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推しの様子がおかしいんだけど!?
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ノエルは腕を組み、一人で頭を抱えていた。
卓の上にはネイトの現状がイラスト付きで描かれた紙が置かれている。闇の魔力を持つネイトへと、力が継承され魔王が誕生しようとしている。
ネイトから教えられた情報では、感情の起伏に伴い闇の魔力が変動するらしい。また夜は特に闇の魔力が増大するため、夜は特に危険ということだ。
セイントナイト2のサブタイトルは『呪われた貴公子と輝きの力』だった。前情報では呪いについては書かれていなかったけれど、今ならそれが魔王化のことだとわかる。
(呪われた貴公子か……)
ネイトはどんな気持ちでエアリスを守り続けていたのだろうか。
自分のことは本人が一番自覚していたはずだ。結ばれることはないとわかってもいたはず。それがどれだけ辛いことだったのかは想像もできない。
今日もネイトは執務室にこもり仕事を行っている。少しだけ和解した夜から一週間程が経っていた。
一度頭をリセットするために伸びをする。そのとき窓から風が吹き込んできた。卓に乗せられていた紙が、風に乗って窓の外へと飛び立つ。
「やばっ」
ネイトの魔王化についてや、前世について書かれている紙だ。誰かに拾われて見られてしまってはいけない。窓の外から紙が飛んでいった方向を確認する。どうやら中庭にある薔薇園へ飛んでいったらしい。
慌てて部屋を飛び出したノエルは、薔薇園へ小走りに向かう。
目的の場所へ着くと、荒い呼吸を整えながら紙を探す。初めて足を踏み入れた薔薇園は、目を奪われそうになるほどに幻想的だ。
咲き誇る花の小道を抜けると、小さな広場になっている場所へと辿り着いた。ガゼボの中にガーデンチェアとテーブルが置かれている。その下に探していた紙が落ちていた。
(よかった!)
ノエルは紙を拾い上げると、安堵の息を吐き出す。再び落とすことのないように、小さく折りたたみズボンのポケットへと入れておく。
「ニャーン」
刹那、猫の鳴き声が耳に届いた。そこでようやく、ガーデンテーブルの下に黒猫が居たことに気がつく。まるで突然姿を現したかのようだ。
黒猫はノエルの足元に来ると、匂いを確認するように鼻を動かす。それから一度だけ足に顔を擦り寄せてきた。
黒猫を見ると前世のことを思い出してしまう。
縁があるのだろうか。複雑な気持ちになりながら、ノエルは黒猫に視線を合わせるように屈む。
「どこから来たんだ?お家にお帰り」
艶のかかった美しい毛並みは到底野良とは思えない。
「こんなところでなにをしているんだ」
猫を撫でていると、背後から声をかけられて振り返る。
薔薇に囲まれた小道から姿を現したネイトが、ゆっくりとノエルの方へと向かってきた。まるでスチルを見ているような心地だ。あまりのかっこよさに見惚れてしまう。
立ち上がったノエルも、ネイトの方へと駆け寄る。
「猫がいたんです。って、あれ?」
足元へと視線を戻すも、先程までいたはずの黒猫の姿が見当たらない。キョロリと辺りを見渡してみても同じだ。
首を返しげているノエルに、ネイトが訝しげな表情を向けてくる。
「おかしいな……。たしかにさっきまで猫がいたんですけど……」
「そうか。お前がそう言うならそうなんだろうな。ところでいつまで敬語を使うつもりだ?」
唐突な質問に驚いていると、ネイトが視線を合わせるように腰を曲げて顔を近づけてきた。その仕草に心音が早くなる。
「ネイトと呼んでみろ」
「ネ、ネイト?……あの、近いんですけど……」
突然の至近距離は困ってしまう。
直視できず、赤い顔を横へとそらしたノエル。それが気に食わなかったのか、ネイトが微かに不機嫌さを帯びた眼差しを向けてくる。
ゲーム内でも、ネイトはやたら主人公との距離が近かったことを思い出す。もしかしたら距離感という概念が、ネイトの中には存在しないのかもしれない。
「ノエル」
名前を呼ばれて、大袈裟に肩を跳ねさせた。艶のある低音に呼ばれると、嬉しいようなむず痒い心地になってしまう。心臓がうさぎのようにピョコピョコと跳ねていて落ち着かない。
距離を詰めてきたネイトが、ガーデンチェアに座るように促してくる。大人しくいうことを聞き、腰掛けた。ネイトもノエルの隣に座る。
二人の吐息が聞こえてしまいそうなほど、薔薇園の中は静かだ。それが妙な緊張感をノエルへと与えてくる。
卓の上にはネイトの現状がイラスト付きで描かれた紙が置かれている。闇の魔力を持つネイトへと、力が継承され魔王が誕生しようとしている。
ネイトから教えられた情報では、感情の起伏に伴い闇の魔力が変動するらしい。また夜は特に闇の魔力が増大するため、夜は特に危険ということだ。
セイントナイト2のサブタイトルは『呪われた貴公子と輝きの力』だった。前情報では呪いについては書かれていなかったけれど、今ならそれが魔王化のことだとわかる。
(呪われた貴公子か……)
ネイトはどんな気持ちでエアリスを守り続けていたのだろうか。
自分のことは本人が一番自覚していたはずだ。結ばれることはないとわかってもいたはず。それがどれだけ辛いことだったのかは想像もできない。
今日もネイトは執務室にこもり仕事を行っている。少しだけ和解した夜から一週間程が経っていた。
一度頭をリセットするために伸びをする。そのとき窓から風が吹き込んできた。卓に乗せられていた紙が、風に乗って窓の外へと飛び立つ。
「やばっ」
ネイトの魔王化についてや、前世について書かれている紙だ。誰かに拾われて見られてしまってはいけない。窓の外から紙が飛んでいった方向を確認する。どうやら中庭にある薔薇園へ飛んでいったらしい。
慌てて部屋を飛び出したノエルは、薔薇園へ小走りに向かう。
目的の場所へ着くと、荒い呼吸を整えながら紙を探す。初めて足を踏み入れた薔薇園は、目を奪われそうになるほどに幻想的だ。
咲き誇る花の小道を抜けると、小さな広場になっている場所へと辿り着いた。ガゼボの中にガーデンチェアとテーブルが置かれている。その下に探していた紙が落ちていた。
(よかった!)
ノエルは紙を拾い上げると、安堵の息を吐き出す。再び落とすことのないように、小さく折りたたみズボンのポケットへと入れておく。
「ニャーン」
刹那、猫の鳴き声が耳に届いた。そこでようやく、ガーデンテーブルの下に黒猫が居たことに気がつく。まるで突然姿を現したかのようだ。
黒猫はノエルの足元に来ると、匂いを確認するように鼻を動かす。それから一度だけ足に顔を擦り寄せてきた。
黒猫を見ると前世のことを思い出してしまう。
縁があるのだろうか。複雑な気持ちになりながら、ノエルは黒猫に視線を合わせるように屈む。
「どこから来たんだ?お家にお帰り」
艶のかかった美しい毛並みは到底野良とは思えない。
「こんなところでなにをしているんだ」
猫を撫でていると、背後から声をかけられて振り返る。
薔薇に囲まれた小道から姿を現したネイトが、ゆっくりとノエルの方へと向かってきた。まるでスチルを見ているような心地だ。あまりのかっこよさに見惚れてしまう。
立ち上がったノエルも、ネイトの方へと駆け寄る。
「猫がいたんです。って、あれ?」
足元へと視線を戻すも、先程までいたはずの黒猫の姿が見当たらない。キョロリと辺りを見渡してみても同じだ。
首を返しげているノエルに、ネイトが訝しげな表情を向けてくる。
「おかしいな……。たしかにさっきまで猫がいたんですけど……」
「そうか。お前がそう言うならそうなんだろうな。ところでいつまで敬語を使うつもりだ?」
唐突な質問に驚いていると、ネイトが視線を合わせるように腰を曲げて顔を近づけてきた。その仕草に心音が早くなる。
「ネイトと呼んでみろ」
「ネ、ネイト?……あの、近いんですけど……」
突然の至近距離は困ってしまう。
直視できず、赤い顔を横へとそらしたノエル。それが気に食わなかったのか、ネイトが微かに不機嫌さを帯びた眼差しを向けてくる。
ゲーム内でも、ネイトはやたら主人公との距離が近かったことを思い出す。もしかしたら距離感という概念が、ネイトの中には存在しないのかもしれない。
「ノエル」
名前を呼ばれて、大袈裟に肩を跳ねさせた。艶のある低音に呼ばれると、嬉しいようなむず痒い心地になってしまう。心臓がうさぎのようにピョコピョコと跳ねていて落ち着かない。
距離を詰めてきたネイトが、ガーデンチェアに座るように促してくる。大人しくいうことを聞き、腰掛けた。ネイトもノエルの隣に座る。
二人の吐息が聞こえてしまいそうなほど、薔薇園の中は静かだ。それが妙な緊張感をノエルへと与えてくる。
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