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推しよ幸せになってくれ
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「魔王がエアリスとフェイブルの手によって倒されてからすぐのことだ。私が魔族と人間の混血だということはお前も知っているだろう」
「……うん」
ベッドサイドへと腰掛けたネイトは、膝の上で手を組むと、眉を寄せながら苦しそうな表情を浮かべた。
「私の中に眠る闇の魔力が、私自身を取り込もうとしている。闇が囁きかけてくるのだ……。新しい魔王は私だと」
「新しい魔王……そんなっ、エアリスはそのことをっ」
「お前以外にこのことを知る者はいない。それに話せるわけがなかった。清らかで心優しいエアリスに心配などかけられない……私が彼に思いを伝えなかったのは、彼と私は決して交わることのない立場に居るからだ」
次世代の魔王に選ばれてしまったネイトと、魔王を倒す存在であるエアリス。ネイトはエアリスの立場を守るため、苦しませないために思いを隠す選択肢をした。
ゲーム内のネイトは、エアリスのためなら命すら投げ出すことも厭わなかった。それは深い愛ゆえだ。
その愛が叶うことはないと、ずっと昔からネイトは気づいていたのかもしれない。
「っ、ごめんなさい……俺っ……」
「もう気にしていない」
「俺が気にするんです!っ、だって、好きなのに気持ちすら伝えられないなんて辛いじゃないですか。俺、本当に無神経だった……」
ネイトのことを思い、ノエルは夕焼け色の瞳から涙を流した。
──彼を助けたい。
気持ちが溢れてくる。ノエルにはネイトを助けられる力がある。それなら、彼のためにできることはしてあげたかった。
「なぜお前が泣くんだ」
ネイトが戸惑いがちに、ノエルの目元をハンカチーフで拭いてくれる。ギュッと胸が締め付けられるような感覚がした。
冷たい態度を取られても嫌いになれなかったのは、ネイトが本当は不器用なくらい優しい人だと知っているからだ。
「俺と契約してください」
「契約?」
「はい。俺はネイト様が苦しんでいるときに、すぐに助けに行きます。ネイト様のためなら光の魔力をいくらだって使う」
「……その見返りは?」
ノエルは涙を散らしながら、顔いっぱいに笑顔を浮かべた。
願いはただ一つ。見返りなどいらない。ただ──
「幸せになって。ネイト様が心から幸せだって思える瞬間を、いつか俺に見せて。それが俺の一番の願いだから」
前世からずっとネイトの幸せを願っていた。
ネイトはノエルにとって単なるゲームのキャラ。現実世界には存在しない空想上の人物だった。けれど今目の前に存在するネイトは、紛うことなく現実だ。
だからこそ、ネイトの幸せを思う存分願える。その願いのために努力することができる。
「……馬鹿なやつだな」
困ったような表情と、呆れたような口調でネイトが返事をくれる。
ノエルはその表情を見つめながら、一歩前進したような気持ちを抱えていた。
「……うん」
ベッドサイドへと腰掛けたネイトは、膝の上で手を組むと、眉を寄せながら苦しそうな表情を浮かべた。
「私の中に眠る闇の魔力が、私自身を取り込もうとしている。闇が囁きかけてくるのだ……。新しい魔王は私だと」
「新しい魔王……そんなっ、エアリスはそのことをっ」
「お前以外にこのことを知る者はいない。それに話せるわけがなかった。清らかで心優しいエアリスに心配などかけられない……私が彼に思いを伝えなかったのは、彼と私は決して交わることのない立場に居るからだ」
次世代の魔王に選ばれてしまったネイトと、魔王を倒す存在であるエアリス。ネイトはエアリスの立場を守るため、苦しませないために思いを隠す選択肢をした。
ゲーム内のネイトは、エアリスのためなら命すら投げ出すことも厭わなかった。それは深い愛ゆえだ。
その愛が叶うことはないと、ずっと昔からネイトは気づいていたのかもしれない。
「っ、ごめんなさい……俺っ……」
「もう気にしていない」
「俺が気にするんです!っ、だって、好きなのに気持ちすら伝えられないなんて辛いじゃないですか。俺、本当に無神経だった……」
ネイトのことを思い、ノエルは夕焼け色の瞳から涙を流した。
──彼を助けたい。
気持ちが溢れてくる。ノエルにはネイトを助けられる力がある。それなら、彼のためにできることはしてあげたかった。
「なぜお前が泣くんだ」
ネイトが戸惑いがちに、ノエルの目元をハンカチーフで拭いてくれる。ギュッと胸が締め付けられるような感覚がした。
冷たい態度を取られても嫌いになれなかったのは、ネイトが本当は不器用なくらい優しい人だと知っているからだ。
「俺と契約してください」
「契約?」
「はい。俺はネイト様が苦しんでいるときに、すぐに助けに行きます。ネイト様のためなら光の魔力をいくらだって使う」
「……その見返りは?」
ノエルは涙を散らしながら、顔いっぱいに笑顔を浮かべた。
願いはただ一つ。見返りなどいらない。ただ──
「幸せになって。ネイト様が心から幸せだって思える瞬間を、いつか俺に見せて。それが俺の一番の願いだから」
前世からずっとネイトの幸せを願っていた。
ネイトはノエルにとって単なるゲームのキャラ。現実世界には存在しない空想上の人物だった。けれど今目の前に存在するネイトは、紛うことなく現実だ。
だからこそ、ネイトの幸せを思う存分願える。その願いのために努力することができる。
「……馬鹿なやつだな」
困ったような表情と、呆れたような口調でネイトが返事をくれる。
ノエルはその表情を見つめながら、一歩前進したような気持ちを抱えていた。
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