冷血王と死神の騎士

うしお

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「ああ、それもそうだな。たしかに、使い方がわからないのではあれば、手伝ってやる必要があるか。まあ、それほど難しいことではない。実際に使えば、すぐに覚えられるだろう。お前は賢い犬だからな」

「おそれ、いります」

爪先に口付けたロサリオールの頭を、王は優しい手つきでゆっくりと撫でた。
なんとも言えない汗でじっとりと濡れた髪を、かき混ぜるようにくしゃくしゃと撫でられるとロサリオールは、何だか落ち着かない気持ちになる。

「なに、可愛い犬の頼みだからな。聞いてやらなくては可哀想だろう? それに、たっぷりと可愛がってやれば懐いて、そのうち芸のひとつも見せてくれるようになるだろうからな。これも、一種の投資というやつだ。……ああ、気にしなくていいぞ。それが、どんなにつまらない芸であっても、俺のためにすることなら何でも褒めてやるつもりだからな」

長い指が、ロサリオールの髪を絡め取る。
深く下げていた頭を、無理矢理上げさせられたロサリオールは、王の瞳が獲物を前にした獣のように、ぎらぎらと輝いていることに気付いてしまった。
本能的な恐れが、ロサリオールの体を再び萎縮させようとしたが、ロサリオールは首枷を外されたばかりの喉をゆったりと撫でる王の手に逆らわず、むしろ、もっと撫でて欲しいとねだるように自ら喉を差し出した。
より撫でやすくなったロサリオールの喉を、犬を可愛がる飼い主のように撫でた王は静かに嗤う。
ロサリオールは、どうやら王の機嫌を損ねずに済んだようだ、と安堵した。

「いい子だな、ロサリオール。もう少しこちらへ来い。これの使い方を教えてやろう」

窪みの中央にある水差しの口のようなものを指さす王の元へ、ロサリオールは犬のように這いながら近付く。
近付いて見ると、水差しの口のように見えていたものは、先端が玉のように丸められた金属製の筒だった。
筒の穴は、それほど大きくはなく、ロサリオールの指が一本入るか入らないか程度のものでしかない。
これをどう使うのかと興味深く見ていたロサリオールに、王が外したばかりの首枷を手渡してきた。

「もう一度、着け、ますか?」

手のひらに乗るずしりと重い鎖付きの首枷を、ロサリオールはどうしていいかわからず、素直に王へと問いかける。

「いや、いい。それの役目は終わりだ。ロサリオール、その鎖を引いてみろ」

王に言われるまま、ロサリオールは首枷からのびる鎖を引いた。
ロサリオールが、重く手応えのある鎖を強く引くと、壁際からがこりと何かが動く音が聞こえる。
咄嗟に、王を守ろうとして素早く立ち上がったロサリオールの目の前で、金属製の筒からお湯がどぱりと噴き出た。

「ふむ、なかなかの忠犬ぶりだ。俺は、とてもよい犬と契約したようだな」
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