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13〜東視点〜
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「俺のこと…忘れてね?」
俺は嘘つきだ………。
本当は忘れてなんか欲しくないのに、気持ちとは裏腹に俺は嘘をつく。
だって、そうしないと彼は悲しいまま、泣き続けるかもしれないって思ったから。
坂本のことが好き。
だから、忘れて欲しいと思った。
俺は坂本の手を取るとその手に少しだけ力を入れて、坂本の綺麗な目を見つめた。
「いつか、俺のせいで坂本が傷ついてしまうのが怖いんだ…だから……」
「っ、だから………そうなるかもしれないから、忘れろっていうのかよ!?」
坂本の叫びにも近い怒鳴り声に俺は思わず肩を震わせた。
普段あまり怒鳴ることのない坂本が俺を真っ直ぐに見て怒ったから。その声があまりにも真剣で、少しだけ怖くなった。
「そう…だよ」
震える喉から微かに声を発すると、さっきとは打って変わって、彼はすごく悲しそうな顔をして俺を見た。
「そんなのって………ないだろ…」
坂本の悲しそうな顔を見て、俺まで悲しくなる。
そんな顔しないでよ…。
悲しい顔をさせているのは自分なのについそう思ってしまう。
「……はぁ…」
坂本の小さなため息が病室内に響いた。
「さか、もと?」
「なに、言ってもお前はそんなこと言うんだろうな」
「えっ…?」
訳がわからず聞き返してしまう。
そしたら、坂本は急に立ち上がると俺の腕をぐいっと引っ張って俺を立たせた。
そして、そのまま早足で病室を出て、一言も何も言わずに足早に何処かへと俺を引っ張っていく。
「さ、かもと!?どこいくんだよ!」
「………」
なにも返事をしてくれない坂本に困惑しながら、仕方なく黙って彼に引っ張られる形でついて行く。
坂本はそのまま外に出ると、病院の裏庭に着いたところで足を止めた。
「ついたぞ」
坂本はそれだけ言うと、ぱっと俺の手から自分の手を離して少しだけ更に奥へと進んだ。
俺も坂本の後に続いて奥へと進む。
「東、見てみろ。」
「なに……?」
そこには小さな木が一本生えていて、周りにはその木を囲むように柵が建てられていた。
でも…
「…………枯れてる…」
その木は嵐でも来れば直ぐに倒れてしまいそな程細く、儚い枯れかけの木で、まるで自分のようだと思った。
「この木、枯れかけてるだろ。」
坂本は少しだけ笑い気味にそう言ってそっと木に手を添えた。
「でもさ、コイツ前まではもっとなよなよしててさぁ。今、やっとここまで回復したんだぜ」
坂本は本当に嬉しそうに笑いながら木について教えてくれる。その言葉につられて俺は目の前の木を見つめる。
「元気に、なってきてるのか?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
本当に元気になってるの?
その逆なんじゃないの?
俺みたいにどんどん衰弱してきてるんじゃないの?
「元気になってるよ。」
そんな俺の疑問を知ってか知らずか、坂本は安心させるように俺の頭に手を置いてそう言った。
思わず泣きそうになる。
だって、その枯れかけた木がまるで自分のようで、その木は元気になっていってるって坂本が言うなら…それなら俺も……俺の病気も…
そんな期待しても意味なんてないことは分かっていても期待してしまう。
ねぇ、坂本は分かってて俺をこの木に会わせてくれたの?
俺は嘘つきだ………。
本当は忘れてなんか欲しくないのに、気持ちとは裏腹に俺は嘘をつく。
だって、そうしないと彼は悲しいまま、泣き続けるかもしれないって思ったから。
坂本のことが好き。
だから、忘れて欲しいと思った。
俺は坂本の手を取るとその手に少しだけ力を入れて、坂本の綺麗な目を見つめた。
「いつか、俺のせいで坂本が傷ついてしまうのが怖いんだ…だから……」
「っ、だから………そうなるかもしれないから、忘れろっていうのかよ!?」
坂本の叫びにも近い怒鳴り声に俺は思わず肩を震わせた。
普段あまり怒鳴ることのない坂本が俺を真っ直ぐに見て怒ったから。その声があまりにも真剣で、少しだけ怖くなった。
「そう…だよ」
震える喉から微かに声を発すると、さっきとは打って変わって、彼はすごく悲しそうな顔をして俺を見た。
「そんなのって………ないだろ…」
坂本の悲しそうな顔を見て、俺まで悲しくなる。
そんな顔しないでよ…。
悲しい顔をさせているのは自分なのについそう思ってしまう。
「……はぁ…」
坂本の小さなため息が病室内に響いた。
「さか、もと?」
「なに、言ってもお前はそんなこと言うんだろうな」
「えっ…?」
訳がわからず聞き返してしまう。
そしたら、坂本は急に立ち上がると俺の腕をぐいっと引っ張って俺を立たせた。
そして、そのまま早足で病室を出て、一言も何も言わずに足早に何処かへと俺を引っ張っていく。
「さ、かもと!?どこいくんだよ!」
「………」
なにも返事をしてくれない坂本に困惑しながら、仕方なく黙って彼に引っ張られる形でついて行く。
坂本はそのまま外に出ると、病院の裏庭に着いたところで足を止めた。
「ついたぞ」
坂本はそれだけ言うと、ぱっと俺の手から自分の手を離して少しだけ更に奥へと進んだ。
俺も坂本の後に続いて奥へと進む。
「東、見てみろ。」
「なに……?」
そこには小さな木が一本生えていて、周りにはその木を囲むように柵が建てられていた。
でも…
「…………枯れてる…」
その木は嵐でも来れば直ぐに倒れてしまいそな程細く、儚い枯れかけの木で、まるで自分のようだと思った。
「この木、枯れかけてるだろ。」
坂本は少しだけ笑い気味にそう言ってそっと木に手を添えた。
「でもさ、コイツ前まではもっとなよなよしててさぁ。今、やっとここまで回復したんだぜ」
坂本は本当に嬉しそうに笑いながら木について教えてくれる。その言葉につられて俺は目の前の木を見つめる。
「元気に、なってきてるのか?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
本当に元気になってるの?
その逆なんじゃないの?
俺みたいにどんどん衰弱してきてるんじゃないの?
「元気になってるよ。」
そんな俺の疑問を知ってか知らずか、坂本は安心させるように俺の頭に手を置いてそう言った。
思わず泣きそうになる。
だって、その枯れかけた木がまるで自分のようで、その木は元気になっていってるって坂本が言うなら…それなら俺も……俺の病気も…
そんな期待しても意味なんてないことは分かっていても期待してしまう。
ねぇ、坂本は分かってて俺をこの木に会わせてくれたの?
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