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龍は淡い恋をする(楊龍の番外編)
桜の木の下で②
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淡貴人様の目の前まで行くと、彼が花弁の乗った手を下へと向けた。その動きに合わせて花弁はひらひらと地面へと落ちていく。
まるで生きている様に揺れ動きながら地面へと着地したその花弁は他の物と混ざってどれだったのか分からなくなってしまった。
「桜は私の妻の名です」
先程の問に答えると、淡貴人が、そう……っと興味を失ったかのように素っ気のない相槌を打つ。
「奥様のことを愛しているかい?」
「……ええ。随分前に亡くなりましたが、今もまだ妻を愛しております」
彼女が私の妻だったのは経った三月だけだった。けれど、彼女を愛してきた月日は何年にも及ぶ。
もっと早くに桜に思いを告げていれば、彼女と今よりも長い時を過ごせたかもしれなかったはずだ。
意気地無しだった自分を心底憎んだ。
愛する人の居ないこの世は寂しさと冷たさで出来ている様に感じて、時たま息苦しく感じてしまう。
「きっといつかその思いは消えてしまうだろうね」
消えて欲しくとも消せない思いを抱えている私に淡貴人がそう言ってきたから、少しだけ腹が立ってしまった。
「そのようなことを言えるのは貴方が人を愛したことがないからでは?」
「……」
腹が立ってしまって言い返した言葉に彼は何も言い返しはしなかった。
その代わりという様に眉を垂れさせてまた悲しげな表情を浮かべる。その表情に含まれた彼の本音がなんなのか私には読み取ることが出来ない。
「もう行くよ」
「……ええ……お気をつけて」
悲しげな表情のまま私に背を向けて歩出した彼の華奢な背をその場から微動だにしないまま見つめ続けた。
桜に良く似ているその後ろ姿から目が離せなかった。
だからなのだろうか。
彼が悲しみにくれる様はもう見たくないと思ってしまったのは。
まるで生きている様に揺れ動きながら地面へと着地したその花弁は他の物と混ざってどれだったのか分からなくなってしまった。
「桜は私の妻の名です」
先程の問に答えると、淡貴人が、そう……っと興味を失ったかのように素っ気のない相槌を打つ。
「奥様のことを愛しているかい?」
「……ええ。随分前に亡くなりましたが、今もまだ妻を愛しております」
彼女が私の妻だったのは経った三月だけだった。けれど、彼女を愛してきた月日は何年にも及ぶ。
もっと早くに桜に思いを告げていれば、彼女と今よりも長い時を過ごせたかもしれなかったはずだ。
意気地無しだった自分を心底憎んだ。
愛する人の居ないこの世は寂しさと冷たさで出来ている様に感じて、時たま息苦しく感じてしまう。
「きっといつかその思いは消えてしまうだろうね」
消えて欲しくとも消せない思いを抱えている私に淡貴人がそう言ってきたから、少しだけ腹が立ってしまった。
「そのようなことを言えるのは貴方が人を愛したことがないからでは?」
「……」
腹が立ってしまって言い返した言葉に彼は何も言い返しはしなかった。
その代わりという様に眉を垂れさせてまた悲しげな表情を浮かべる。その表情に含まれた彼の本音がなんなのか私には読み取ることが出来ない。
「もう行くよ」
「……ええ……お気をつけて」
悲しげな表情のまま私に背を向けて歩出した彼の華奢な背をその場から微動だにしないまま見つめ続けた。
桜に良く似ているその後ろ姿から目が離せなかった。
だからなのだろうか。
彼が悲しみにくれる様はもう見たくないと思ってしまったのは。
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