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悩みと提案
11〜カイス視点〜
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~カイス視点~
「何をしているんだい」
過ぎ去っていくアズハルの背を見つめていると、近づいてきた人物が話しかけてきて振り向く。
アズハルのものとよく似ている灰色の瞳と目が合って、なんとなく彼から1歩距離を取った。
白銀の髪が窓から吹く風に揺られていて、彼が顔を動かすと光の加減で瞳が薄桃色にも見える。
見た目だけなら儚い印象を与える彼だが、性格は見た目とは相反することは城に居るものなら誰でも知っていることだ。
「リダ様が離宮に居るなど珍しいですね」
「あはは、それは君も同じだろう。僕は、兄上の飼っている子ネズミを見に来たんだよ」
「子ネズミですか」
「君が先程まで話をしていただろう。ふふ、まさかこの国の宰相が兄上を欺いて子ネズミを逃がそうとしてるだなんて誰も思わないよね」
「……なんのお話か私には理解出来かねます」
つい硬い口調で返せば、くつくつとリダ様が喉を鳴らしながら笑みを深める。
「でも、そうか。アレが兄上の……ねえ」
「あの子のことは放って置いてあげてください」
「へえ~、ますます興味が湧いてきたよ」
食えない笑みを浮かべる彼を見つめながら、どうやって彼からアズハルを守るのかを考える。
まさかリダ様に見られているなど露ほども思っていなかったため、己の迂闊さに苛立った。
「そんなに警戒しないでよ。それに、あの子を逃がすくらいならこちら側に付けばいいんじゃないかな?兄上が居なくなれば子ネズミは君のものになるよ」
「……ご冗談を」
王子達が王権争いのために貴族を引き入れようとしていることは分かっている。
私が当主を務めるバグダード家と国境を守る任を授かっているファフリー家をどちらが先に取り込むのかが、2人の権力争いの勝敗を分ける鍵になることも。
だが私はともかく、ファフリー当主が中立の立場から退くことは余程のことがない限りないだろう。
それは王子達も理解しているために、策を講じて自らの元に引き入れようとしているのだ。
「リダ様、あの子に手は出されない方がよろしいかと思います。この忠告は貴方のためでもあるのですよ」
薄桃灰の瞳がゆっくりと細められ、彼の口元に歪な笑みが浮かぶ。
「僕のため~?あははは、本当に君は面白い男だね。アレがどうなろうと僕はなんとも思わないよ」
「母上が悲しまれますよ」
私の言葉にリダ様が一瞬で笑みを消した。その顔にはなんの感情も見られない。
「あの人は10年前に死んだでしょう」
彼から発せられた声はどこまでも冷えきっていて、およそ母親に向ける言葉とは思えなかった。
「何をしているんだい」
過ぎ去っていくアズハルの背を見つめていると、近づいてきた人物が話しかけてきて振り向く。
アズハルのものとよく似ている灰色の瞳と目が合って、なんとなく彼から1歩距離を取った。
白銀の髪が窓から吹く風に揺られていて、彼が顔を動かすと光の加減で瞳が薄桃色にも見える。
見た目だけなら儚い印象を与える彼だが、性格は見た目とは相反することは城に居るものなら誰でも知っていることだ。
「リダ様が離宮に居るなど珍しいですね」
「あはは、それは君も同じだろう。僕は、兄上の飼っている子ネズミを見に来たんだよ」
「子ネズミですか」
「君が先程まで話をしていただろう。ふふ、まさかこの国の宰相が兄上を欺いて子ネズミを逃がそうとしてるだなんて誰も思わないよね」
「……なんのお話か私には理解出来かねます」
つい硬い口調で返せば、くつくつとリダ様が喉を鳴らしながら笑みを深める。
「でも、そうか。アレが兄上の……ねえ」
「あの子のことは放って置いてあげてください」
「へえ~、ますます興味が湧いてきたよ」
食えない笑みを浮かべる彼を見つめながら、どうやって彼からアズハルを守るのかを考える。
まさかリダ様に見られているなど露ほども思っていなかったため、己の迂闊さに苛立った。
「そんなに警戒しないでよ。それに、あの子を逃がすくらいならこちら側に付けばいいんじゃないかな?兄上が居なくなれば子ネズミは君のものになるよ」
「……ご冗談を」
王子達が王権争いのために貴族を引き入れようとしていることは分かっている。
私が当主を務めるバグダード家と国境を守る任を授かっているファフリー家をどちらが先に取り込むのかが、2人の権力争いの勝敗を分ける鍵になることも。
だが私はともかく、ファフリー当主が中立の立場から退くことは余程のことがない限りないだろう。
それは王子達も理解しているために、策を講じて自らの元に引き入れようとしているのだ。
「リダ様、あの子に手は出されない方がよろしいかと思います。この忠告は貴方のためでもあるのですよ」
薄桃灰の瞳がゆっくりと細められ、彼の口元に歪な笑みが浮かぶ。
「僕のため~?あははは、本当に君は面白い男だね。アレがどうなろうと僕はなんとも思わないよ」
「母上が悲しまれますよ」
私の言葉にリダ様が一瞬で笑みを消した。その顔にはなんの感情も見られない。
「あの人は10年前に死んだでしょう」
彼から発せられた声はどこまでも冷えきっていて、およそ母親に向ける言葉とは思えなかった。
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