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第2話 転生エルフ(20)、回復魔法を極める。
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族長から提示された、外の世界へ出るための最低条件。
それは今から100歳になるまでの期間で、エルフにおける魔法の真髄である回復魔法を極めることだった――のだが。
「回復魔法、女神の息吹」
全身の魔法力を練り込み、回復魔法を施す。
優しい緑色の光がエルフ族に代々伝わる神木を優しく包み、生き返らせていく。
自身の持てる最高峰の回復魔法は、枯れ果て今にも折れそうな目の前の大木を瑞々しい元の姿に戻していった。
とうに裸になっていた枝からは若々しい緑葉が生え、干からびきった大幹からは樹液が垂れる。
今俺が出来る最高の回復魔法だ。
その様子を近くで見た族長は、口をぽかんと空けて呆気に取られているようだった。
「樹齢1000年を超えた先代からの巨木を修復じゃと……!? それにその魔法は、エルフ族の最高峰、極致級の回復魔法じゃぞ!? お、お、お主、あの約束からまだ――!? 何をどうしたらそうなる!?」
族長との約束の時から10年、俺――リース・クラインは20歳を迎えていた。
「森の図書館に行ったら魔道書がたくさん置いてあったからね。俺なりに勉強したんだ。その者の魔力総量は、人生の最初の期間で決まるって文言を見て、小さい頃からずっと鍛えてたんだ」
「い、いつ頃からじゃ――!?」
「5歳くらいかなぁ」
そう、俺は族長に森の外へ出向く条件をもらう前から既に、いつ来たるべき時が来てもいいように準備を重ねていた。
その一環としてまず行っていたのが魔力総量の底上げだ。
どうやらこの世界にも『人類』というものは存在するらしく、森の図書館で見た魔道書も多くは人類が執筆したものだった。
するとそこには、『ヒトの魔力総量は、20歳までの環境と素質と努力で決まる』という記載が存在した。
そして『魔力を限界まで放出する訓練を繰り返すことで、その者の魔力量の増加に繋がる』ということも明記されていた。
それに気付いた5歳の俺は、そこから限界ギリギリまで魔力を使い切り、回復しては使い切りということを繰り返していくことにした。
途中で何度か倒れたこともあったけど、そこはお気楽なエルフ族。
みんなして「疲れて途中で寝ちゃったんだね!」というお気楽評価を受けることになっていた。
だけど、俺は途中であることに気付く。
俺の魔力は、15歳を超えてもなおピークを迎えることなく伸び続けていたということに。
この世界でのヒト種の平均寿命は60歳。そして20歳まで魔力総量は増え続けると言われている。
とすれば、寿命1000年のエルフ族であるならば――俺は300歳までは魔力総量は伸び続ける可能性があるのだ。
それでも俺にはまだ一部の魔道書を読むことができていない。
どうやら魔道書にはある一定の魔法レベル以上でないと読むことが出来ない仕組みも施されているようだった。
回復魔法について書かれた書物ならば、元々のエルフ族ブーストもあり全ての書物を楽々読めるようになった。
だが、それ以外のものについては不自然なほどに数が少ない上、まだ虫食い程度にしか読めていない。
加えて、森の図書館には俺がまだ踏み入ることが出来ない深淵の領域もある。
だがそれは今の俺の魔法力量と技術では開けることさえ出来ないようだった。
そこには恐らく、エルフ族が抱える叡智が隠されているのだろう。
鍵を持っているのは族長のみ。ここから先に行くには、回復魔法の極致をあらかじめ族長には見せておかなくてはならなかった。
(ま、まさかここまで早くに回復魔法を極めるとは思わなんだ……! まだ奴が試験見届け人に来るのに80年も残っておるぞ……!?)
「それでさ、族長。一部の魔道書に書かれていたことに、こういう記載もあったんだ。『エルフは回復魔法、ドワーフは土属性魔法、魔族は闇属性魔法が主軸である。と言えども修行と鍛錬を積めば、理論的には他属性魔法を使えるようになる』って。でも、森の図書館にはほとんど回復魔法についての魔道書しかなかったんだ。もしかして、他の属性魔法の魔道書はまた別の場所に所蔵されてたりしないかな?」
「あ、あぁ……。あるにはあるが、回復魔法はエルフの寿命を以てしても完全習得が困難だったんじゃ。お主、まさか他の魔法にも手を付けるつもりか……?」
「もちろん。試験に臨める80年後までに、出来ることは全部やっておきたいんだ」
「い、いかにお主と言えども他属性の魔法を扱うとなれば300年ほどの研鑽が必要になるじゃろう。中途半端に習得したとしても、使い物になりはせぬぞ。やってみる分には問題ないんじゃが……」
族長はそう言いながら、族長のみが持つことを許される森の図書館の鍵を懐から取り出した。
「ありがとう、族長! 俺、絶対回復魔法以外の魔道書も読めるようになってみせるから!」
これで次のレベルアップに進むことが出来る。
魔道書を読んで、魔法のレパートリーが増えれば増えるほど後に外の世界に行った時に役に立つだろうからね!
「あやつ、ようやく外の世界より内なる情熱に走ることにしたんじゃな。他属性魔法の習得に300年……。その頃には、奴の外への憧れも薄れておるじゃろうて……」
一直線に図書館に向かっていく俺の後ろでは、族長が何故か胸をなで下ろしたかのようにふと呟いていた。
――そして、そこからあっと言う間に10年の月日が経った。
それは今から100歳になるまでの期間で、エルフにおける魔法の真髄である回復魔法を極めることだった――のだが。
「回復魔法、女神の息吹」
全身の魔法力を練り込み、回復魔法を施す。
優しい緑色の光がエルフ族に代々伝わる神木を優しく包み、生き返らせていく。
自身の持てる最高峰の回復魔法は、枯れ果て今にも折れそうな目の前の大木を瑞々しい元の姿に戻していった。
とうに裸になっていた枝からは若々しい緑葉が生え、干からびきった大幹からは樹液が垂れる。
今俺が出来る最高の回復魔法だ。
その様子を近くで見た族長は、口をぽかんと空けて呆気に取られているようだった。
「樹齢1000年を超えた先代からの巨木を修復じゃと……!? それにその魔法は、エルフ族の最高峰、極致級の回復魔法じゃぞ!? お、お、お主、あの約束からまだ――!? 何をどうしたらそうなる!?」
族長との約束の時から10年、俺――リース・クラインは20歳を迎えていた。
「森の図書館に行ったら魔道書がたくさん置いてあったからね。俺なりに勉強したんだ。その者の魔力総量は、人生の最初の期間で決まるって文言を見て、小さい頃からずっと鍛えてたんだ」
「い、いつ頃からじゃ――!?」
「5歳くらいかなぁ」
そう、俺は族長に森の外へ出向く条件をもらう前から既に、いつ来たるべき時が来てもいいように準備を重ねていた。
その一環としてまず行っていたのが魔力総量の底上げだ。
どうやらこの世界にも『人類』というものは存在するらしく、森の図書館で見た魔道書も多くは人類が執筆したものだった。
するとそこには、『ヒトの魔力総量は、20歳までの環境と素質と努力で決まる』という記載が存在した。
そして『魔力を限界まで放出する訓練を繰り返すことで、その者の魔力量の増加に繋がる』ということも明記されていた。
それに気付いた5歳の俺は、そこから限界ギリギリまで魔力を使い切り、回復しては使い切りということを繰り返していくことにした。
途中で何度か倒れたこともあったけど、そこはお気楽なエルフ族。
みんなして「疲れて途中で寝ちゃったんだね!」というお気楽評価を受けることになっていた。
だけど、俺は途中であることに気付く。
俺の魔力は、15歳を超えてもなおピークを迎えることなく伸び続けていたということに。
この世界でのヒト種の平均寿命は60歳。そして20歳まで魔力総量は増え続けると言われている。
とすれば、寿命1000年のエルフ族であるならば――俺は300歳までは魔力総量は伸び続ける可能性があるのだ。
それでも俺にはまだ一部の魔道書を読むことができていない。
どうやら魔道書にはある一定の魔法レベル以上でないと読むことが出来ない仕組みも施されているようだった。
回復魔法について書かれた書物ならば、元々のエルフ族ブーストもあり全ての書物を楽々読めるようになった。
だが、それ以外のものについては不自然なほどに数が少ない上、まだ虫食い程度にしか読めていない。
加えて、森の図書館には俺がまだ踏み入ることが出来ない深淵の領域もある。
だがそれは今の俺の魔法力量と技術では開けることさえ出来ないようだった。
そこには恐らく、エルフ族が抱える叡智が隠されているのだろう。
鍵を持っているのは族長のみ。ここから先に行くには、回復魔法の極致をあらかじめ族長には見せておかなくてはならなかった。
(ま、まさかここまで早くに回復魔法を極めるとは思わなんだ……! まだ奴が試験見届け人に来るのに80年も残っておるぞ……!?)
「それでさ、族長。一部の魔道書に書かれていたことに、こういう記載もあったんだ。『エルフは回復魔法、ドワーフは土属性魔法、魔族は闇属性魔法が主軸である。と言えども修行と鍛錬を積めば、理論的には他属性魔法を使えるようになる』って。でも、森の図書館にはほとんど回復魔法についての魔道書しかなかったんだ。もしかして、他の属性魔法の魔道書はまた別の場所に所蔵されてたりしないかな?」
「あ、あぁ……。あるにはあるが、回復魔法はエルフの寿命を以てしても完全習得が困難だったんじゃ。お主、まさか他の魔法にも手を付けるつもりか……?」
「もちろん。試験に臨める80年後までに、出来ることは全部やっておきたいんだ」
「い、いかにお主と言えども他属性の魔法を扱うとなれば300年ほどの研鑽が必要になるじゃろう。中途半端に習得したとしても、使い物になりはせぬぞ。やってみる分には問題ないんじゃが……」
族長はそう言いながら、族長のみが持つことを許される森の図書館の鍵を懐から取り出した。
「ありがとう、族長! 俺、絶対回復魔法以外の魔道書も読めるようになってみせるから!」
これで次のレベルアップに進むことが出来る。
魔道書を読んで、魔法のレパートリーが増えれば増えるほど後に外の世界に行った時に役に立つだろうからね!
「あやつ、ようやく外の世界より内なる情熱に走ることにしたんじゃな。他属性魔法の習得に300年……。その頃には、奴の外への憧れも薄れておるじゃろうて……」
一直線に図書館に向かっていく俺の後ろでは、族長が何故か胸をなで下ろしたかのようにふと呟いていた。
――そして、そこからあっと言う間に10年の月日が経った。
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