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推しは絶対救い出す!
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夜になってもネイトが姿を現すことはなかった。
一人で食事を取り、寂しく寝室で眠る。初夜は寂しさを抱えながらゆっくりと過ぎていく。
物音が聞こえてきたのは、まだ辺りが暗闇に包まれ、皆が寝静まっている時間だった。執務室へと続く扉に耳を当てると、微かなうめき声が耳に届く。それがネイトのものだと気が付いたノエルは、扉を開けようと取手を回した。
けれど鍵がかけられているため開く気配がない。落ち着かないほどの嫌な予感が胸の中に渦巻いている。
辺りを見渡したノエルは、テラスへと続く窓に視線を向けると勢い良く駆け出した。テラスに出ると、隣のテラスへと視線を向ける。幸いなことに窓が開いているようだ。
寝室は屋敷の三階に位置している。落ちれば一溜まりもない。それでもノエルは止まらなかった。
「っ、ネイト今行くから!」
手すりに登ると、ぐらつく身体を必死に安定させる。深呼吸を行うと、足に思い切り力を込めて隣のテラスへと飛び移った。身体がテラスに転がり、膝を打つ。
けれど、痛みを気にしている暇もない。
勢い良く窓を開けて中に入ると、執務机の側で蹲っているネイトの姿が目に飛び込んでくる。
「ネイト大丈夫!?」
敬語を使う余裕もなく、蹲るネイトに駆け寄った。黒い靄が身体から溢れてきているのが見えて、目を疑ってしまう。
「っ……なぜここにっ……いますぐ出ていけ!」
「こんな状態なのに放っておけるわけないでしょう!」
どうしたらいいのかもわからない。ただ無我夢中で、ネイトの背を擦る。顔をこちらへ向けたネイトと視線が交わる。そのとき赤い左目に複雑な模様の印が浮かび上がっていることに気がついた。
見たことのある模様だ。
今世ではない。前世で何度も見た印。
「魔王の……」
呟きが漏れた瞬間だった。ネイトが一際苦しそうにうめき声を上げ始める。靄が段々と増えていき、ネイトの身体を覆い始めた。
(早く助けないと!)
ネイトの背に触れながら、ノエルは強くそう思った。瞬間、柔らかな光がノエルの手から溢れだす。ゆっくりとネイトの全身を包み込んだ光。その光に触れた靄が飛散していき、ネイトから嫌な気配が消えていく。
「……この光は……」
ノエルにもどういうものなのかはわからなかった。それでも、ネイトを助けたい一心で力を込め続ける。
しばらくそうしていると、靄が完全に消えて、ネイトの瞳も正常に戻った。それに安堵した瞬間、全身が倦怠感に襲われる。
「なぜお前がその力を扱えるんだ」
まだ荒い息を吐き出しながら立ち上がったネイトが、床に座り込むノエルの腕を掴む。けれど、力を使い果たしたのか、虚脱感に襲われているノエルはネイトに返事をすることができなかった。
「おい、聞こえているのか」
「ごめん……ちょっと休ませて、ください……」
「おいっ!?」
目の前が揺れて、目が自然と閉じていく。前世の記憶を思い出しながら、ノエルは思考を闇へと沈めた。
セイントナイトにはネイトの他にも世界観を盛り上げるための脇役が複数人いた。その中でもネイトに続き目立っていたのが、世界を滅ぼそうと企む魔王。
見た目は四十代くらいのイケオジで、赤い瞳と頬に描かれた複雑な模様が印象的だった。愛する人を人間に殺された魔王は、人間を滅ぼすことを決めて強い闇の力を悪いことに使い始める。
そういう筋書きだ。
魔王を倒すシーンの名台詞でもある『ようやく、君の元に帰ることができる』は、プレイをしたすべてのユーザーを号泣させたほど。作り込みのしっかりされたキャラだった。
ネイトの瞳には、その魔王と同じ模様が浮かび上がっていた。
一人で食事を取り、寂しく寝室で眠る。初夜は寂しさを抱えながらゆっくりと過ぎていく。
物音が聞こえてきたのは、まだ辺りが暗闇に包まれ、皆が寝静まっている時間だった。執務室へと続く扉に耳を当てると、微かなうめき声が耳に届く。それがネイトのものだと気が付いたノエルは、扉を開けようと取手を回した。
けれど鍵がかけられているため開く気配がない。落ち着かないほどの嫌な予感が胸の中に渦巻いている。
辺りを見渡したノエルは、テラスへと続く窓に視線を向けると勢い良く駆け出した。テラスに出ると、隣のテラスへと視線を向ける。幸いなことに窓が開いているようだ。
寝室は屋敷の三階に位置している。落ちれば一溜まりもない。それでもノエルは止まらなかった。
「っ、ネイト今行くから!」
手すりに登ると、ぐらつく身体を必死に安定させる。深呼吸を行うと、足に思い切り力を込めて隣のテラスへと飛び移った。身体がテラスに転がり、膝を打つ。
けれど、痛みを気にしている暇もない。
勢い良く窓を開けて中に入ると、執務机の側で蹲っているネイトの姿が目に飛び込んでくる。
「ネイト大丈夫!?」
敬語を使う余裕もなく、蹲るネイトに駆け寄った。黒い靄が身体から溢れてきているのが見えて、目を疑ってしまう。
「っ……なぜここにっ……いますぐ出ていけ!」
「こんな状態なのに放っておけるわけないでしょう!」
どうしたらいいのかもわからない。ただ無我夢中で、ネイトの背を擦る。顔をこちらへ向けたネイトと視線が交わる。そのとき赤い左目に複雑な模様の印が浮かび上がっていることに気がついた。
見たことのある模様だ。
今世ではない。前世で何度も見た印。
「魔王の……」
呟きが漏れた瞬間だった。ネイトが一際苦しそうにうめき声を上げ始める。靄が段々と増えていき、ネイトの身体を覆い始めた。
(早く助けないと!)
ネイトの背に触れながら、ノエルは強くそう思った。瞬間、柔らかな光がノエルの手から溢れだす。ゆっくりとネイトの全身を包み込んだ光。その光に触れた靄が飛散していき、ネイトから嫌な気配が消えていく。
「……この光は……」
ノエルにもどういうものなのかはわからなかった。それでも、ネイトを助けたい一心で力を込め続ける。
しばらくそうしていると、靄が完全に消えて、ネイトの瞳も正常に戻った。それに安堵した瞬間、全身が倦怠感に襲われる。
「なぜお前がその力を扱えるんだ」
まだ荒い息を吐き出しながら立ち上がったネイトが、床に座り込むノエルの腕を掴む。けれど、力を使い果たしたのか、虚脱感に襲われているノエルはネイトに返事をすることができなかった。
「おい、聞こえているのか」
「ごめん……ちょっと休ませて、ください……」
「おいっ!?」
目の前が揺れて、目が自然と閉じていく。前世の記憶を思い出しながら、ノエルは思考を闇へと沈めた。
セイントナイトにはネイトの他にも世界観を盛り上げるための脇役が複数人いた。その中でもネイトに続き目立っていたのが、世界を滅ぼそうと企む魔王。
見た目は四十代くらいのイケオジで、赤い瞳と頬に描かれた複雑な模様が印象的だった。愛する人を人間に殺された魔王は、人間を滅ぼすことを決めて強い闇の力を悪いことに使い始める。
そういう筋書きだ。
魔王を倒すシーンの名台詞でもある『ようやく、君の元に帰ることができる』は、プレイをしたすべてのユーザーを号泣させたほど。作り込みのしっかりされたキャラだった。
ネイトの瞳には、その魔王と同じ模様が浮かび上がっていた。
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