乱華〜男だけど女官として王宮入りしたら皇帝の子供を妊娠したので子育てしながら愛を育みたい〜

天宮叶

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僕として

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見た限り腕の怪我は凄く酷いものではないのかもしれないけれど、刃物で切られたのなら浅くともきちんと手当しなければ大変なことになるかもしれない。

私と兄さんが傷について口論していると陛下が来て間に割り込んできた。

「なにを言い合っている」

「陛下、大したことではございません」

そう言ってその場から離れようとすら兄さんを、陛下が待てと呼び止めた。

「陛下、楊龍将軍は怪我をしてしまった様なのです」

「それは真か」

「はい。私がこの目で確認しました」

「楊龍、特別に医官を遣わせる故診てもらうといい。喜を助けた礼だ」

陛下の言葉を受けて兄さんは渋々ながらも頷いてくれた。その事に安堵する。

「余は政務に戻る。楊龍よ華嬪を送ってやれ」

「分かりました」

調査をしている宦官達と2、3言話をしてから陛下はその場を去って行かれた。その後ろ姿を眺めていると、兄さんに屋敷へ戻ろうと声をかけられて頷く。

「桜には怪我をしたことは言わないでくれ」

私の住まう屋敷に向かって歩いていると、突然兄さんがそんなことを言ってきて歩みを止めた。

「どうして隠す必要があるの?手紙を書けばきっと会いに来てくれるのに」

「あの子のためだ。兎に角知らせないでくれ」

私の妹の桜と兄さんは昔から愛し合っているというのに長年両片思いの状態を維持している。兄さんと桜は年が離れていて、そのことを兄さんはものすごく気にしているんだ。

それに桜は身体が弱くて調子のいい時以外はずっと床に伏している生活を送っているため、あの子自身兄さんには迷惑をかけたくないと思っているようなのだ。

そんな2人を幼い頃から長年見てきた私には2人の関係は歯痒く感じてしまう。

「桜は最近調子があまり良くない様なんだ。だから、陛下に頼んで私の屋敷で療養させようかと考えているんだけど」

「そんなに悪いのか?」

私の話に食いついてきた兄さんに思わず苦笑いを向けてしまう。

気になるのなら兄さんから会いに行ってあげればいいのに。

「仕送りはしているけれど、薬は高いし生活も厳しいみたい。私が嬪になってから少しはマシになった様だけど父さんも年だから何処まで面倒を見切れるかは分からない。支えてくれる人が居れば別なんだけど」

遠回しに婚姻を促してみるけれど、兄さんは難しい顔をするだけで何も返事は返してくれなかった。

「兄さん行こう」

暗い雰囲気を断ち切りたくてそう切り出せば、顔を上げた兄さんが再び歩き始めた。

その横を並んで歩きながら、次陛下に会った時に桜のことを頼んでみようと心に決めた。
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