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探し物
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「あれ?蘭玉なんだか顔が赤いわよ」
「え、ああ、風邪かもしれないね」
「気をつけなくちゃ」
「うん。心配してくれてありがとう」
月鈴に言われて気がついたけれど確かに身体が少しだけ火照っている気がした。もしかしたら今日あたりアレが来るかもしれないと思って、月鈴に先に部屋に戻って貰って人の少なそうな場所に移動した。
そうして巾着の中の薬を飲むために取り出そうとして巾着がないことに気がついた。
仕事が終わるまで集中していてまったく気がついていなかったけれどどこに落としたのかも分からなくて焦る。
もう辺りは暗くなっていて通路を探すにも月の光だけでは心許ない。
それに火を灯せば人に見つかって出歩いていることを指摘されて罰を受けるかもしれない。
「どうしよう……」
かといって今の状態で部屋に戻ることも出来ずに焦る。
周りには隠しているけれど、私は香ノ者だからだ。
皇帝陛下は秀女以外の香ノ者の後宮入を禁じている。万が一間違いが起こらない為の措置であり、破ったものは即死罪なのだ。
そのため将軍の息子である母方の従兄弟を頼って香ノ物で男だということを隠し危険を犯して後宮入りしたんだ。
妹は病気がちで父も歳だ。
何としてもお金が必要だった。
香ノ者は月に1度程人を惑わす強い香りを発する時期が来る。その香りに気がつくのは高人と呼ばれる特別な者だけだけれど、もしもその期間中に高人と出くわしてしまった場合、香りに惑わされた高人が香ノ者を襲う事例は珍しくない。
そのため高位の方であれば香りを抑える為の薬を服用することが一般的だ。
私の場合、従兄弟が定期的に薬を届けてくれるため何とか後宮でもバレずに今までやってこれていた。
それなのに……
「兎に角探そう……」
バレないように人影を避けてありそうな場所を探してみる。
一応のために木陰の下なども目を凝らして探してみた。
「ない……」
部屋の周辺には無いことを確認して、中庭の方へと向かう。
探し始めてもうどのくらい経ったのか分からない。
月明かりが辺りを照らし出していて、その満月の光を浴びると益々身体が火照ってくるような錯覚を覚えた。
まるで自分はここだと誰かに教えているような気にすらなってくる。
「っ!……あれって……」
繍房から少し離れた中庭の木陰を探していると、不自然な土の盛り上がりが見えてそちらへと近づいた。
少し手で掘ってみると目当ての巾着が埋められていることに気がついて慌てて中身を確認した。
「……嘘だ……」
中身がない……。
よく見れば周りの土が少しだけ白く濁っていることに気がついた。
「どうしてっ」
明らかに故意に棄てられたと分かるそれらに唖然としてしまう。
放心状態のまま巾着を見つめていた時、ドクリと胸の鼓動が1層大きく鳴り響いた。
続いて酷くそそられる香りが鼻腔を擽る。
ゴクリと自然に溢れてきた唾液を飲み込んで香りのする方に視線を向けると、人影が1つ中庭の中心辺りに佇んでいるのに気がついた。
「え、ああ、風邪かもしれないね」
「気をつけなくちゃ」
「うん。心配してくれてありがとう」
月鈴に言われて気がついたけれど確かに身体が少しだけ火照っている気がした。もしかしたら今日あたりアレが来るかもしれないと思って、月鈴に先に部屋に戻って貰って人の少なそうな場所に移動した。
そうして巾着の中の薬を飲むために取り出そうとして巾着がないことに気がついた。
仕事が終わるまで集中していてまったく気がついていなかったけれどどこに落としたのかも分からなくて焦る。
もう辺りは暗くなっていて通路を探すにも月の光だけでは心許ない。
それに火を灯せば人に見つかって出歩いていることを指摘されて罰を受けるかもしれない。
「どうしよう……」
かといって今の状態で部屋に戻ることも出来ずに焦る。
周りには隠しているけれど、私は香ノ者だからだ。
皇帝陛下は秀女以外の香ノ者の後宮入を禁じている。万が一間違いが起こらない為の措置であり、破ったものは即死罪なのだ。
そのため将軍の息子である母方の従兄弟を頼って香ノ物で男だということを隠し危険を犯して後宮入りしたんだ。
妹は病気がちで父も歳だ。
何としてもお金が必要だった。
香ノ者は月に1度程人を惑わす強い香りを発する時期が来る。その香りに気がつくのは高人と呼ばれる特別な者だけだけれど、もしもその期間中に高人と出くわしてしまった場合、香りに惑わされた高人が香ノ者を襲う事例は珍しくない。
そのため高位の方であれば香りを抑える為の薬を服用することが一般的だ。
私の場合、従兄弟が定期的に薬を届けてくれるため何とか後宮でもバレずに今までやってこれていた。
それなのに……
「兎に角探そう……」
バレないように人影を避けてありそうな場所を探してみる。
一応のために木陰の下なども目を凝らして探してみた。
「ない……」
部屋の周辺には無いことを確認して、中庭の方へと向かう。
探し始めてもうどのくらい経ったのか分からない。
月明かりが辺りを照らし出していて、その満月の光を浴びると益々身体が火照ってくるような錯覚を覚えた。
まるで自分はここだと誰かに教えているような気にすらなってくる。
「っ!……あれって……」
繍房から少し離れた中庭の木陰を探していると、不自然な土の盛り上がりが見えてそちらへと近づいた。
少し手で掘ってみると目当ての巾着が埋められていることに気がついて慌てて中身を確認した。
「……嘘だ……」
中身がない……。
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「どうしてっ」
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放心状態のまま巾着を見つめていた時、ドクリと胸の鼓動が1層大きく鳴り響いた。
続いて酷くそそられる香りが鼻腔を擽る。
ゴクリと自然に溢れてきた唾液を飲み込んで香りのする方に視線を向けると、人影が1つ中庭の中心辺りに佇んでいるのに気がついた。
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