大酒飲みは虎になったことを忘れてしまう

９７、擁濫ストロール

「……ひッッ、……ぐぅッッ、……ん゛ッッ、ぃ゛ぐッッ、ぅ゛ッッ、ぃ゛ぐぅ゛ッッ」

奥歯をぎゅっと噛みしめて、声を出さないようにと必死になって堪えているのに、オヤジが一歩足を踏み出すだけですべてが台無しになってしまう。
深く刺さったちんぽが、オヤジの歩みにあわせておれの結腸を突き上げ、最奥を更新される快感に苦しめられる。
もうこれ以上奥には入らないはずなのに、おれの体重上とオヤジの歩み下からの猛攻に、精液をたっぷり飲み込んだ結腸が負けているのか、少しずつ少しずつ中に入ったちんぽが押し込まれてくるのだ。
熱くて硬いオヤジのちんぽと僅かに擦れている結腸の入口が、蕩けてしまいそうなほど気持ちよくてたまらない。
せめて、手が使えたら口を塞ぐことができるのに、おれの手はいまだに自分のちんぽを握らされている。
バイブとして動かなくなっても、この手袋はイボやら溝だけで、萎えることのできないおれのちんぽをごりごりと責め続けていた。
オヤジはおしっこをさせてくれると言っていたから、あと少しでこいつとはお別れできるはずだけれど、こうして握らされているいまは、ただただいじめられていることしかできない。
とにかく休みなく送り込まれてくる前後からの刺激がすごすぎて、さっきからずっとイくのを我慢できないでいる。
しかも、アナルセックス中のアナルが、本物の外気に触れているというシチュエーションが、マゾなおれの体を絶頂へと追い上げてくるからたまらない。
隠せないアナルをひくつかせながら、オヤジ飼い主との散歩でイかされまくる。

家の中を歩いていたときでさえ、あんなにも恥ずかしくてたまらなかったのに、オヤジは足を開いたまま拘束されたおれを連れ、縁側どころか庭先に足を踏み出していた。
沓抜石の上にあるサンダルを履いたオヤジは、躊躇うことなく道路がある方に向かってずんずんと進んでいく。

「どうした？　消音壁なら、ちゃんと稼働させてあるぞ。そうじゃなきゃ、家の中でだってあんな大声で啼いてるやつがいたら、うるせぇってとっくに誰かが殴り込みにきてんだろうよ。いまさら、声を抑える必要なんてねぇんだから、お前は好きなだけ啼いとけって。あとで、躾のなってねぇマゾ犬のムダ吠えも、俺がしっかり躾てやるつもりでいるんだから遠慮なくやれよ。うるせぇ方が、躾がいがあっていいからな」

ももの裏に通されたオヤジの腕が、おれの体をぐいっと引き寄せる。
それにあわせて、最奥を更新していたちんぽが引き抜かれ、大きなカリ首が結腸を引っかけた。
そのまま、ぐぽっと結腸をめくりあげたちんぽが、抜けそうで抜けない位置に留まり、おれの結腸を大きく拡げる。

「ん゛ん゛ッッ」

一番太そうなところで止まったちんぽにイかされて、思わず大きく仰け反った体を、オヤジがたくましい胸で受け止め、必死に閉じてた唇に食いついてくる。

「ん゛う゛っ、ふ、あ゛ッッ、あ゛ふっ、ん゛む゛ッッ、ひ、あ゛ッッ、あ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁッッ」

熱くて硬く尖らされた舌が、おれの唇を抉じ開けて入ってくる。
声を出さないように噛みしめていた歯も、音にならないよう堪えていた舌も、オヤジの舌が全部暴いてさらっていく。
ついでとばかりに左右の乳首まで押し潰され、久しぶりに味わう痛みと快感にびくびくと絶頂を繰り返した。
そして、思わずきゅうっと締まったアナルに、結腸狙いの駄目押しピストンが襲いかかる。
結腸を拡げるだけ拡げた状態で固定され、ずっと焦らされていたおれのアナルが、やっと抉じ開けてくれたちんぽに悦んでひくひくと絡みつく。
上下にゆれはじめたちんぽに、ぐぢゅっぐぢゅっと掻き混ぜられるアナルが、すぐに絶頂へとのぼりつめる。
こんなことをされて、イくなというのはとてもじゃないが無理な話で、声を堪えるなんてさらに不可能な話だった。
唇を塞がれているのに、それでも堪えきれない悲鳴をあげてイきまくる。

誰かにこの声を聞かれてしまうかも、と思えば、おれの背筋をさらにぞくぞくとした快感の波が駆け抜けていった。
このタイミングでまた羞恥プレイを重ねてくるだなんて、オヤジはおれのことをわかりすぎている。
暗いガラスに姿をうつされたときよりも、人に見られるかもという期待に心が震えた。
おれとオヤジが、アナルセックスする関係だってことを、知られるのは怖いと思う以上に、誰かに見せつけてしまいたいと思ってしまう。
オヤジこの人は、もうおれの恋人オトコだってことを、誰彼構わず見せびらかしたくてたまらないのだ。

人と人との繋がりが希薄なってきた世の中で、ご近所トラブルというものはいつしか人々の生活から切っても切り離せないものになっている。
特に、問題になりやすいのが、互いの生活音による騒音トラブルだ。
言い争いはしょっちゅうで、暴力沙汰にエスカレートしたり、ひどければ刃傷沙汰にまで発展することもあった。
消音壁というのは、そんな騒音トラブル対策として開発された家壁のことだ。
お洒落な洋風の真っ白な柵タイプのものや垣根に似せた疑似植物タイプ、昔ながらのブロック塀タイプのように様々な形で取り入れられるようになった。
そして、いまやその機能は壁としてだけでなく、床や天井にも活用されるようになっている。
どういった装置なのかはよくわからないが、家の中で発生する音に対して真逆となる音波をぶつけて打ち消す、という仕組みらしい。
アパートやマンションなど、お隣さんとの間が壁一枚や天井一枚だけ、なんてところでは特に大活躍している防音装置だ。
うちの庭にも当然のように消音壁は設置されていて、それを稼働させればどんな音でも外には漏れないのだとわかっていても、いざ本当に外へ出てしまえば恥ずかしくてたまらない。
消音壁が稼働していると言われても、素直に声を出すことなんて考えられなかった。

「ふは、ちったぁ、声が出るようになったじゃねぇか。その調子であんあん吠えてろ。あとで俺がたっぷり躾てやるからよ」