男のすごいところを心の中で数えてみれば、セックスするくらいしか能がないクズな俺とは比べ物にならない優良物件だと気付く。
特に、あの料理の腕前があれば、最高のお嫁さんになれそうだ、なんて思ってしまう。
料理をするイコールお嫁さん、なんて、考えとしては古いだろうけど、そういうイメージってなかなか変えられないものだと思う。
まあ、この人は男だから、嫁にはならないだろうけど。
でも、いまは男でも普通に料理とかする時代だし、最高のお婿さんって選択肢ならありなのかな?
それに、ものすごく綺麗だから、何でも似合いそうだ。
タキシードなら、白でも黒でも。
……きっと、タキシードじゃなくて、ドレスだったとしても似合うんだろうな。
見た目からしてすらりとしてるし、どこかハーフっぽく見える顔立ちも、違和感なく受け入れられそう。
「貴方の眠るところですが、客室がありますので、そちらでどうぞ」
「え……? 本当に、一緒に寝ないの……?」
ぼんやりしながら、もしドレスを着せるならどんなドレスが似合うだろうか、なんて考えていたからか、反応が遅れてしまった。
一緒に寝ないだなんて、寝耳に水だ。
「一緒がいいんですか? 他に眠れるベッドがあるんですよ?」
「え……あ、ひとりで寝るのは、さ、……さみしい、かなって」
「そうなんですか? ベッドはセミダブルですが、さすがに男二人で眠るとなれば狭いと思いますけれど」
「……あの、一緒に寝ても、いいかな……?」
「貴方がそうしたいと思うのならならどうぞ。私はかまいませんよ」
「……嫌じゃない?」
「いい大人ですからね、嫌ならちゃんと断わります。だから、お気になさらず、好きな方を選んでください」
「うん、一緒に寝よ?」
「わかりました。ああ、歯磨きをするなら、洗面台に新品を用意してあるのでどうぞ」
男にすすめられ、俺はそそくさと洗面台に向かう。
もしかして、気付かれてるのかもしれない。
拾ってくれたお礼に、いっぱい気持ち良くさせてあげようって考えてること。
でも、やっぱり何度考えても、俺に出来るお礼ってえっちすることだけだからな。
どんなに綺麗でも男は男なんだから、性欲くらいあるだろう。
挿入までがんばれなくても、抜いてあげることならできるから、どうにかなるはず。
部屋にローションのボトルの一本や二本置いてあるだろうし、それを使わせてもらうことにしよう。
とにかく、やってみるしかない。
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