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推しのことをもっと知りたい
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あ、あのさっ、まだあれから浄化をしてないでしょ。大丈夫なの?」
「問題ない。随分と楽だ。……ただ」
ネイトが身体を前に出して、ノエルの顔をのぞき込んできた。長いまつ毛の一本一本が数えられそうな程の至近距離に、狼狽える。
「定期的にしておいたほうが安心だな」
そう言って手を目の前に差し出してきたネイト。
ノエルは顔を真っ赤にさせながら、ネイトの手を取った。ひんやりとした手は、触れていると心地いい。
ネイトから悪いものをすべて取り去るイメージをする。焦らず、ゆっくりと。そうすると手のひらが温かくなって、ネイトから嫌なものが抜けていく感覚がした。
「……光の魔力というのはどうしてこうも温かいのだろうな」
ポツリとネイトが言葉をこぼした。ネイトは光の魔力を通してエアリスの姿を追いかけている。そのことに気がついたけれど、ノエルは気づかないふりをした。
ネイトの心がエアリスにあるのは当然のことだ。ノエルにとっては、前世からそれが当たり前で変わることなどない。
「無い物ねだりをしていたのだろうな」
「……自分にないものを欲しいと思うのは当然のことだよ」
思わず言葉を返してしまう。
光と闇は相反する存在だ。聖女であるエアリスと次期魔王に選ばれたネイトではなおのこと。
どこかの陳腐なロマンス劇のように、二人の間には障害が多すぎた。エアリスはネイトを選ばない。ネイトは選んでもらえない。それはストーリーとして決められている結末で、誰にも変えることはできない。
ゲームの中だけなら、可哀想だと思うだけで済む。けれど今は現実で、ネイトもエアリスも、もちろんノエルも生きている人間だ。意思を持ち、会話をする。だから、こんなにも悲しい気持ちになるのだろう。
「俺もエアリスのことが好きだよ。もちろん友達として。会ったのは一度切りだけれど、心が優しくて、人を包み込むような温かさを持った人だと思う。ネイトがエアリスを好きになるのも納得できるよ」
「……たしかにエアリスは心優しく、清らかだ。汚れの一つも知らないように見えるのに、わりと豪快な所も面白い」
豪快な様子を思い出したのか、ネイトが微かに笑みをこぼす。その笑みを見て、少しだけ安心した。ネイトの暗い顔は見たくない。推しには常に幸せでいてほしいから。
「話したくなったらいつでも、エアリスのことやネイトのことを聞かせて」
「……そうだな」
「うん!はい、終わり。屋敷に戻ろう」
話題を変えるように明るく伝える。手を離し、立ち上がろうと腰を持ち上げた。そのとき腕を掴まれて、動きが止まる。
「ネイト?」
「……ノエルのことも教えてくれ」
「っ、俺のこと?話せるようなことなんてなにもないけど……」
「それでいい。くだらないことでもかまわない」
微かな必死さの垣間見える言葉に、ノエルの鼓動が大きく揺らいだ。この世界に転生してから、誰かに自分のことを話す機会などあまりなかったかもしれない。
尋ねられることなどなかったから。
けれど、ネイトが知りたいと思ってくれた。そのことがむず痒くなるほどに嬉しい。
「俺も知ってほしい」
応えると、ネイトがふわりと柔らかな笑みを返してくれる。初めて見る表情から目が離せなくなった。この表情が……ネイトのすべてが自分だけのものならいいのに。ふとそんな独占欲にも似た感情が浮かぶ。
「問題ない。随分と楽だ。……ただ」
ネイトが身体を前に出して、ノエルの顔をのぞき込んできた。長いまつ毛の一本一本が数えられそうな程の至近距離に、狼狽える。
「定期的にしておいたほうが安心だな」
そう言って手を目の前に差し出してきたネイト。
ノエルは顔を真っ赤にさせながら、ネイトの手を取った。ひんやりとした手は、触れていると心地いい。
ネイトから悪いものをすべて取り去るイメージをする。焦らず、ゆっくりと。そうすると手のひらが温かくなって、ネイトから嫌なものが抜けていく感覚がした。
「……光の魔力というのはどうしてこうも温かいのだろうな」
ポツリとネイトが言葉をこぼした。ネイトは光の魔力を通してエアリスの姿を追いかけている。そのことに気がついたけれど、ノエルは気づかないふりをした。
ネイトの心がエアリスにあるのは当然のことだ。ノエルにとっては、前世からそれが当たり前で変わることなどない。
「無い物ねだりをしていたのだろうな」
「……自分にないものを欲しいと思うのは当然のことだよ」
思わず言葉を返してしまう。
光と闇は相反する存在だ。聖女であるエアリスと次期魔王に選ばれたネイトではなおのこと。
どこかの陳腐なロマンス劇のように、二人の間には障害が多すぎた。エアリスはネイトを選ばない。ネイトは選んでもらえない。それはストーリーとして決められている結末で、誰にも変えることはできない。
ゲームの中だけなら、可哀想だと思うだけで済む。けれど今は現実で、ネイトもエアリスも、もちろんノエルも生きている人間だ。意思を持ち、会話をする。だから、こんなにも悲しい気持ちになるのだろう。
「俺もエアリスのことが好きだよ。もちろん友達として。会ったのは一度切りだけれど、心が優しくて、人を包み込むような温かさを持った人だと思う。ネイトがエアリスを好きになるのも納得できるよ」
「……たしかにエアリスは心優しく、清らかだ。汚れの一つも知らないように見えるのに、わりと豪快な所も面白い」
豪快な様子を思い出したのか、ネイトが微かに笑みをこぼす。その笑みを見て、少しだけ安心した。ネイトの暗い顔は見たくない。推しには常に幸せでいてほしいから。
「話したくなったらいつでも、エアリスのことやネイトのことを聞かせて」
「……そうだな」
「うん!はい、終わり。屋敷に戻ろう」
話題を変えるように明るく伝える。手を離し、立ち上がろうと腰を持ち上げた。そのとき腕を掴まれて、動きが止まる。
「ネイト?」
「……ノエルのことも教えてくれ」
「っ、俺のこと?話せるようなことなんてなにもないけど……」
「それでいい。くだらないことでもかまわない」
微かな必死さの垣間見える言葉に、ノエルの鼓動が大きく揺らいだ。この世界に転生してから、誰かに自分のことを話す機会などあまりなかったかもしれない。
尋ねられることなどなかったから。
けれど、ネイトが知りたいと思ってくれた。そのことがむず痒くなるほどに嬉しい。
「俺も知ってほしい」
応えると、ネイトがふわりと柔らかな笑みを返してくれる。初めて見る表情から目が離せなくなった。この表情が……ネイトのすべてが自分だけのものならいいのに。ふとそんな独占欲にも似た感情が浮かぶ。
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