転生エルフによる900年の悠久無双記~30歳で全属性魔法、100歳で古代魔術を習得。残り900年、全部無双!~

榊原モンショー

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第49話 次代の勇者、指揮を執る。

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 それ・・は、今までジン達が出会ってきた中では群を抜いた威圧感があった。
 側頭部に生えた一対の角は、どんな魔族よりも濃く闇に染まっている。
 赤黒い長髪が風に靡けば周囲の空気までもが瘴気のオーラで揺らいで見えた。
 飄々とした目つきの奥に宿る紅の瞳が凍てつくようにこちらに向き、手を挙げる。

「――瞬間転移魔方陣展開、魑魅魍魎の行進ラフェスト

 ウーヴァが手を広げると、その後方に大きな黒い穴が出現した。

「ゲギャギャ……ッ!!」「ウヴァァァァァッッ!!」「ァォォォォォォオンッッ!!」

 けたたましい叫声きょうせいと共に現れるのは新たなる魔獣の群れ群れ。
 加えて黒いマントを羽織った魔王軍直下であろう魔族たちまでも続々と揃い始めている。
 ウーヴァは現れた軍勢を一瞥し小さく毒づいた。

「予定よりもずいぶんと数が少ないぞ。全魔族領域からの招集を急げとあれほど伝えたはずだが? グルゲア・ゾリンジャー」

 ウーヴァの真横に立ち尽くした一人の筋骨張った魔族は、身体の節々から何故か懐かしい魔力を漂わせていた。

「ハッ。やはりどこも人員が減っているようでしてな。人的資源とてございませぬものはございませぬ。ご了承くださいませ。何なりと処罰は受けます故」

「使えん奴だ。この地の制圧が終わり次第、魔王様の復活の儀まで貴様は凍土監獄コキュートスにでも行っていろ」

「ヴァンと一緒ならば、どこまでも行きましょうぞ。ふはははは!!」

(やっぱり、愛龍のヴァン様を失ってからのグルゲア様は壊れてしまったんだな……)
(最近じゃ突然抜け殻みたいになることもあるって話だもんな……。魔力が異常に膨れ上がってるからウーヴァ様も邪険には出来ないそうだ)
(魔王軍、魔力が大きい方がトップになるし逆らえないからなぁ。元のグルゲア様の覇気はどこへ行ってしまわれたんだ……?)

 他の魔族は皆ウーヴァに怯えている様子だったが、グルゲアと呼ばれた魔族だけがなぜか・・・ハキハキと言葉を連ね続けている。
 そんなやり取りに、後方の魔族のヒソヒソ声まで聞こえてくる始末だ。
 
 だがそれも一変。グルゲアの身に纏う魔力が場の空気を一変させる。

「魔王軍総括代行ウーヴァカルマが我等の主に代わり命ずる。全軍進撃。勇者の一味を叩き潰せ。譲渡魔法、魔力の暴走回路レヴァトリー・ゲレリー

 ウーヴァの号令と共に、その場の魔族・魔獣達の角の色が赤黒く変色し――。
 
『ウォォォォォォォォォッッッ!!!』
 
 半ば我を失った魔族・魔獣の混合軍が森の中から一斉に押し寄せる。

『じ、じじじ、ジン!? どうするのだ、これどうするのだ!? こんな数、我等だけで対処出来るはずがないのだ!?』

「大丈夫だよ、ヴリトラ。ここまでは、ガリウスさんの言った通りだ」

 ウーヴァの魔力に呼応させるかのように、ジンも懐から魔方陣を取り出した。
 奇しくもそれはウーヴァの使用したそれに近いもので――。

「ククレ城塞兵の皆さん、お願いしますっ!!」

 ジンが魔力を込めると、魔方陣は淡く光を帯びていく。
 かつてリースに一番最初に教えてもらい、何度も何度も練習した魔力注入のやり方だ。
 それはまるでジンが使うことを想定していたかのようだった。

 瞬間、魔方陣の中から転移魔法を介して現れたのは屈強な一人の男。
 男はジンの姿を見てニッと笑みを浮かべる。

「リース様にもガリウス様にも多大なる恩がある。そんな方々が賭けたんだ。周りの奴等は俺たちが何としてでも食い止める。本丸は頼んだぜ冒険者ァ」

 男は大きく息を吸って森全体まで響き渡る声量を挙げた。

「門番歴10年、門番長歴5年、ガリウス様に年一でお目通り出来るようになったこのラヴィ様の出番だぜッ!! ククレ城塞兵士達よッ!! 俺の後に続けェェェェッッ!!」

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!』

 門番長を名乗る男が敵陣に向けて突っ込むと、堰を切った様に魔方陣の中から銀鎧を身に纏う男達が現れる。
「ラハブ様、アナスタジア! 俺たちも行くぞ!」
「木の実は後で領主に請求しようかな」
「ラハブ様はわたしが御守りしますからね!」

 城塞兵たちと共にジン以外のパーティーメンバーも応戦する、そんな様子を見ながらウーヴァがコツリと階段を降りた。

「……こちら側の転移魔法展開を読んだ上で同じ魔方陣式で迎撃、か。そちらのブレーンはずいぶんと用意周到のようだ」

 ブワッとウーヴァ自身の魔力値は跳ね上がる。

「召喚魔法発動。魔剣バルムンク」

 辺りの瘴気を集約したウーヴァの手に、瘴気のオーラを放つ直剣が握られた。

『ム……ゥヴ……かつての魔王が使ったとされる剣なのだ……もう終わりなのだ……!?』

 それはどんな相手にも威勢の良い言葉を放ってきていたヴリトラが完全に萎縮してしまうほどだ。

「安心しろ、ヴリトラ。小粒程度の裏切り者に興味はない。私が用があるのはそこの勇者くんだけだよ」

 ウーヴァがコツリと一歩足を踏み出すだけで、極大量の瘴気が噴き上がる。
 ジンはグッと握った剣に力を入れた。

「……勇者魔法魔力付与エンチャント

 リースから餞別に貰った剣は、他の剣よりも圧倒的に魔力の耐久値が高い。
 その魔力耐久値限界まで魔力を注ぎ込む。
 ピキピキと音を立てながら勇者の力を溜め込むジンを見て、ウーヴァはほくそ笑んだ。

「――その程度であるならば、魔王様の完全復活も時間の問題だな」

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