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推しと過ごす今が尊い
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「ノエルは街を見たことがなかったな」
なにもなかったかのように会話を続けるネイト。
「う、うん」
まだ余韻の抜け切らないノエルは、動揺しながらも返事をする。
「今度見に行ってみるか?」
「いいの?でもどうして……」
「一緒に出かけたいと思っただけだ」
ノエルの頬を撫でながらネイトが笑みを浮かべる。落ち着いていて柔らかい笑顔は、今のノエルには致死量だ。
「お、俺もっ、一緒に行きたい」
口をまごつかせながら答える。ネイトと街中を歩く想像をするだけで、胸の奥からときめきが溢れ出してくる。絶対に楽しいはずだ。確信できる。
「あぁ、楽しみにしている」
笑みを向け合う。この瞬間がなによりも特別な時間だと感じる。
上がっては下がるような荒々しさを感じる日々でも、ネイトと共にいるとそこに穏やかな風が吹き始める。それはノエルの心を安定させ、支えてくれている。
「ヘヘ、本当に楽しみだ!」
大輪の笑みを返す。
前世のことを話したことで、ほんの少しだけ心が軽くなった気がした。
◇◇◇
ラウンドカラーシャツに黒のオーバーオールを身に纏ったノエルは、ネイトと共に馬車に乗り込む。お忍びでの見物のためいつもよりも簡素な衣装を着用している。ネイトもクレリックシャツとブラックのスラックスというシンプルな格好だ。
「楽しみだな~」
小窓から見える景色を目で追いながら、ノエルは顔を綻ばせた。嫁いできてからはずっと屋敷の敷地内から出ていなかったため、新鮮な心地がする。
街が見えてくると、門の近くに馬車を止めた。先に馬車から降りたネイトが、ノエルへと手を差し出さてくれる。その何気ない仕草にすら胸を高鳴らせてしまう。
少し気恥ずかしく思いながら手を重ねる。ゆっくりと馬車から降りると、手を繋いだまま街の中へと足を踏み入れた。
商店の建ち並ぶ商人街を散策する。目移りして視線を忙しなく動かしているノエルのこと、ネイトが微笑ましそうに見つめていた。
「わぁ!この生地すっごくキラキラしてる」
「それはこの領地でしか取れない輝石を使って作られた糸で織られてあるんだ。少し高価だが、花嫁衣装などに使われることもある上等な布だな」
「へぇ~!こんなに素敵な生地で作られた花嫁衣装を着ることができたら最高に嬉しいだろうね」
生地を元の場所に戻すと、別の商店へと向かう。けれど一向にネイトが動こうとしないため、不思議に思い足を止めた。
「どうしたの?」
「……酷いことをしてしまったと今更ながらに後悔している」
確かに出会ったばかりの頃のネイトは薔薇の棘のようだった。けれど今こうしてお互いのことを大切にしようと思えているのだから、ノエルは気にしていない。
「俺はあの瞬間があったから、こうやって一緒に手を繋いで歩けるんだって思ってるよ。だから気にしないで」
ネイトの手を次はノエルから取る。
切なさと嬉しさを綯い交ぜにしたように顔を歪めたネイトが、「ノエルには敵わないな」と呟いたのが耳に届いた。
その言葉に返事をするかのように、ノエルは顔いっぱいの笑顔をネイトへと向けた。
なにもなかったかのように会話を続けるネイト。
「う、うん」
まだ余韻の抜け切らないノエルは、動揺しながらも返事をする。
「今度見に行ってみるか?」
「いいの?でもどうして……」
「一緒に出かけたいと思っただけだ」
ノエルの頬を撫でながらネイトが笑みを浮かべる。落ち着いていて柔らかい笑顔は、今のノエルには致死量だ。
「お、俺もっ、一緒に行きたい」
口をまごつかせながら答える。ネイトと街中を歩く想像をするだけで、胸の奥からときめきが溢れ出してくる。絶対に楽しいはずだ。確信できる。
「あぁ、楽しみにしている」
笑みを向け合う。この瞬間がなによりも特別な時間だと感じる。
上がっては下がるような荒々しさを感じる日々でも、ネイトと共にいるとそこに穏やかな風が吹き始める。それはノエルの心を安定させ、支えてくれている。
「ヘヘ、本当に楽しみだ!」
大輪の笑みを返す。
前世のことを話したことで、ほんの少しだけ心が軽くなった気がした。
◇◇◇
ラウンドカラーシャツに黒のオーバーオールを身に纏ったノエルは、ネイトと共に馬車に乗り込む。お忍びでの見物のためいつもよりも簡素な衣装を着用している。ネイトもクレリックシャツとブラックのスラックスというシンプルな格好だ。
「楽しみだな~」
小窓から見える景色を目で追いながら、ノエルは顔を綻ばせた。嫁いできてからはずっと屋敷の敷地内から出ていなかったため、新鮮な心地がする。
街が見えてくると、門の近くに馬車を止めた。先に馬車から降りたネイトが、ノエルへと手を差し出さてくれる。その何気ない仕草にすら胸を高鳴らせてしまう。
少し気恥ずかしく思いながら手を重ねる。ゆっくりと馬車から降りると、手を繋いだまま街の中へと足を踏み入れた。
商店の建ち並ぶ商人街を散策する。目移りして視線を忙しなく動かしているノエルのこと、ネイトが微笑ましそうに見つめていた。
「わぁ!この生地すっごくキラキラしてる」
「それはこの領地でしか取れない輝石を使って作られた糸で織られてあるんだ。少し高価だが、花嫁衣装などに使われることもある上等な布だな」
「へぇ~!こんなに素敵な生地で作られた花嫁衣装を着ることができたら最高に嬉しいだろうね」
生地を元の場所に戻すと、別の商店へと向かう。けれど一向にネイトが動こうとしないため、不思議に思い足を止めた。
「どうしたの?」
「……酷いことをしてしまったと今更ながらに後悔している」
確かに出会ったばかりの頃のネイトは薔薇の棘のようだった。けれど今こうしてお互いのことを大切にしようと思えているのだから、ノエルは気にしていない。
「俺はあの瞬間があったから、こうやって一緒に手を繋いで歩けるんだって思ってるよ。だから気にしないで」
ネイトの手を次はノエルから取る。
切なさと嬉しさを綯い交ぜにしたように顔を歪めたネイトが、「ノエルには敵わないな」と呟いたのが耳に届いた。
その言葉に返事をするかのように、ノエルは顔いっぱいの笑顔をネイトへと向けた。
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