37 / 60
油断大敵!棚からぼた餅
⑥
しおりを挟む
「なんか変じゃないか?気のせいなのかな」
「たしかに変だね。魔物がなにかに怯えて隠れてしまっているようだ」
ダリウスも異変を感じているようで、少しだけ歩くペースが遅くなる。慎重に進まないと危ないって判断したみたいだ。
またしばらく歩くと、広い場所に出た。見上げてみるけど、真っ暗闇で天井は見えない。
「あれなんだ?」
隅の方に、布と白っぽいなにかが落ちているのが見える。罠がないか確認しながら近づくと、それが衣服に包まれた人間の骨だということがわかった。傍らに、なにかが割れた破片が散らばっている。
亡骸の前に膝をつき、まだら模様の破片を手に取ったダリウスが眉を寄せた。嫌な予感がする。
「……ドラゴンの卵だ」
「ドラゴンの卵!??」
驚きすぎて大きな声が出てしまった。ここに殻があるってことはダンジョンにドラゴンがいるってことになる。
「なんでそんな物がここにあるんだよ」
「原因に心当たりがある。一旦持ち帰ってギルドに報告した方が良さそうだね。魔物達の様子がおかしいことにも関係があるかもしれない」
迷い込んだダンジョンで、まさかこんな発見をするとは思っていなくて唖然としてしまう。それに、ドラゴンと聞くとクリスのことが思い出されてしまって胸が苦しい。
「なあ、考えすぎかもしれないけど……これって祭事のとき出てきたドラゴンと関係あったりするのかな」
「……おそらくね」
布で殻を包んで袋に入れたダリウスが立ち上がる。無表情を見つめながら、俺も続いて立ち上がった。
「早く出ようぜ」
「そうだね。ダンジョンを出たら兎肉を食べないと」
「おう!たらふく食おうぜ」
クシャリと頭を撫でられて目を細める。クリスの件が絡んでいるかもしれないのに、なんとなくダリウスから余裕が感じられる気がしていた。
自分の中で少しだけ、思いを消化できたのかもしれない。
結局、魔物に遭遇しないままダリウスの先導のもとダンジョンを抜けてしまった。入ってくる日差しを顔に浴びながら、外へと出る。
大きく伸びをして息を吸い込めば、新鮮な空気が全身を満たしてくれる。ダンジョン内はとにかく鬱々としていて、息苦しかったから、外に出られて本当に良かった。
「ここってどこなんだ?」
出口には野営地のようなテントがいくつもあって、人工的に整地された場所のように思える。ダンジョンの出入口は、俺たちが落ちた場所にあった入口と似たような作りをしているみたいだ。
「ここは森の中心点だよ。ダンジョンに入るための正規の入口で、冒険者はここで数日すごしながら少しずつ階層の攻略をしていくんだ。でも、見た限り人は居ないようだね。魔物が出現しないから、他のダンジョンへ移動したのかもしれない」
たしかに、テントはあるけど人がいる様子はない。
ドラゴンの卵の件もあるし、早く帰った方が良さそうだ。
「ギルドに急ごう」
野営地を離れると、森の中を急いで進んでいく。途中魔物に出くわしたから、倒して素材はちゃんと回収しておいた。
「たしかに変だね。魔物がなにかに怯えて隠れてしまっているようだ」
ダリウスも異変を感じているようで、少しだけ歩くペースが遅くなる。慎重に進まないと危ないって判断したみたいだ。
またしばらく歩くと、広い場所に出た。見上げてみるけど、真っ暗闇で天井は見えない。
「あれなんだ?」
隅の方に、布と白っぽいなにかが落ちているのが見える。罠がないか確認しながら近づくと、それが衣服に包まれた人間の骨だということがわかった。傍らに、なにかが割れた破片が散らばっている。
亡骸の前に膝をつき、まだら模様の破片を手に取ったダリウスが眉を寄せた。嫌な予感がする。
「……ドラゴンの卵だ」
「ドラゴンの卵!??」
驚きすぎて大きな声が出てしまった。ここに殻があるってことはダンジョンにドラゴンがいるってことになる。
「なんでそんな物がここにあるんだよ」
「原因に心当たりがある。一旦持ち帰ってギルドに報告した方が良さそうだね。魔物達の様子がおかしいことにも関係があるかもしれない」
迷い込んだダンジョンで、まさかこんな発見をするとは思っていなくて唖然としてしまう。それに、ドラゴンと聞くとクリスのことが思い出されてしまって胸が苦しい。
「なあ、考えすぎかもしれないけど……これって祭事のとき出てきたドラゴンと関係あったりするのかな」
「……おそらくね」
布で殻を包んで袋に入れたダリウスが立ち上がる。無表情を見つめながら、俺も続いて立ち上がった。
「早く出ようぜ」
「そうだね。ダンジョンを出たら兎肉を食べないと」
「おう!たらふく食おうぜ」
クシャリと頭を撫でられて目を細める。クリスの件が絡んでいるかもしれないのに、なんとなくダリウスから余裕が感じられる気がしていた。
自分の中で少しだけ、思いを消化できたのかもしれない。
結局、魔物に遭遇しないままダリウスの先導のもとダンジョンを抜けてしまった。入ってくる日差しを顔に浴びながら、外へと出る。
大きく伸びをして息を吸い込めば、新鮮な空気が全身を満たしてくれる。ダンジョン内はとにかく鬱々としていて、息苦しかったから、外に出られて本当に良かった。
「ここってどこなんだ?」
出口には野営地のようなテントがいくつもあって、人工的に整地された場所のように思える。ダンジョンの出入口は、俺たちが落ちた場所にあった入口と似たような作りをしているみたいだ。
「ここは森の中心点だよ。ダンジョンに入るための正規の入口で、冒険者はここで数日すごしながら少しずつ階層の攻略をしていくんだ。でも、見た限り人は居ないようだね。魔物が出現しないから、他のダンジョンへ移動したのかもしれない」
たしかに、テントはあるけど人がいる様子はない。
ドラゴンの卵の件もあるし、早く帰った方が良さそうだ。
「ギルドに急ごう」
野営地を離れると、森の中を急いで進んでいく。途中魔物に出くわしたから、倒して素材はちゃんと回収しておいた。
516
あなたにおすすめの小説
冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない
北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。
ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。
四歳である今はまだ従者ではない。
死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった??
十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。
こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう!
そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!?
クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。
【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる
ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。
・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。
・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。
・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。
沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました
ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。
落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。
“番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、
やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。
喋れぬΩと、血を信じない宰相。
ただの契約だったはずの絆が、
互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。
だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、
彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。
沈黙が祈りに変わるとき、
血の支配が終わりを告げ、
“番”の意味が書き換えられる。
冷血宰相×沈黙のΩ、
偽りの契約から始まる救済と革命の物語。
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される
水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。
行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。
「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた!
聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。
「君は俺の宝だ」
冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。
これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。
【完結】幽閉の王を救えっ、でも周りにモブの仕立て屋しかいないんですけどぉ?
北川晶
BL
BLゲームじゃないのに、嫌われから溺愛って嘘でしょ? 不遇の若き王×モブの、ハートフル、ファンタジー、ちょっとサスペンスな、大逆転ラブです。
乙女ゲーム『愛の力で王(キング)を救え!』通称アイキンの中に異世界転生した九郎は、顔の見えない仕立て屋のモブキャラ、クロウ(かろうじて名前だけはあったよ)に生まれ変わる。
子供のときに石をぶつけられ、前世のことを思い出したが。顔のないモブキャラになったところで、どうにもできないよね? でも。いざ、孤島にそびえる王城に、王の婚礼衣装を作るため、仕立て屋として上がったら…王を助ける人がいないんですけどぉ?
本編完結。そして、続編「前作はモブ、でも続編は悪役令嬢ポジなんですけどぉ?」も同時収録。
不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です
新川はじめ
BL
国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。
フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。
生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる